セル生産方式、カンバン方式など、ジャストインタイムの工場の仕組み、生産方式
を導入しようと努力している企業は多いのですが、その効果はまちまちです。
現場管理者の視点から見た生産性向上の進め方とは?
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ただ、単に個別の手法をまねて導入しようとしてもうまくいきません。
例えば、先日以下のようなWebからの問いあわせがありました。
『ヨタをはじめとする自動車メーカーは多品種多量生産と認識してよろしいので
しょうか?トヨタでも工場単位で見れば、1工場2,3種類の車種しか作っていま
せん。もちろん、最終組み立て工程では顧客に合わせた仕様変更があり、多品種
と言えなくもありません。
しかし、前工程であるプレスやフレームは車種数に比例しますので、多品種とは
なりません。
私の管理する部品製造工場は第一工程であるプレスの段階から数千種あり、トヨタ
OBの方々が言う多品種品とはニュアンスが違うように感じます。
この工場には数年前にトヨタOBの方が来られ、ストア設置を強引に行い、各工程間
に膨大な品種の在庫と量を作り出してしまった事もあります。
現在、社内で勉強会を開いており、多品種の定義についてある程度まとめたいと考
えております。ご意見をいただければ幸いです。』
さて問い合わせの中でも疑問に感じているように、トヨタのような大企業と一般の
加工専門企業と同じ考えで物事は進みません。
トヨタの多品種は、工程の最後の段階で様々な塗装や、内装が施されますが、販売
計画によって、生産台数が分かっているので、計画的に見込み生産が可能なのです。
直販の販売会社を持っているので、このような事が可能になっています。
ジャストインタイム・カンバン方式は、このような見込み生産が可能な生産変動が
ごくわずかに抑えられた製品に対して有効です。カンバンは、微調整の手段として
後工程引き取りを行うので工程間仕掛は、最低限で押さえられるのです。
ところが、一般の部品加工工場は、突発的な割り込み生産、図面待ち、納期変更
数量変更、設計変更など、生産変動が日常茶飯事です。また何年も前の部品も急に
作らなければならないこともあります。
このような変種変量生産を強いられる条件のもとで、カンバン方式はそもそも成り
立つ筈がありません。
このような条件を無視して、形だけ取り入れようとしてもうまくいきません。
自社の受注状況や、設備の能力、ネック工程など現状に見合った対策を講じ
目的である生産性向上、リードタイム短縮を図ることです。
カンバン方式導入は、手段であり目的ではありません。