管理者が習得すべき品質教育の基本(1)日常品質管理の基本;製造業の人材育成の進め方事例

品質教育の必要性を感じつつも、いざ実際にどのような教育を実施したらいいか
悩んでいる経営者も多いと思います。
以下に、実務的な品質管理教育の内容について(1)~(3)に分けて紹介
していきます。
 (1)日常品質管理の基本(この記事の解説

  DX時代の人材育成、企業の中核人材として何を学び、実践していくのか?


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品質教育は必須!シリーズ.jpg

ISO9000、QC七つ道具、統計的手法、なぜなぜ分析から実験計画法、FMEAなど
など、現場で必要とされる品質管理手法の教育二一ズは豊富にあります。
しかし、QC手法、統計解析手法などのスキル向上は、現場に戻って、本当に仕事に
生かされているのかどうか?怪しい面も捨てきれません。

また昨今、企業風土自体に品質軽視の風潮が見られ、それが社会問題として現れ
スキル教育どころではなく、経営者も含めた企業全体の品質重視の教育の必要性も
強く感じる昨今です。

ここで取り上げるのは、このような状況下で、何をどのように教育すれば効果的
なのかを基本に立ち返って、考えてみたいと思います。

品質教育の目的は、「品質向上に貢献する人材」の育成です。
教育の対象は、直接員、間接員、パート社員、中間管理者などすべての社員が
含まれます。むしろ一般社員よりも、管理層の教育の方に力を入れるべきだと
思います。

以下に(1)日常品質管理の基本教育内容を示します。

①「お客様第一主義」の意味とは?
よく、企業を訪問すると応接室や社長室に「顧客第一主義」という掲示が目に
入ってきます。
しかし社員は「お客様第一主義」をどのように理解して仕事に生かそうとして
いるでしょうか?
また経営者は「お客様第一主義」をどのように理解し、経営に生かそうとして
いるでしょうか?
スローガンを掲げるのはいいのですが、では実際どのような行動に結びつけて
行くのか?具体的に示している企業は少ないと思います。
実は、お客様から言われたモノを言われた通りにつくるのを仕事としている
企業の多くが赤字経営に陥っています。
 ★詳しくは<こちら


②品質管理の目的は何か?
品質管理とは、顧客の要求に合った品質の商品およびサービスを経済的に作り
出すための企業の一連の活動体系であり、トラブルが起きないようにプロセス
を設計し、実行すること。

しかし、人間は最初から完璧なプロセスは設計できない。またすでに出来上
がったプロセスは、改善する以外にないため、永遠に改善活動を続けること
になる。

当初、製品の品質を一定のものに安定させ,かつ向上させるための管理を意味
したがTQM、ISO9000などの導入によって、QCDを含む、会社全体としての
品質をマネジメントする意味合いに広がっている。


③4M管理とは何のことか?
4Mとは、人(Man)機械(Machine)方法(Method)材料(Material)
のこと、5Mとは、4Mに測定・検査(Measurement)を加えたもので
工場を管理する上で欠かせない要素である。
特に多品種少量受注生産工場では、4Mの変化をとらえて品質管理を進めて
いかなければならない。
・工程設計における4M管理の意味
 工程設計では、4Mのそれぞれの管理項目を決め、品質の安定した製品を
生産できるようにQC工程図、作業指示書、検査指示書などを準備する。

・生産ラインの4M管理の意味
決められた4M管理項目を守り生産を続けている間に、様々な変動が
生じて、決められた4Mの条件にばらつきや変化が生じて来る。
このばらつきや変化をトラブル発生前に前兆をとらえて管理しなければ
ならない。(4M変動管理、4M変化点管理、異常の検出と対策)

・トラブル発生時の4M管理の意味
 製品の不良や、機械のトラブルが発生したのは、上記で決められた4M管理
がうまくいかなかったときである。
なぜ不良やトラブルが発生したのか?なぜ管理がうまくいかなかったのか?
工程設計、4M変動管理のどこに問題があったのかを調査し管理の不備や漏れ
を直していく必要がある。(再発防止)
その時に、4Mを魚の骨として要因を列挙する特性要因図などが使われる
 ★詳しくは<こちら


④「品質は工程で作り込む」の意味は何か?
トヨタでは品質を各工程で作りこむ自工程完結によって最終的な検査に
頼らなくとも、ミスがなく高い品質を保てる仕組みを構築し、仕事の
段取りをきちんと行う事で手戻りややり直し、漏れ、無駄のない効率的
な業務を進められるようにします。

「自工程完結」は、不良品を後工程に送らないというお客様第一主義から
生まれた考え方です。以下に自工程完結の4つの考え方を示します。
1.自工程完結の目的は、付加価値を生まない検査をなくすこと。
 「検査レス」を目指す。そして基本は「後工程はお客様」であること
2.そのため、生産ラインのそれぞれの「工程」で、要求品質や要求事項を
 満たすためのしくみづくりを行う
3.良品条件、良品状態を作業の手順の中で表し、場合によっては、設計
 変更を伴うこともある
4.重要な事は、これらの活動は生産が始まってからでは遅いということ
 特に小ロット多品種生産では重要な考え方
 工程設計、QC工程図作成、製造準備段階における予防活動を指す
 ★自工程完結フローの詳細は<こちら


⑤品質とコストの関係とは?
日本メーカーが海外、特に新興国のメーカーと競争するためには、品質と
コストのバランスをどう実現するかが今後、ますます重要になってきます。
単に低コスト化を図ったり、また単に高品質を追求するだけでは競争に負けて
しまいます。

受注生産企業の場合、顧客から求められるのはまず、価格です。
品質トラブルを起こさない、納期を守る、これは当たり前のことであり、その
前提で、より安いメーカーへ発注することになります。
メーカーとしては、いくら安く受注しようが、儲けを出さなければ経営は成り
立ちません。そこで注目されるのが「スループット(付加価値生産性)」です。
 ★詳しくは<こちら


以下の内容は、各記事を参照してください。
(2)不良流出や再発問題の発生を抑える<こちらから
①三現主義(現場・現物・現実)をどのように実施するのか?
②上流で品質を作り込むとはどういうことなのか?
③ホウレンソウを徹底するにはどうすればよいか?
④現場のルールを守らせるにはどうすればいいか?
⑤再発防止策を講ずるための効果的な方法、手順はどのようなものか?


(3)リーダー、管理者の責務<こちらから
①現場作業の教育計画と実施
②人、モノ、作業の計画・進捗の見える化
③整理・整頓・清掃・清潔・しつけ・点検
④標準化
⑤業務目標の設定と職場の改善


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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
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