2019年10月07日

中小製造業のMRPシステムの欠点を克服する(製造業の工場品質改善の進め方・事例の解説)

生産管理の目的は、一般に品質の良いものを、より早く、より安く顧客に
提供することです。
そのためには、欲しいものを欲しいときに客先に届ける「ジャストイン
タイム」の仕組みで、顧客の満足度を向上させることが必要です。




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1.現在運用している生産管理システム
生産管理方式は、MRPを主体とするプッシュ方式、カンバン方式で代表さ
れるプル方式の2つに分類されます。但し、各企業の実情に応じて、製番
管理方式、追番管理方式などの補助システムと組み合わせて管理が行われ
ています。

現在最も広く運用されているMRPを主体とした生産管理システムは、長所
・短所を合わせて持ち合わせているため、多品種少量・変種変量生産に適
合させるためには様々な工夫が必要となります。

そこで、すでに運用されているMRPの考え方、MRPを主体としたコンピュ
ータ管理システムが導入されている企業を例に、どのように対処してい
ったらいいのかを以下に整理してみます。

2.MRPシステムの欠点を克服する
(1)MRPの特徴
MRPは、アメリカで開発され、日本語訳では「資材所要量計画」と呼ば
れています。これと対比して、脚光を浴びているのが日本のトヨタで開
発されたカンバン方式です。

MRPの基本ロジックは以下の通りです。
 ①「基本生産計画」の設定、入力
 ② 部品×生産計画台数=「総所要量」計算
 ③在庫を加味して「正味所要量}の決定
 ④不良率、最低発注量などを考慮して「発注量」の決定
 ⑤各工程の着手日を考慮し「発注タイミング」の計算

MRPの特徴として
 ・プッシュ式・・・中央のコンピュータ統制機能により各工程を管理する
 ・計画主導型・・・達成可能な完成計画を立て、それを死守する統制機能
 ・部品表・・・ストラクチャー型部品表を展開し、所要量計算と発注を行う
 ・ジャストインタイムの一貫した工程一元管理のシステム
 ・情報は、正式かつ公式な情報で運用、KKDのあいまい情報では動かない
 ・オーダーリリースの考え方で、リリース後は変更が利かない
 ・独立需要品目、従属需要品目の2つの概念で、基準生産計画が立てられる

など、繰り返し生産が行われ、部品表、基準日程などの各種情報の確度が
高いもの、設計変更が少ないものなど、比較的安定した製品に向いています。

(2)MRPの欠点
 ・情報システム構築が優先し、現場を軽視した管理システムに陥りやすい
 ・製造指示は日単位であり、時間単位のきめ細かなスケジュールは立てられない
 ・一旦オーダーリリースで確定を掛けると、その後の計画の変更ができない
 ・基準情報の正確性を欠くと、仕掛在庫が課題となる、リードタイムが長くなる

など、納期の短いもの、繰り返し生産がないもの、設計変更、納期変更が
多いものなどには、対応し難い性質を持っています。

(3)MRPの欠点を克服する
MRPの欠点を克服し、成功に導くためには、初めから無理とわかっている
「精神論」的な日程計画や負荷計画、KKDに頼った基本情報の入力を行わず
過去の蓄積データに基づいた「手順計画」「負荷計画」「日程計画」を立
てることです。そのポイントとなる項目は以下の通りです。

 ・実現可能な生産計画を立てる
 ・正確な部品表示データーを維持する
 ・入出庫情報の正確な把握
 ・基準情報を甘くしない

ただ、この場合、多品種少量生産、あるいは、変種変量生産では、「でき
る限り」「可能な限り」という条件が付いてしまいます。

従って、この欠点を克服し、自社に最も適したシステム(仕組み)を独自に
開発していくことが極めて重要です。

3.生産管理システム(仕組み)の改善案の検討
現状、実態の調査と数値化、解決すべき問題点・課題が明らかになった
段階で、いよいよ自社の実情に適合した生産管理システム(仕組み)の
設計に入ります。ここでは、コンピュータシステム構築を除いたしくみ
つまり組織・ルール・人材に焦点を当てて検討すべき項目を抽出します。

まず、企業としての生産管理の方針を明確にし、組織・ルールの改善を
進めます。最初にコンピュータシステムの改善から取り掛かると、99%
失敗します。それは理論が先行し、製造現場の実態が軽視されてしまう
からです。

以下に、ポイントとなる改善の項目を解説します。

(1)カップリングポイントをどこに置くか
見込み生産と受注生産の合流点をどこに置くか?すなわち部品で在庫を持
つか、半製品まで見込み生産し在庫を持つかをリードタイムとの兼ね合い
で決めます。

(2)プッシュ式/プル式のどちらにするか
MRPを主体とした、計画型の管理を行うか、カンバン方式を導入するか
あるいは併用するかなど、受注の平準化度、在庫量、リードタイムなど
を考慮して決めます。

(3)製造ラインの物理的改善との同期をどのように図るか
ライン生産、セル生産ラインでの1個流し生産、混流生産などの製造ライ
ンの方式と生産管理方式は、全社の取組みとして、同時進行で検討して
いかなければなりません。

(4)どのような改善目標(指標)を設定するか
生産管理方式の改善は、自社にとって、何のために行うのか?何を改善し
たいのか?を明確にした上で進める必要があります。その場合、自社の課
題や問題点は数値で捉えておくことが必要です。

(5)具体的な仕組みの検討項目
(1)~(4)の生産管理システム(しくみ)の方針・目的及びシステム
の骨格などの基本構想をしっかりと固めておくことが極めて重要な作業と
なります。

将来にわたって、使いやすいシステムが構築できるのかどうかは、基本
構想の良し悪しで決定してしまうのです。

最終ステップとして、細部の仕組みの設計を行います。
細部の仕組みについては、様々な解説書が出ているので、ここでは詳細
説明は割愛します。
重要なのは「基本構想」を実現するにはどうするか?を忘れてはならな
いことです。

 ・生産計画のしくみ
 ・材料所要量計画のしくみ
 ・日程計画のしくみ
 ・材料調達・外注調達のしくみ
 ・作業指示のしくみ
 ・進捗管理のしくみ
 ・フィードバックのしくみ
 ・生産管理組織、人材


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