ISOを正しく取得する方法;いまさら聞けない品質管理の基本!標準化,ルール,ISO9000,品質マネジメントシステム,経営品質向上

ISO9000の小規模企業での無駄のない取得方法について解説します。
日本もグローバル化の中で、1990年代にISO取得ブームが巻き起こりました。
あれから、25年以上たって、どうでしょうか?取得した企業は口をそろえて
「役に立たない」「維持費用が高すぎる」と、否定的な意見が多く聞かれますね。

■ 建設業界のISO事情
下のグラフを見てください。
2006年をピークに取得件数は減少傾向が続いています。
スライド1.JPG
引用:日本における認証の実態(公益財団法人日本適合性認定協会)

主な原因は、建設業界の取得が大幅に減少しているからです。
建設業者がこのように当初ISO9001取得に向かったのは、公共工事の入札の問題
があり、入札への影響を懸念する建設業者が一斉にISO取得に乗り出したのが、
建設業者の認証が急増した理由です。

受審業者の中には小さな会社が多く含まれており、社員が数10人程度の会社が
次々とISO9001の認証を受けています。小さな会社が無理をしてISOを取り、
メリットを出せず、経営を圧迫している点も大きな問題です。

建設業は、公共工事を巡って行政に対し、大量の書類を作成し提出しています。
このような会社がISO9001に取り組むと、近隣の業者から品質マニュアルや
規定類を集めてきて、あっという間に同じものを作ります。

しかし、ISO9001は仕事に合わせて書類を作るのが重要で、書類を先に作ってしま
うと動けなくなります。自慢の機動力がアダになって、他社の丸写しの動かないシ
ステムを作ってしまうのです。

■ ISO取得企業がなぜ不祥事を起こすのか?
次に下の図を見てください。
ルールで決められたことを忠実に守り、守られているかどうかを監視する機能の
確立、社員に対するルール順守の認識が高められているなら、このような問題は
市場に出ないはずです。

下表のような問題は、ISOの認証を受けたマネジメントシステムのもとで発生し
ており、一体何のためにマネジメントシステムを構築し、そしてまた、第三者機
関は何のために定期審査を実施しているのでしょうか?
スライド2.JPG
引用:日本における認証の実態(公益財団法人日本適合性認定協会)

これらを見ると、ISOの取得は決して、消費者にとって、信頼に値するものでな
い事が証明されたことになります。

では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
先ほどの入札に参加する目的だけの建設業界のように、各企業は単にライセンスを
が目的だけで取得しているのでしょうか?

いや、経営者は、「品質が向上するから」「マネジメントシステムが整備される
から」など、会社を良くしようとして、お金を掛けてでも取得しようと考えたに
違いありません。

では、なぜ当初の目的を達成できなかったのか?また当初の目的を達成するため
には、どのような手順で、システムを構築し、どのようにそのシステムの維持管
理を行っていけばいいでしょうか?

以下、実際にある小規模企業で実施した例を示します。
1.トップの考える会社の将来像(5年後、10年後のビジョン)を明確にする
2.経営の基本となるトップの理念・行動指針を明確にする
3.会社の将来像を見据えて、必要な業務や工程を明確にし、業務フローを作成する
  (例:市場開発部、多品種小ロット対応製造ライン、アフターサービス部など)
4.組織図を作成する(各組織の役割、権限を明確にする)
5.必要な人材像を明確にする(どんな技能や職務経験を持った人材が何人必要か)
6.1年間(年度)の方針、目標を決める(経営計画書作成)
7.方針、目標にそって、各組織の年度の目標と達成計画を立てる(業務計画書作成)
8.業務計画実行の進捗度と、目標達成度を毎月レビューする
9.必要な人材を育成するための教育計画を作成し、業務計画に加える
10.以上1~9をルール化(規定化)する(ISO9000の品質マニュアルに相当)

上記を見て、従来持っていた一般のISO9000の構築手順とはずいぶん違うイメージ
を持ったと思います。
1~10までの手順は、経営の根幹を成す活動です。これがしっかりと実行できて
ルール化がされることが大前提です。これができていないまま、ISO9000を取得
ても、全く意味がありません。

経営者としての要求事項を実現させるためのマネジメント・システムのはずです
からまずトップの考えを優先させるべきです。ISO9000の要求事項はその後に
当てはめればいいのです。

ISO認定機関は、あなたの会社の経営の事は全く考えてくれません。
iso9000の要求事項さえ規格が満足していれば認定証をくれます。
しかも実行は伴っていなくてもいいのです。
(記録類がでっち上げでもとがめられることはありません)
これが、嘘がはびこる原因となっているのです。

認証取得するには、ISO認証機関、ISO専門のコンサル会社に依頼する前に
このことをしっかり考えなければならないのです。

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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
 日本が誇るものづくり技術にもっと磨きを掛けよう!!

 設計、製造、品質管理、海外工場管理などの実務経験45年
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