製造業の市場クレーム、不良流出対策を行うには、まず、何としても流出
を止めることに全力を挙げること。顧客の信用を失っては元も子もありません。
流出が止まったら、社内改革に着手します。
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品質問題は、経営を揺るがす経営問題の発展しかねません。しかしながら
品質管理は、品質部門だけに押し付けるという間違った品質管理の常識が
社内に蔓延しています。
クレーム対策方法、クレームをゼロにするにはどうするか考えてみます。
必要なのは不良品を顧客に渡さないことです。
顧客の考える不良とは、使ったとき機能を発揮しない品物、あるいは使っている
うちに機能が低下してしまうような品物のことです。
しかし、まず検査漏れをなくすことが先決です。
検査漏れは、最終検査だけでは防げません。各工程から、次の工程へ渡すときに
必ず良品を渡すようにしなければなりません。(トヨタ自工程完結のしくみ)
最終検査では、不良が見つかった場合、絶対に顧客に渡さないことです。
品物を止めると、あらゆる部門から文句がきますが、強い権限で、出荷停止
処置を取ります。
さて、次に厄介な問題として「潜在不良」があげられます。
潜在不良とは、工場の工程や検査では見つからず、市場で現れる不良や欠陥
のことです。
クレームが起こる第1の原因に機能の欠陥があげられます。
本来、カタログや仕様書にはその品物の機能・性能が書かれていますが、それを
信じて購入した顧客は、品物の機能・性能が満たされていなければ、それは欠点
となり、期待ばずれを感じ、クレームを申し立てることになります。
品物の機能・性能が満たされないのは、カタログや仕様書が、製品の機能と明らか
に異なる場合、また売り手側と買い手側の解釈の違いがあげられますが、作り手
側の論理で、顧客の要求している機能、使い方やメンテナンス性を十分取り入れ
た設計がなされていないことが考えられます。
第2は仕様書や図面とは異なる品物が出荷される(ばらつき)からです。
「製造上のばらつき」は、材料、部品のばらつき、製造設備の故障、狂い、作業者
の作業のばらつきなどですが、これらの影響を小さくしようとして、開発設計時に
価格の高い高級な材料や部品を用いようとし、また精度の高い高級な設備を導入し
ようとしたり、作業者に複雑で手間のかかる作業の負担を強いることになります。
これは明らかにコストアップにつながるし、好ましいことではありません。
第3は使用中にカタログ通りに機能しなくなることです。
製品機能の変動の原因は、製造工程で起こるばらつきの他に、使用環境の変動
劣化や摩耗により機能特性が変化するからです。
「使用環境のばらつき」は、品物の使用中の気温、湿度、気圧、電圧、姿勢など
の変化による影響のことをいいます。ユーザーは品物の使用目的に応じて多様な
環境で使用しますが、仕様書で使用制限をしていないのなら、あらゆる使用条件
で表示通りの機能特性が得られるものと考えます。
開発設計の性能確認を標準条件で行って、どんなに良い値が得られてもあまり
意味が有りません。使用中の環境条件の変化を加味した開発設計の方法が必要
なのです。
「劣化、摩耗によるばらつき」は、構成する機構部品が摩耗して寸法が変化した
り、或いは構成材料が保管中、使用中に経時変化で劣化、疲労し変質することに
よる目的特性の変化により発生します。
上記のように、クレームが起きる潜在不良は3種類に分類することができます。
1.機能の欠陥による
2.使い方によって機能が満たされない、けがや災害が発生する
3.使っているうちに機能が満たされなくなる
では、潜在不良をゼロにするためにはどうすべきでしょうか?
市場に流出する不良は、氷山の一角です。
製品が出荷されるまでの社内工程の品質管理、あるいは組織の品質管理に問題
があり、それらの要因を一つ一つ洗い出して対策を講じていく必要があります。
品質管理の目指す目標は、未然防止の品質管理です。
そのための仕組みや、組織を強化すること、そして人材教育をしっかり行う
事が求められます。