2018年12月08日

キーワード解説:下請け体質からの脱出対策

【INDEX】

キーワード解説:下請け体質からの脱出対策
下請け体質から抜け出す第一歩は、例えば、小物プレス業であれば、20トン程度
以下のプレスで抜き・曲げその他の加工について精通し、必要な金型の構造や
その作り方、価格、などについて引き合い先に説明できる能力と知識があること
が必要となる。

また製品メーカーからプレス部品の設計形状について、加工の可否や能率について
の問合せに、適切に答えられる能力も有していなければならない。

単に一定精度の加工ができるだけでなく、プレス加工技術全般について知識と
情報を持っていることである。この場合、技術の間口は狭くてもよい。たとえ
ば板金業でも箱物を得意とするところと、シャーシなど平面ものとに分かれて
受け持つ範囲を特化してもよい。
その範囲内では他の下請工場と差別化した技術を持つ専門家として客から信頼され
そこに聞けば間違いない回答が得られると思われることが大切である。

カンブリア宮殿:バカ社長を演ずることで下請け体質から抜け出す!

プレゼンテーション1.jpg

「カンブリア宮殿(2013年10月3日放送)」のゲストは印刷会社GRAPH社長の
北川一成氏でした。

「脱・下請け改革」の一つが“バカ社長のフリ”をすることだったのです。
取引先の目の前で“バカ社長”を演じて、「この会社に仕事を任せたら危ない」と
思い込ませる戦略だった。 しかし、これが想像以上に効果を上げたのです。

もともと小さな印刷会社で、仕事は新聞のチラシなど下請けの仕事がほとんど
で、しかも下請けの印刷会社はたくさんあるため、価格交渉ができず、経営は
厳しかったそうです。

そのような状況から脱下請けを成し遂げて、「難しい印刷物はGRAPHへ」と
指名される存在にまでになったのは、一体なぜでしょうか?
「脱・下請け改革」の一つが“バカ社長のフリ”で、これが想像以上に効果を上げ
GRAPHは徐々に下請けの仕事を減らしていったのです。
そして、よその印刷会社が「実現不可能」として投げ出した印刷でも、グラフは
引き受け、ニーズに応えてみせた。 そして、いつしか「特殊印刷の駆け込み寺」
そう呼ばれるまでに至ったのです。 特別な機械を使わなくても、他社と差がつく。
その秘密こそ、北川が育ててきた技術屋集団にあった。
 1.他の印刷会社ではできないことをやる
 2.特徴的な一流デザイン

ライバルが提供できない価値で差別化、これがなかなか難しい。
北川一成氏は考えました。20世紀の経済の成長は機械に頼り過ぎてきた。機械は
均一化が進み精度も高まってきた。いまや人間力でしか差が出せない時代、そこを
掘り下げていけば他社との違いが出せるとしたのです。

でも、従来の職人と何が違うのか?
個人のノウハウ頼みにするのではなく、組織にノウハウを蓄積(たとえば、印刷
の色の調合データ)する仕組みを設けたということです。

色見本にない珍しい色であっても短時間で職人がインクを混ぜて作り出します。
そして、さまざまな色の調合比率データが蓄積されておりどの職人でも再現できる
ようになっています。

機械を使いこなす技術と、蓄積データ・・・
これは目に見えず、ライバルには、簡単にまねできませんね。

いつしか「特殊印刷の駆け込み寺」そう呼ばれるまでに至ったのです。特別な機械
を使わなくても、他社と差がつく。これこそ脱下請けの極意なのです。


製造業の下請け脱却:アフターサービスの事業化戦略

製造業はモノを作って販売して終わりではなく、アフターサービス事業に注力すれば
大きな利益を生み出す可能性を秘めています。
なぜならば、アフターサービス事業はストック ビジネスとして、毎年安定した収益が
見込め、経営の安定化に大いに貢献します。一方、製品の製造販売事業は、フロー
ビジネスであり、今年売れた製品が来年売れる保証はありません。
また多数の競合メーカーがひしめき合う中で、価格競争に陥り利益に結び付きません。



この環境変化の激しい世の中で、フロー ビジネスだけに頼って事業を進めることは、
本来リスクを伴うことなのです。では、どのような手順でアフターサービスの事業化
を進めて行くかを考えてみましょう。
スマイルカーブ.png

そこで、「モノを売るから、サービスを売る」という考えに方向転換します。
「モノも作れるサービス業」という視点で、ビジネスモデルを全面的に見直し、
スマイルカーブの上流から下流の工程の中でより付加価値の高い工程へ経営資源を
集中的に投入していきます。

では、アフターサービス事業の黒字化について、「モノを売るから、サービスを
売る」という考えに方向転換するためには、どのような手順で進めていけば良い
かを考えてみます。

◆第1ステップ(アフターサービスの事業化)
これまでは、保守部品販売、修理や定期点検などのメンテナンスはお客様への
サービス扱いで、次の注文を獲得する意味として、モノを売るための販売促進
効果を狙っていました。但し、この考えの下では、収益は見込めず、したがって
顧客満足につながるアフターサービスとはなり得ない状況となっています。

そこで、アフターサービス事業のさらなる発展、競争力強化のため、この事業を
製造事業から分離独立させ、将来子会社として独立させることを念頭に、独立
採算の組織を発足させます。

そのためには、製造事業を効率化し、生産性を高め余剰となった人材を徐々に
本事業へ投入します。そうすることによって、固定費を増加させずに、また製造
事業とのコミュニケーションを取りながら事業展開が可能となります。新たな
人材の採用は、採算性を見ながら行っていきます。

新組織では、以下のような目標を立て、人材の強化、サービスツールの整備を
行います。
・顧客に密着した営業体制や業務体制の確立
・顧客および、サービス業務の可視化
・顧客対応のスピードアップ化
・サービスメニューの見直しによる内容のレベルアップ化

事業の安定性や効率性を考え、顧客との年間保守契約を結び、事務処理や価格
交渉などの工数を減らし、いかに早く顧客対応を行うか?また予防保全やコール
センターの設置等によって、スピード感をもって対応を行い、いかに顧客満足度
を高めていくか?に注力していきます。このような高いレベルのサービスの実施
によっても、従来顧客からも納得し受け入れられる、リーズナブルな料金体系を
構築していきます。

◆第2ステップ(顧客情報の収集と分析)
収集が必要な共有化情報として、以下のような項目を設定し、情報を分析します。
・保守情報(故障情報、点検内容、交換部品と周期)
・設置情報(設置地域・場所、設置環境)
・製品情報(設置日、製品種類、バージョン、部品交換・修理履歴)
・お客様情報(売上高と利益)

分析した結果、サービスの仕組みの見直しや、製品へのフィードバック項目と
して設計部門との情報共有を図ります。
・予防保全の考えから、部品の寿命や作業性などの改良設計へ反映
・製品別・部位別の不具合兆候の収集と兆候の正確性向上
・お客様を階層分類して階層レベルに適合したサービス対応
・メンテナンス作業時間のトレンド分析、作業員別の作業時間分析
・今後不足する人員の技能と人数
・技術・技能で強化が必要な作業スキル
・交換部品、予備品、使用ツールなどの必要在庫

◆第3ステップ(予防保全体制の確立)
不具合履歴の分析結果を設計フェーズにフィードバックして製品品質を向上させる
仕組みを確立します。また稼動情報の取得により、不具合の兆候を見極め、その
予兆から不具合発生前に消耗部品の交換を行うことが可能になります。その結果
お客様が安定した設備稼動ができるようになり、製品そのものに対する信頼度も
アップすることになります。

◆第4ステップ(シナジー効果の発揮)
アフターサービス事業の強化は、より顧客サイドに立った情報収集が可能となる
ため、顧客ニーズにマッチした製品の企画・開発が可能になります。このことは
製品差別化による競争力の強化、そして新たな顧客獲得へもつながり、製造・販売
事業も拡大するといった、シナジー効果が期待できます。そのためには、縦割り
組織とならない様に、事業間での人材交流、情報交換を密にしていく必要があります。

冒頭に述べたように、製造主体の事業構造から付加価値の高い事業へシフトして
いくためには、生産性を飛躍的に高め、そこでの余剰となった人材を付加価値業務
へ割り当てていくという考え方がこれからの製造業の生きるための一つの手段である
と確信しています。

個人商店から仕組みで会社を動かす!下請け体質からの脱出対策

雑用に追われる社長を解放する唯一の手段は、強力な助っ人を雇うことではなく
仕組みを作ること。基礎体力を付けること!

基礎体力とは、「人材」「組織の役割」「しくみ」「固有技術力」です。


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以下は、ある企業の社長の生の声です。
●A社長の本音(創業15年、社員数25名の自社製品開発設計、製造企業)
 当社の現状は、業務拡大によって、人材の絶対的な不足を招いています。
営業は社長と営業マン1名、その他主要業務は、社長一人でこなしており経営
トップを支えるスタッフの育成が急務です。

生産管理能力向上、顧客フォロー、多くの引き合いに対応できる営業戦略
技術力向上など、社内の状況を総合的に把握し、その円滑かつ効率的な運営
体制を立案し、日常業務を推進してほしい。
社長の私は次の商品開発のアイデア、市場開拓等に専念したい。

●B社長の本音(創業40年、社員数18名の医療機器製造企業)
 当社の課題は一言で言えば人材育成です。経営トップを支えるスタッフは
女性が大半を占め、大局的、戦略的視点も必要な今日的経営環境では、男性
スタッフの育成も重要と考えています。

今欲しい人材は、身近に相談できる経営スタッフです。日常の業務の「右か」
「左か」を相談できる人材、また今後の企業の進むべき方向(経営戦略の具体的
な構築)を行って、経営計画を推進したいと考えています。

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以上は、実際に地元の小規模企業の社長さんからの相談内容です。
社長さんは、これから業績を伸ばしていく上で、このままではいけない、何か
手を打たなければと思っており、危機意識を相当強く持っています。

このままではいけないと感じていること自体は、大変素晴らしいことです。
現状を何とか変えたい、もっと会社を良くしたいという前向きな姿勢はとても
大切なことですね。

ただ、2人の社長さんの考えのまま進もうとすると実は、大きな落とし穴が
待っているのです。

1.小規模企業に必要な基礎体力作り
企業にも、幼年期、青年期、壮年期と呼ばれる成長過程があります。
売り上げがずっと低迷している企業は、幼年期からなかなか青年期を迎えられない
企業も多いのです。また、運よく売り上げを伸ばしている企業でも、体力が
十分備わらない幼年期のまま、規模のみが拡大し様々なひずみが生じている場合
も多く見ることができます。
では、各成長過程で企業はなにをなすべきかを考えてみましょう。

幼年期:職人時代で、売り上げを伸ばすことが優先。
青年期:社員を雇い組織へ飛躍、成長軌道へ
壮年期:事業そのものを売る発想(ビジネスモデルの確立)


(1)幼年期~青年期で基礎体力をつける
企業の基礎体力を養うためのやるべき項目を列挙します。
 ①人材育成の強化
   中小企業の人材育成はどう進めるか
 ②組織(組織図、職務分担・権限)の仕組み
   組織図の考え方:中小企業こそしっかりした組織設計が必要
 ③現場の日常管理のしくみ
   製造現場の日常管理と改善活動のしくみ
 ④固有技術力の強化
   下請け脱却(②ある金属加工企業の取り組み)

社長は、自ら描いている夢や理念が将来実現できるように、社内の仕組みを整備し、
それをコントロールすることで経営を行います。いちいち、仕事の指示を社員に
しなくても、仕組みが自動的に指示してくれるようにするのです。
つまり、社長は仕組みを介して、組織や社員を動かし、自らの夢を実現させる
のです。

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まさに「参謀」が2,3人いるような強力な会社を作ることも可能なのです。
もうお分かりと思いますが、最初に述べた社長さんのように、落とし穴に落ち
ない様に、今のうちにしっかりと「基礎体力」を養うことに専念しなければ
いけないのです。

2.「参謀」は求めてはいけない
二人の社長さんの発想は、「強力なスタッフが、日常業務を切り盛りしてくれた
らいいな~」という願望が込められているように思われます。

「参謀」、「軍師」と言われるような、優れた知恵者がいたら、今目の前に
降りかかっている問題もテキパキと解決し、会社はうまく回り、将来の経営
戦略も立てられると考えているのだろうと推測できます。

ところが、「参謀」を、望んでも、それは無いものねだりというものです。
社長の思うような都合の良いそんな人物は、おそらく1000人に1人もいない
でしょう。仮に優秀なスタッフをヘッドハンティングしたとしても組織に
馴染もうとしないかも知れませんし、きっと愛社精神などはなく、社長自らが
かつてそうであったように、自分の城を将来築こうと考えているでしょう。

優秀なスタッフを高い報酬で引き抜くことも可能ですが、更に規模が拡大
したら、また第二の「参謀」が必要になってきますね。
ですから決して、「参謀」型の人材を求めてはならないのです。
では、どうすれば「社長が望むような会社」を作ることができるでしょうか?

3.人材育成の重要性
 企業における人材育成は、もっとも重要な共通課題です。
特に、中小企業では、限られた人材の中で、仕事をこなして行かなければ
ならず、一人が何役も仕事を受け持っていることも珍しくありません。

二人の社長さんが、人材の必要性を第一に考えているのも良く分かりますね。
少子高齢化で、ますます働く人が少なくなっていく中で、教育訓練制度を整備
して、有能な人材を育成したり、外から必要な人材を補充していくことが求め
られています。

さて、人材の重要性は理解できるとして、社長を補佐するために、自分の仕事
を代行してくれる「身代わり」が欲しいと言う考え方はとても危険です。
「社長の身代わり」は作ってはいけないのです。

優秀な「参謀」に頼るのではなく、現在在籍している社員の能力を引き出す
事が最も必要な事です。そのためには。社員一人ひとりの能力を引き出す
教育制度、人事制度が必要になります。

4.人依存から仕組み依存へ
中小企業に見られる特徴として、
 ・多品種少量生産への対応遅れ、生産性の低下、納期・品質トラブル発生
 ・高度な業務に対応できる人材の不足
 ・と言いつつ社員の教育もままならず、社員の能力発揮が不十分
 ・組織の役割が曖昧、仕事は個人に依存して、個人商店的な経営から脱皮できず
 ・企業の成長を促すPDCAの改善活動が停滞、又は全く実施されていない
 ・つまり、社長自らが職人体質から抜け出せず、現場を切り盛りしている

こんな様子が頭に浮かんできます。
つまり、仕事がすべて人について回って、人依存の仕事のやり方になっている
のです。会社組織としての潜在能力を持っているにもかかわらず、それが充分に
引き出せていないのです。

「もっと優秀な人がいれば・・・」「結局、俺が全部いちいち指示するしかない
のだ」となり、毎日の仕事に忙殺されている社長の頭は、ついつい「優秀な人
が欲しい」と考えてしまうのです。

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個人商店的な経営でも、数十億円の売り上げ規模の会社も存在します。何とか
社長の頑張りで、そこまで会社を成長させ、この規模まで成長しましたが、
このままでは、おそらく100億円の売り上げ規模に成長することは難しいでしょう。

ここに個人商店経営の限界があります。
リーマンショック後、売り上げが半減し、立ち直れない企業が多く存在します。
環境に左右されない、強靭な「基礎体力」を、規模が小さいうちに十分に備えて
おくことが重要になります。

社長は、優秀な人がいなくても回る会社、優れた人材ではなく、優れた方法
(仕組み)を探すべきです。

人材志向から、優れた仕組み志向へ、優秀な人がいなくても回る会社を作る
方法を考えなければならないのです。人材はいつか去っていきますが、仕組み
は永遠に失われません。資産として蓄積していけるのです。人に仕事を付ける
のではなく、仕組み化された仕事に人を付けること。これを目指すべきです。

次回は基礎体力づくりのステップの詳細について解説します。

企業の基礎体力作りのステップ:下請け体質からの脱出対策

雑用に追われる社長を解放する唯一の手段は、強力な助っ人を雇うことではなく
仕組みを作ること。基礎体力を付けること!

基礎体力とは、「人材」「組織の役割」「しくみ」「固有技術力」です。


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以下に、企業の基礎体力作りのステップを解説します。
(1)経営理念、方針の周知徹底の仕組み
経営トップによる方針・目標を毎年度初めに立案して「経営方針書」を作成
します。全社員を集め、社長自ら全社員を集め説明し理解させます。方針と、
課題、年間の具体的な施策の実施項目と目標値を設定します。

また、経営方針書には、中長期的に会社をどのような方向に持っていきたい
のか?つまりどんな商品・サービスをどのように提供し、お客様の満足を
得ようとしているのかを明確に記載します。

社員一人一人の考えや行動は、この経営方針書の理解の上に立ったもので
なければならないのです。

(2)組織の仕組み:
【組織図】
 社長の理念や方針を実行するためには、その考えに沿った組織が必要に
なります。つまり、軍隊で言う、どこにどのような役割の部隊を何人の構成で
配置するのか?指揮官は誰が適任か?を決めなければなりません。要員の訓練
も必要になります。

 組織図も無い、組織の役割も曖昧のまま、人に仕事を依存するゲリラ戦法
では、一時的な戦果は得られるでしょうが、いずれは敗退を余儀なくされる
でしょう。目安として社員が10人を超えるようになったら、組織図は作成する
必要があります。勝ちに行くための組織の重要性を認識する必要があります。

「いや、うちにはちゃんと組織図はあるよ!」と言われるかもしれません。
しかし本当に今必要な、勝つための組織になっていますか?3年前と全く変わら
ない組織図では、変化の激しい市場、個客にきめ細かく対応できますか?


【組織の責任権限明確化】

指揮命令系統が曖昧であったり、特定の能力がある個人に仕事が集中している
組織は業務処理が非効率であったり、ミスが多発したり、様々な問題が生じます。
組織の役割、組織の長、構成員の役割ははっきりと明文化しておく必要があります。
ただし、社員の数が絶対的に少ない小規模企業では、助け合い精神で、お互い
の仕事をカバーしながら行っていかなければならないことは、もちろんです。

とは言っても、組織体系は仕事の分担・責任を明確にするうえで重要な要素と
なります。
ライン業務とスタッフ業務、プロジェクト業務を明確に区分し、どの組織が何に
責任をもって主体的に行うのかを明確化します。何をやっているのか分からない
建前だけの部署名、役職名は即刻廃止すべきです。

(3)人材育成評価の仕組み
【人材マップ】の作成
 社員一人一人の、業務の熟練度、特性などを「見える化」し把握することが
人材を有効活用するための基礎として重要となっています。そのひとつの手法
として「人材マップ」があります。
個人の経歴、能力・技能のスキル、特性などのカテゴリーで「見える化」し
採用・配置(ローテーション)・教育・評価の計画立案・実行に役立たせます。

それにはまず、トップが会社として必要な人材像を明確にする必要があります。

トップの描いた会社の将来像(経営方針書に記載)によって「求める人材像が
明確になり、人材マップによって「社員の現状」が把握できれば、それらを引き
算すると、人材ギャップが明確になります。

将来必要となる人材に対して、現状ではどの職種、専門分野で、どういう能力
を持った人材が何人足りない、というように、人材ギャップが質と量の両面で
明らかになります。そこで、各個人ごとに教育ニーズも明確になります。

【人材育成計画】
人材ギャップが「見える化」されると、これまで感覚的に行っていた人材育成
と人材活用を、よりシステマティックな形に改めることが可能となります。

まず、人材育成については、人材ギャップを見ることで、身につけなければ
ならないスキルが明らかになり、組織として優先的に引き上げるべきスキルを
特定し教育などを集中的に実施します。

特に人材の不足する中小企業においては、人材を固定せず、業務に対して柔軟
に対応できる多能工化教育が求められます。直接員、間接員ともに多能工を
目指します。

【信賞必罰】

 一般の会社は、「信賞必罰」と口ではいいつつも、何を賞するか、何を罰する
かはあまり明文化していません。極端に言うとすべて社長の胸先三寸です。
そして、このような制度の曖昧な会社は不公平感がはびこっており、概して
社内が暗いのです。組織を活性化し、メリハリをつけるために、信賞必罰制度
を運用する仕組みを構築します。

会社の求めるスキルを持った人材、実績評価基準が明確化されれば、おのずと
誰もが納得いく信賞必罰制度の構築が可能です。透明性と、普遍的な基準を
設けることによってそれは実現可能となります。

(4)業務の見える化
経営の状況(売上、経費、生産性・・・)、改善活動の進捗状況など、半期
または年間の指標を明確にし、その達成度・推移のグラフを見えるところに張り
出し、実績管理を行います。「見える化」する事によって、新たな問題点も見え
てきます。
日常業務で「見える化」する項目としては、
 受注計画と実績、生産計画と実績、売上計画と実績
 工程不良率、クレーム件数
 生産性、リードタイム
 経費
 その他

(5)改善活動の仕組み
まず日常の改善活動を定着させます。でも、決してQCサークル活動を始めて
はいけません。
QCサークル活動は、数々の矛盾を抱えた改善活動であり、はっきり言って、
改善効果は得られません。

もっとも問題なのは、発表会でウソ発表を行うことです。QCストーリーは、
日常業務の改善には役に立ちません。特性要因図や、パレート図など、QC
7つ道具もあとからつじつま合わせ、発表のためのものに変質してしまって
います。もしQCサークル活動を行っているのなら、即刻中止すべきです。
時間とお金のムダ使いというしかありません。

では、どのような日常改善活動をすればいいでしょうか?
以下に、私が指導しているある会社の例を紹介します。

【毎日夕会】

日常の問題点、課題の整理と優先付けを毎日30分~1時間の会議でディスカッシ
ョンを行います。(夕方または早朝に開催)
役職者に経営者が加わり、司会と記録(議事録)は当番制にします。
すぐ解決できる項目は、分担を決めて実行し、次回の会議で結果を報告します。
実行に移した項目は、ルール化(手順書、業務マニュアル化)していきます。

また、問題が複雑で原因究明や対策の試行が必要な、中長期で解決しなければ
ならない項目、部門横断的な仕組みの構築が必要な項目はリストアップして、
各部門が作成する年度「業務計画書」の中で取り組む、または専門的な課題に
取り組むプロジェクト計画に追加していきます。

【業務計画書】
経営方針書のトップ方針に従って社員(役職者)は「業務計画書」を作成します。
トップの方針や目標を達成するため、自部門の範囲で実施する目標を立てます。
主な項目としては、半期、あるいは年間のQCDの目標達成するための改善です。
 ・売り上げ、利益の改善
 ・品質改善
 ・生産性の改善
 ・教育
 ・経費削減など 


これは、日常のすぐに改善できる課題以外の中長期の改善項目・目標として、
部門メンバー全員で分担して実施します。毎月実施した改善は、月末にトップを
交えてレビューを行います。

(6)業務フロー・マニュアル作成・維持管理の仕組み
【業務フローの明確化】
個人商店では、業務の処理方法や、判断基準は個人の裁量に任されています。
ただそれでは人によって仕事のやり方が違ってきます。
また、社長はいちいち、それぞれの社員へ指示を出し、また結果を聞いてその
都度判断を下さなければなりません。

業務量が少ない、少人数の組織では、それは成り立ちますが、業務量が増大し
社員数も増えてくるとそうはいきません。聖徳太子でもせいぜい10人の行動を
把握できるだけです。

そこで、業務処理を一定のルールで動かす必要が生じてきます。
社長は、人を直接動かすのではなく、ルールによって業務をうまく回して人を
動かすことが必要になってきます。それには、業務フロー、業務マニュアルを
作成し、社内をすべて仕組み化して動かすようにします。

業務マニュアルは作成して終わりではなく、問題が生じた時、新しい業務が
増えた時は、見直しして、書き換えることが必要です。マニュアルを書き換え
ることが、業務の生産性アップや、品質向上につながり、それが文書で残される
ことになります。つまり、会社のノウハウがだんだん積み上げられていくのです。

このことは、非常に重要で、維持管理、フィードバックのルールが無いと、単に
マニュアルを作っただけ、壁の棚の飾りになってしまうのです。

業務マニュアルを無視した業務のやり方では、ノウハウは蓄積されませんね。
逆に、社員には業務マニュアルの教育、マニュアルを順守した業務遂行の徹底
した教育が求められるのです。

【ISO9000との関係】
ISO9000に沿った品質マネジメント・システムを構築している企業が多くあると
思います。しかし、残念ながら、うまく機能しているとはいい難いですね。

それは、ISO9000の要求事項を、そのまま引用してシステムを作ってしまった
からです。そして最大の問題は、社長の意思が込められていない事です。
社長のこうしたいと言う意思が込められてこそ、初めて生きたマネジメント
・システムとして生きるのです。

まず、先に述べたように「基礎体力」をいかに養うのか、社長の意思を込めた
自社独自のマネジメント・システムを構築し、もしISO9000を取得するので
あれば、そのあと、要求事項と突合せすれば良いのです。

一般的には、最初からISO9000の要求事項に無理やり合わせさせられてシステム
を構築するために、実態に合わない、とんでもないシステムが出来上がって
しまうのです。


個人商店的な経営から抜け出し、組織と仕組みによる経営に移行するのは容易
なことではありません。しかし、ここから抜け出さなければ、成長軌道に乗る
ことはできません。

社長が一番望んでいる、成長企業として、一歩上に抜け出せるかどうかは、
この「基礎体力」作りが成功するかどうかに掛かっているのです。



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