製造業のクレーム対策の進め方の事例として自動車のリコールの問題を取り上げ
てみます。
トヨタ自動車の実施したリコールは、2012年度 214万台、2013年度 165万台
実施しており、過去五年間を見ても毎年100万台を下りません。
そして、日産やホンダなど、国内メーカーを合わせると、2013年度は800万台に
上る数のリコール件数となります。
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なぜリコールが多いのか?
トヨタ生産方式の品質管理に対する取り組み方に何か欠陥があるのか疑問が沸い
てきます。
大量リコールが続くワケ!多くの自動車関係者は4つの理由を挙げています。
1.自動車の電子化が進みソフトウエア開発が複雑化したことで、不具合自体が
増えているという見方。プリウスのリコールは、まさにこれに当る。
2.部品の共通化が進んだことで1つの不具合が多くの車種に影響するため、リコ
ールとなった場合の規模が拡大する、という解説も多い。
3.2004年の三菱自動車のリコール隠しや2010年のトヨタの品質問題などを教訓
に、日本メーカーが従来ならリコールをしなかった問題でもリコールで対処す
るようになったことで件数が増加していると言う見方。
4.グローバル展開の加速、開発期間の短縮により開発技術者の絶対数が不足、
十分な時間が取れない中で、開発を強いられてると言う見方。
ただ、これらの理由は、メーカー側の言い訳でしかないように思えます。
2014年の「タカタ」のエアバックの欠陥に代表されるように、生命にかかわる
欠陥を世の中に流出させながら、作り手の論理を振りかざすことは許されません。
(米国当局)
日本自動車工業会の豊田章男会長(トヨタ社長)が「リコールの判断が、以前の法令
遵守や技術的な問題があるかどうかから、お客様の安心安全に変わってきている」
「リコール=悪と考えないでいただきたい。間違いが見つかったときには即直して、
お客様の安全安心を確保する。ご理解いただきたい」と述べていますが、いささか
売り手の論理が見え隠れします。
「間違いが見つかったときには即直して・・・」とは、欠陥が流出することを前提
とした発言であり、これは責任ある立場のコメントとして許されないものです。
「複雑な作りになった」「共通化が進んだ」というなら、品質管理も従来に増して、
いやその時代に合わせて、そのやり方を変えていかねばなりません。
守りから攻めの品質管理への脱皮が今こそ求められます。