4M管理は、特に多品種少量受注生産工場では、管理の重要ポイントとなっています。
しかし、ISO9000の仕組みだけでは、体系的な「4M変化点管理」は不十分と
なっています。
多品種少量受注生産工場では不具合を未然に防止する品質管理の仕組みとして
4M変化点管理は最も重要な位置づけとなります。
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1.4M変化点管理の概要
そもそも、4M変化点管理を行う目的は何でしょうか?
お客様からの要望であるならば、お客様は何か意図をもってそのような要望を
出されているのだろうと思います。
お客様から指摘されるまでもなく
「不良を流出させない」「お客様に迷惑を掛けない」ためにはどうすればいいか?
常に考えて行動されていることと思いますが、往々にして「もぐらたたき」に
なってしまい、不具合が発生してからの後手、後手の対応になりがちです。
不具合の発生を未然に防止するにはどうしたらよいか?
それには、機械の保守点検を実施する、ポカヨケ治具を準備する、作業者を
教育するなど、モノを生産する前に万全の策を講じます。
(工程設計における予防対策のしくみ)
モノの生産が始まったら、不良が出ないように、上記の予防策を組み込んだ
決められた手順、決められた方法で整然と作業を行います。ところが、整然と
した作業を乱す、様々な要因が発生します。そのきっかけとなるのが、変化点
です。
いくら予防対策の仕組みを万全に講じても、生産現場では、変化点がきっかけ
となって不具合が生じてしまいます。様々な変化点が生じても不具合が生じ
ないように管理を行うことを、「変化点管理」「4M変更管理」などと呼びます。
変化点管理は、予防対策とも捉えられますが、もうすでに生産が始まってから
の管理なので、厳密には予防対策とは言いません。(予防対策は生産を始める
前に工程設計段階で講ずる処置のこと)
この予防対策で防ぎきれない項目(予防対策の不備)を、製造現場で、不具合
が発生しないように管理すること、これが変化点管理の目的です。
変化点管理の位置づけと目的が明確になったら、次に自社の工程で、何を管理
すれば不具合が発生しなくなるのか、項目を抽出して管理方法を決めます。
意図的であれ、意図的でない変化点であれ、工程が乱れないように管理する
項目を決め、日常管理の中で手順化しておきます。
異常・・・不良ではないが、放置すると不良につながる現象
(異音がする、寸法管理限界値を超えた、初物、中間、最終チェックで寸法
が変化した)
不良(不具合)・・・寸法規格はずれ、検査不良、機械の停止、ヒューマン
エラー発生
不良(不具合)が発生する前に異常を検出して、速やかに対処し、不良を未然
に防止する、あるいは、不良が次工程へ流れないように管理する、それが
「先手管理」であり、何に重点を置くか(重要部品、重要工程)を決めて管理
を行うことを「重点管理」と言います。
2.変化点管理で必要な事は
①異常を定義する・・・何を異常と定義するか点検項目、手順、判定基準を
明確にします。これは、先手管理を行うために、自社の今までの実績や経験
から、抽出すべき内容であり、世の中で決まっているわけではありません。
異常が発生するのは、何らかの変化が生じていると考えられるので、それを
突き止めて対策を講じます。
②すべてを均一に管理することはできないので、重要製品、重要寸法、重要
工程などを決めて点検点・管理点を定義します。
重点管理では、一般の管理とは異なり、異常の監視周期の頻度を上げる、
工程の点検項目・品質特性の監視項目を増やすなどの管理方法を取り、
異常を漏らさず検出します。
③あらかじめ予測ができる変化点発生時の管理を明確にします。
設計変更、工程変更、段取り替え、人の交替など、それぞれに応じて①、②
を適用します。
④予測できない突発的な変化点発生時の管理を明確にします。
停電、不具合発生による作業中断、機械の故障など、それぞれに応じて①、②
を適用します。
変化点管理は、日常管理の大部分を占める重要な管理であり、管理監督層は
「異常」「重点項目」「予測できる変化点」「予測できない変化点」など、
管理方法について、明確に答えられるようにしておかなければなりません。
変化点管理ボードは以上のような管理手順を明確にした上で、何を表示する
のかを決める必要があります。