加工精度などの品質とコストは基本的に、トレードオフの関係にあります。
それらを、いかに高い品質レベルで価格を低くバランスさせるかが、企業の
競争力向上へとつながります。
現場管理者の視点から見た生産性向上の進め方とは?
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10の品質を10のコストで実現できる企業よりも、10の品質を5のコストで実現
できる企業や20の品質を10のコストで実現できる企業の方が競争力が高いと
いえるでしょう。
では、5の品質を5のコストで実現できるB社は競争力が高いのでしょうか。
もちろん、これは一概には言えません。市場が10の品質を求めているならば5の
品質では競争相手にはなりません。しかし、市場のニーズが5の品質であった場合
10の品質の企業がその品質をどれだけのコストで提供できるかが勝負の分かれ目
になってきます。
それは5の品質だからと言って5のコストで実現できるとは限らないからです。
7や8のコストでは負けてしまいます。その意味で品質とコストは、単純な比例関係
になることはなかなかありません。
日本メーカーが海外、特に新興国のメーカーと競争するためには、品質とコストの
バランスをどう実現するかが今後、ますます重要になってきます。単に低コスト化
を図ったり、また単に高品質を追求するだけでは競争に負けてしまいます。
受注生産企業の場合、顧客から求められるのはまず、価格です。
品質トラブルを起こさない、納期を守る、これは当たり前のことであり、その前提
で、より安いメーカーへ発注することになります。
メーカーとしては、いくら安く受注しようが、儲けを出さなければ経営は成り立ち
ません。そこで注目されるのが「スループット(付加価値生産性)」です。
「生産性」とは、投入資源と産出の比率です。
投入した資源に対して産出の割合が大きいほど、生産性が高いということになり
ます。つまり労働生産性とは「産出(労働の成果)」を「労働量(投入量)」で
割ったもの、言い換えれば「労働者1人あたりが生み出す成果」あるいは「労働者
が1時間で生み出す成果」の指標です。
ですから、ムダや不良は極力なくす必要があり、更に従業員が少なくても生産高
を高く保てる工場が「生産性」が高い工場と言えます。
製造業は、生産性をいかに高めるのかが、究極の目的と言えます。
その中に当然、品質の改善も含まれます。
単に、検査をなくす、是正をして不良率を下げるという考え方ではなく「生産性」
を向上させるのはどうするかを考えるべきと思います。