工場のトラブル未然防止の品質管理のしくみ、予防処置を講ずる必要性は十分
わかっていても、なかなか理想通りにはいきません。労多くして効果はすぐに
期待できない現状の中で、品質保証部長として最優先で取り組まなければなら
ない事は、「不良品は絶対に外に出さない事」です。
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これは当たり前のことと思われますが、最近は大企業でも、不良品を合格品と
して市場へ垂れ流す不祥事が相次いでいます。
品質保証部長が品質保証部としての社内戦略を持たないと,部下は肩身の狭い
思いをします。品質保証部長は「何をすべきか」を明確にしなければいけない。
品質部門は、不良品の選別を行ったり、ISOの維持管理だけを行う無力な組織
と化してしまっているのは、そこの責任者である品質保証部長の責任です。
品質保証部としてやらなければいけないことは
①不良を絶対に外に「出さない」プロジェクトを発足させ
品質保証部の実績を上げること
方法はいろいろあるが、即効性が期待できるのは「検査」です。
悪知恵でもかまわないので,とにかく不良流出ゼロを実現してみせる。
そうしないと,何を言おうと信用してもらえず、あとが続かないのです。
検査で不良が発見されたら、即ラインストップを宣言します。
納期が遅れ、営業や生産部門から文句を言われようが、かまいません。
検査の役割は、「特採」で出荷することではなく「出荷を止める」ことです。
不良の原因が突き止められ、品質が確認されるまで出荷は許可しないことです。
生産スケジュールや納期の心配は生産部や営業部門の責務です。
こんなことを繰り返していたら、工場の信用が丸つぶれとなると総スカンを
食うことは明らかですが、そこで踏ん張れるかが勝敗の分かれ目です。
データをねつ造して良品として出荷する行為こそ、致命的な信用失墜につな
がるのです。これを見逃してはいけません。
やり方としては、最初に影響の少ない製品で、工程ストップを宣言します。
そこで、工場全体がどういう動きを取るのか?顧客に対してはどのような
アクションを取るのかを、事前に想定しておき、シナリオ通りに行動に
移します。
慣れて?きたら、重要製品でも工程ストップ権限を発動します。
これで、工場中が迅速に動けるような仕組みができ上がればしめたものです。
まず、周到に計画し、勇気をもって行動に移すことです。
検査は付加価値を生まないというのが一般常識ですが、垂れ流し検査をして
いては付加価値を生まないのは当然です。
②次は,不良を「入れない」しくみを確立させる
協力工場の納入品質のよしあし評価を通じて,「受入停止権」を獲得すること
です。同様に、停止後の対策、良否判断基準を決め、「停止解除」の宣言も
行います。
協力工場のランク付けを行い、見える化することによって、協力工場相互の
意識づけ、競争意識を高めます。
以上の2点をライン業務として責任を持つこと、そうすれば品質保証部の言う
ことを素直に聞いてくれる人達も増え,上層部への発言力もアップします。
実績を上げると、品質を通じた改善業務がやりやすくなります。
不幸にしてクレーム発生した場合は、迅速化処理、流出防止を最優先させる
ことは言うまでもありません。
品質トラブル流出の、処理のまずさは、原因を追究し「トラブル発生を押さえる」
という発想にこだわり、対策が後手後手にまわってしまう点です。
理想は理想として、とにかく今は本質論より、流出防止をどんな手段を使って
でも最優先させることです。
そして最後に不良を作らない社内改革に着手します。
これが、グローバル化した生産体制、国内での多品種少量生産における品質
確保の最も効果の上がる方法です。
③不良を「つくらない」しくみは,本来は,生産部門部門が
主体となって進めるべき問題です。
しかし、日常の業務に追われ、後回しにされているのです。
そこで,品質保証部が主体となって製造,技術の3者合同のプロジェクトを
発足させ、「未然予防の仕組み」を構築します。
④品質管理の仕組みを定着させる
以上のように製造品質の不良を外に「出さない」「入れない」「つくらない」
3ない品質管理方式が確立してから,それを定着させるための管理の仕組み
づくりに着手しますが、環境変化の激しい時代では、なかなか確立が困難な
状況となっています。
品質管理の究極の目的は、トラブルを未然に防止するしくみづくりです。
しかし、それは一朝一夕に実現できるものではありません。
日本品質はもともと優秀な技能者によって支えられてきたのであって、決して
品質管理のしくみが出来上がっていた訳けではありません。
従って、即効性のある流出防止対策「ライン停止」「出荷停止」「受入停止」
を徹底し、顧客の信頼を獲得すると同時に、市場流出による失敗コストの低減
に努めることこそ最優先の命題であると考えられます。
自動外観検査機など、デジタル技術をうまく使うことで、「検査」はより付加
価値が高まり、有効な品質管理手法として見直されています。