2017年12月20日

海外工場で、マニュアル化を進めるポイントとは?

マニュアル化すると言うことは、マニュアルを作成するだけでなく、運用する
ために、その内容や、マニュアルを守ることの社員教育、マニュアルの維持管理
までを含む、システムを構築しなければ意味がありません。

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中国でも、マックやケンタッキーが成り立っているのだから、マニュアル化は決して
不可能ではないのですが、いかに「システム化」を行うかがポイントになります。
(日本国内でも同じことが言えます)

しかし、日本人的な感覚で、曖昧な表現の記述は絶対に避けなければいけません。
日本で使用して実績のあるマニュアルをそのまま翻訳して現地で使用することは、やめる
べきです。

全く新しく作成するつもりで、見直しが必要です。
 ・作成は、現地採用の管理層レベルの協力を得ること
 ・現地作業者のレベルに合わせて、できる限り分かり易い表現にすること
 ・判断基準はできるだけ定量化すること
 ・できるだけ、写真、図表も用いて分かり易くすること
 ・理解度を定期的に確認すること(テスト実施)

1.業務マニュアルの意義
職場でマニュアルが必要な理由として
(1)業務を確実に行うための手順や内容を共有・標準化する
(2)誰でも業務を行えるよう手順を分かり易く説明する
(2)業務の重複やムダを省き効率化を図る
(3)トラブル、クレームの見える化、処理方法、責任者を明確にする

業務マニュアルの作成は、業務品質の向上やスピードアップ、頻度や難易度が
高い業務の内容をルール化することに大きな意義があります。

2.使いやすいマニュアルの6つのポイント
せっかく苦労して作成するマニュアルは、使いやすくなければなりません。
使いやすいマニュアルとは、以下の6つの要件を満たしたものと考えます。

(1)仕事の全体像が把握できること
作業を効率的に進めるためには、仕事の全体像を把握している必要があります。
仕事の全体像とは、
 1.仕事の目的(仕事の位置づけ)
 2.仕事全体の流れ
 3.作業工程、作業手順
 4.求められる水準(作成時間、達成度、品質)などです。

新人や若手でもわかるマニュアルにするために、全体像の記載が必要です。
新人や若手は仕事の意味を理解することにより、不安なく、前向きに行動する
ことができます。加えて、職場においても、大きく間違った行動を取り、周囲
に迷惑がかかることが少なくなります。
更に、ベテランに仕事が集中してしまうことを防ぐことができます。

(2)仕事の判断基準が示されていること
判断基準(判断のモノサシ)を業務マニュアルに示しておくと、新人や若手
でも判断に迷うことがありません。例えば、「整理整頓が重要な仕事」につ
いていえば、単に、この仕事には「整理整頓が重要」と記述するのは不十分
です。

このような場合の判断基準は、例えば「整理整頓;仕事を早く終わらせ、書
類紛失によるトラブルを防止する」というレベルで示すことが必要です。
こうすれば、具体的な行動として、「毎日帰る際は、机上だけでなく机の中
まで整理整頓する」が導かれやすくなります。

(3)到達目標が数値や明白な行動レベルで示されていること
「到達目標」を数値や行動レベルで示す理由は、仕事の品質を高いレベルで
一定に保つためです。長い時間をかければよいものでもないですし、「良い
仕事をしろ」と言っても、そもそも仕事を知らない人には、よく分かりません。

何をしたら良いのかを行動レベルで示して初めて、目標が理解されると考え
るべきです。
また、漠然としたものでなく、数値を使って目標を立てるとより効果的です。
具体的には、当該の仕事の流れを踏まえて書きます。すでにフロー図があれ
ば、それを活用して加筆します。

(4)実務の確認点が「チェックリスト」で示されていること
次は、ミス・トラブル削減を目的として、チェックリストを作成します。
チェックリストにより、仕事の手順を標準化すれば、業務品質を安定させる
ことが可能です。

ミス防止のため、チェック項目をうんざりするぐらい記載する事がありますが
不思議ですが、ミスは減らず、またさらなるミスを生む「ミスの悪循環」に
巻き込まれることが往々にして良くあります。チェック項目は、担当者の責任
項目として、「確実にチェックすること」とすべきです。

(5)ノウハウ・コツなども記載していること
ノウハウ・コツは、一人で考えるより、ペアワークやグループワークで話し合
いながら意見を交換したり、共有するのが有効です。また、例外処理や職務遂
行のためのノウハウ・コツなどもマニュアルには欠かせません。文字化しにく
い暗黙知を極力文字化しておきます。

暗黙知をマニュアルに記載し、積み重ねることによって、他社がまねできない
その企業独自のノウハウとして差別化につながるのです。

(6)クレーム・トラブルを「見える化」していること
クレーム・トラブル事例などは、「事例」を記載し、印象強く「見える化」
することで組織として共有します。できれば、「ヒヤリ・ハット」したもの
まで記載できれば、申し分ありません(最近半年間に表面化したトラブルや
クレームなど)。

3.業務マニュアル作成手順
以上の業務マニュアルですが、以下のような手順で作成すると良いでしょう。

(1)業務を洗い出す
マニュアルを整備するためには、会社の中で、どんな業務が行なわれている
かがわからない状況では作成はできません。そこで、まず業務調査を行ない
各部門でどんな業務が行なわれているかを確認します。

業務調査のやり方には、各部門の担当者に担当している業務を書き出してもら
う方法と、マニュアル作成担当者がヒアリングを実施する方法が考えられます。

(2)マニュアル化する業務を抽出する
業務調査を行い、業務一覧表にでまとめておきます。その中でトラブルや
ミスが頻発している業務であるとか、作業効率が悪い業務などから優先的に
マニュアル化を行います。

(3)マニュアルを体系的する
抽出し、優先度付けされた業務一覧表をもとに、マニュアル化すべき業務を
抽出し、これを体系的に整理します。どの業務に、どんなマニュアルを作成
するか、マニュアルの全体像を把握しやすくします。

そして、管理コードを付与し、管理を容易化します。このとき、コード化
するにあたってのルールを取り決めておきます。一般的に「マニュアルの
種別」「作成年月」「マニュアルの連番」などによってコード化すること
が多いといえます。

(4)フォーマットを標準化する
マニュアルの様式について一定のフォームを作成しておき、このフォームの
なかでレイアウトを行います。誰もが使いやすいマニュアルは、
 ①業務の全体像がわかること
 ②業務の目的がわかること
 ③何をこなせばよいのかがわかりやすい
 ④チェックリストで業務の確認ができる
 ⑤誰にでもわかる言葉で書かれていること
 ⑥トラブルの起こりやすい部分がわかりやすい
などが網羅されたものです。

(5)記載内容の検討
マニュアルは一般的に、以下の項目を記載します
 ①目的
 ②適用範囲
 ③用語の解説
 ④関連規格
 ⑤内容
  各業務の項目、作業手順・方法について
  ・Plan(計画、目標)
  ・DO(5W1H、責任部門、実施時期)
  ・Check(実施結果の記録、評価)
  ・Action(改善、次回計画への反映)
 ⑥発行期日、改訂期日・内容、担当者、承認者

(6)教育・導入・定着化
完成したマニュアルは、印刷または電子化して共通ファイルに入れて閲覧が
容易にできるようにします。そして、導入に先立って関係部門に教育を実施
します。業務を行う上で、疑問が生じたら、すぐにマニュアルを見て、マニ
ュアル通りに業務を行うようにし、定着を図ります。

(7)運用・見直し
関係者がマニュアル通りに業務を行うことを徹底することが基本ですが、マ
ニュアル通りに作業すると効率が低下したり、品質上のトラブルが発生しやす
くなるようであれば、マニュアルを変更する必要があります。

このように、業務の効率化、品質向上につながるように、常にマニュアルを
見直し、業務内容と一致させておくことが重要な作業となります。

最後に
マニュアルづくりには、相当の労力が必要とされます。一所懸命に作り上げ
ても、できた時点から内容の陳腐化が始まります。そして

「マニュアル通り作業する ⇒ 不具合の発見 ⇒ マニュアルの修正 ⇒ 
マニュアル通り作業する」の繰り返しが重要になりますが、このサイクルを
定着させることこそ至難の業なのです。

2017年12月19日

トヨタ式現場カイゼンの限界:中小企業のトヨタ生産方式の導入事例

工場改革の切り札ともいえる「トヨタ生産方式」の導入上の問題点について考えて
見ます。


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1.現場に偏った指導に疑問符
「トヨタ生産方式」の導入に当たって、外部の指導機関・専門家と言われる人から
指導を受ける場合も多く、その場合、製造現場は、格好の改善の対象となり、「段
取り時間の短縮」「セル生産システム導入」「省人化」「在庫削減」「5S」などの
改善を実施している企業も多いと思います。

現場の改善は確かに進み、省人化は進み、工場は整理整頓が進みました。
でも、それは、わざわざ指導を受けて何を改善しようとしているでしょうか?

2.目指す工場の全体像は?
工場全体としてのリードタイム短縮、外注リードタイムの短縮や、品質不良の
対策が置き去りになっている場合が多く、多くの中小企業で、「付加価値生産性」
は向上していない場合が多いと考えられます。

トヨタ生産方式の導入というと、「セル生産方式」「自動化」「段取り時間短
縮」「在庫削減」など、ムダの排除、小ロット生産などの現場改善に目が行き
がちです。

しかし、これらは手段であり、工場の目的は、モノを作って継続的に利益を
得ることです。そのためにはタイムリーに、安くて良いものをお客様に届けな
ければなりません。

3.何が目標なのか
カイゼンを始める前に「工場の目標値」を設定しなければ、社員の行動が
バラバラになって、職場ごとに部分最適を勝手に追究するようになります。

また外部のコンサルタントは、依頼されたカイゼンの指導は行いますが、工場の
利益の追究まではしてくれません。
どこを優先的に改善し、効率化を図って付加価値生産性(スループット)を
向上させるのか?を考えるのは工場の責任者であり、経営者の仕事です。
工場の追求すべき目標は付加価値生産性向上です。

 労働生産性=社員1人当たり・1時間当たりの生産額
 設備生産性=機械設備1台当たり・1時間当たりの生産額

また、そこで余裕の出た社員には、どんな付加価値業務についてもらうのか
を考えておかなければ、単なるリストラのための改善となって、モラールの
低下を招いてしまいます。

新しい付加価値業務に当たることで、より生産性を向上させ利益を得るための
一歩として、現場カイゼンを考えていく必要があるのです。

強い工場を作るプログラム:中小企業のトヨタ生産方式の導入事例

強い工場を作るプログラムとは一体どのようなものでしょうか?

今までの工場はモノを作るための「ものづくりの現場」を大事に
して来ました。ただこれからは、「ものづくりの現場」だけでは
本当の意味の強い工場を実現できません。

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【製造工程に高付加価値工程を付加する】
カーブからスマイル・カーブのビジネスモデルへの転換の必要性を解説しています。
すなわち、世界一の「ものづくり技術」と、新たに高付加価値化のためのしくみ
「ソフト」を融合させることが必要です。
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【製造工程を支える上流・下流工程】
付加価値を高めるためには、マーケティングや商品企画、顧客開拓など、付加価値
を生み出す工程を工場の機能として組み込むことが必要になっています。

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【小ロットに耐えうる製造工程の改革】
一方、製造工程では、より一層の高度化を図っていかなければなりません。
顧客ニーズに沿った、より良い品質(Q)の製品を安く(C)納期通りに(D)
作ることを目的とした工場の改革が必要であることを解説しています。

強い工場を作る基本ステップ;中小企業のトヨタ生産方式の導入事例

生産現場において、不良をなくす、ムダを徹底的に省いて生産性向上、リード
タイム短縮を図り、原価低減を行って利益幅を確保すること。

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工場として、まず初めに生産現場を強くすべきです。
でも、売り上げが伸びない現状では、生産現場のムダをなくすだけでは限界が
あります。

製造業が成長した、今までの工場はモノを作るための「ものづくりの現場」を
大事にして来ましたが、これからは、「ものづくりの現場」だけでは、本当の
意味の強い工場になることは出来ません。

概念図.jpg

売り上げを伸ばすためには、工場現場以外に付加価値を見出す必要があります。
強い工場に生まれ変わるには、現状の延長線上の成り行き経営には未来はあり
ません。このことは、概念では理解できても、実際にどうすればいいのか?
どこから手をつけて行ったらいいのか、見当がつかないと言ったことを良く
耳にします。

「強い工場」を作るためには手順があります。
また、それぞれの工場によっても、改善のやり方に差があるでしょう。
「**生産方式」導入などに、すぐ目を奪われがちですが、それは手段であり
目的を明確にしなければ方向をまちがってしまいます。

日本の多くの中小企業は、受注加工生産で生計を立てています。
益々多品種少量化が進む中、忙しさは増しても、利益は得tられないという
厳しい状況の中で、限られた設備、人員で乗り切っていかなければならない
のが現状です。

そこで、まず生産性30%アップを目指します。
主な対策項目としては
①付加価値作業時間と、非付加価値作業時間を分けます。
 付加価値作業とは、機械が動いている時間、作業者が加工している、組立
している時間のことです。
加工準備、セット替え、運搬、修理などはすべて非付加価値作業時間です。

②生産性をアップするには、付加価値作業時間を増やすことです。
 トヨタでは、七つのムダを減らすことが求められています。
そのうち特に、作業のムダ、作り過ぎのムダ、在庫のムダ、不良を作るムダが
生産性に大きく影響するため、重点的に対策します。 

③付加価値時間内で生産する数量(金額)を増やします。
 つまり、単位時間当たりの生産量(金額)を増やします。
それには、ネック工程の生産速度を速める対策を行います。
機械の性能をアップする、作業方法を見直すなどスループットを高めます。

④30%向上した生産性をどう生かすがが鍵
 ここまでは、現場を中心とするカイゼン活動で達成が可能です。
しかし問題はその次のステップです、
余裕の出た機械能力、人員をそのままにしておいては、なんの意味もありません。
新たな高付加価値製品の受注、新市場、新顧客の開拓、新たな顧客サービスの
提供などの高付加価値化を図っていくことが必要です。

経営トップは、このような道筋を示すことによって、カイゼンが一層進むのです。


トヨタ生産方式の形を真似るだけでは効果は出ない:中小企業のトヨタ生産方式の導入事例

セル生産方式、カンバン方式など、ジャストインタイムの工場の仕組み、生産方式
を導入しようと努力している企業は多いのですが、その効果はまちまちです。

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ただ、単に個別の手法をまねて導入しようとしてもうまくいきません。

例えば、先日以下のようなWebからの問いあわせがありました。
ヨタをはじめとする自動車メーカーは多品種多量生産と認識してよろしいので
しょうか?トヨタでも工場単位で見れば、1工場2,3種類の車種しか作っていま
せん。もちろん、最終組み立て工程では顧客に合わせた仕様変更があり、多品種
と言えなくもありません。
しかし、前工程であるプレスやフレームは車種数に比例しますので、多品種とは
なりません。

私の管理する部品製造工場は第一工程であるプレスの段階から数千種あり、トヨタ
OBの方々が言う多品種品とはニュアンスが違うように感じます。
この工場には数年前にトヨタOBの方が来られ、ストア設置を強引に行い、各工程間
に膨大な品種の在庫と量を作り出してしまった事もあります。

現在、社内で勉強会を開いており、多品種の定義についてある程度まとめたいと考
えております。ご意見をいただければ幸いです。

さて問い合わせの中でも疑問に感じているように、トヨタのような大企業と一般の
加工専門企業と同じ考えで物事は進みません。

トヨタの多品種は、工程の最後の段階で様々な塗装や、内装が施されますが、販売
計画によって、生産台数が分かっているので、計画的に見込み生産が可能なのです。
直販の販売会社を持っているので、このような事が可能になっています。

ジャストインタイム・カンバン方式は、このような見込み生産が可能な生産変動が
ごくわずかに抑えられた製品に対して有効です。カンバンは、微調整の手段として
後工程引き取りを行うので工程間仕掛は、最低限で押さえられるのです。

ところが、一般の部品加工工場は、突発的な割り込み生産、図面待ち、納期変更
数量変更、設計変更など、生産変動が日常茶飯事です。また何年も前の部品も急に
作らなければならないこともあります。

このような変種変量生産を強いられる条件のもとで、カンバン方式はそもそも成り
立つ筈がありません。

このような条件を無視して、自分たちが経験してきたことを強引におしつけようと
する指導では、決してうまくいきません。

重要な事は、今一番問題になっている事項はなにか?です。
 ・仕掛が多いのか?
 ・リードタイムが長く納期に間に合わないのか?
 ・生産性が低いのか?
 ・品質が悪いのか?
など、最優先で取り組まなければならない問題は何かを現状把握と原因究明を行う
必要があります。

そこで、現状の生産管理方式のどこに問題があって、どう改善する必要があるのか
を最初に明らかにする必要があります。
 ・管理方式:MRP方式か?製番管理方式か?(PULL式か?PUSH式か?)
 ・部材調達方式、在庫方式の検討
 ・外注加工先の発注方式の検討
など、サプライチェーン全体最適化を睨んで、社内改革をスタートさせます。

基本は1個流しで、最短リードタイムを確保する生産管理を行うことです。
そのための仕掛けを、営業部門、生産管理部門、製造部門、外注先の管理部門で
連携して考え、改善に取り組まなければなりません。

現場の見えるところばかりに気を取られ、生産管理方式(ソフトの部分)が抜け
落ちた結果、ストアが仕掛品であふれてしまうのです。
これが一般的な、自称ト〇タ流改善コンサルタントのやり方です。

世の中には間違った理論や手法、模倣が氾濫しています。
正しい理論のもとに、実務にすぐ使えて効果の見える指導者を自分の目で選択する
ことが必要になっていると思います。

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