2018年07月07日

FTA(故障の木解析)の実施方法: FMEA(DRBFM)/FTA/解析事例、実施手順

FTA(フォルトツリー解析)とは、その発生が好ましくない事象について、
発生経路、発生原因及び発生確率をフォールトの木を用いて解析することを
いいます。


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1.FTAとFMEAの比較
FTAは、望ましくない事象に対しその要因を探る、トップダウンの解析手法を特徴
としており、類似のFMEA(故障モード影響解析)とは逆のアプローチとなります。
FMEAFTA.jpg
と、一般的に説明されていますが、概念は理解できても実際にどのように違う
のかは、理解されていない場合が多いのです。
(実際に、FMEAはボトムアップ解析と言いながらトップダウン解析を行っている)

また、FTAは流用性の高い製品の望ましくない事象の解析、FMEAは新規性の高い
製品の予期しない想定外の事象の解析に向いているのですが、この点もあまり
理解が進んでいません。

2.FTAの陥り易い間違い
FTAの実施手順は、下記の3項のような解説が一般にされています。
しかし、この内容では、実務では使うことができません。
実務で使うためには、以下の点に注目しなければなりません。

(1)目的を明確にする
何を目的に解析するかによって、どんな基本事象を洗い出すのかが異なって
来ます。
 ①製品の構造上の問題
 ②製品のソフトウエアも含む機能上の問題
 ③市場における使用環境、誤操作など人の使用上の問題
 ④法規上の問題、社会的な問題

(2)発生要因の摘出
トップ事象の下方に、トップ事象の発生に関与する要因事象(十分条件)を
系統的に、すなわち、漏れや重複がないように列挙します。
この概念は「ロジカルシンキングのMECE」で明らかにしているように、相互に
ダブリがなく、全体としてモレがない、これがすべてという総枠を設定する必要
があるのです。

この概念が欠如している解析を見ても、何を根拠にしているのかが分からず
第三者による検証ができません。

FTA/FMEAのすべての疑問に答える解説書

3.FTAの実施手順
(1)望ましくない事象の定義
FTAでは、まず始めに望ましくない事象を定義します。
予防しなければならない重大事故m不良を上位事象 (Top Event)と呼びます。
FTA図では、上位事象を長方形の枠で囲み、図の最上段に配置します。

上位事象には、機器の故障に限らず「火災」、「講演会の中止」、「登山の遭難」な
ど、どのような事故でも設定することができます。

上位事象は、その発生防止が可能な性質の事象でなければならず、自然現象を上位事象
にすることは出来ないとするのが一般です。しかし、その上位事象の発生頻度の解析
だけを目的とする場合は、自然現象を上位事象にすることもあり得ます。

(2)故障木図の作成
トップ事象と基本事象の因果関係をブール論理(AND/OR)を用いて表現した故障
の木を作成します。トップ事象を頂上に置き、その下に1次中間事象、2次中間事象
などと階層状に中間事象を配置し、最下段に基本事象を配置します。
基本事象とは直接確率を見積る事象のことを言い、逆に、確率が判断できる事象を
基本事象とします。

基本事象A,B,Cの内、いずれか1つが発生すれば上位事象Xが発生する関係を示す
論理記号をORゲートと呼びます。
この場合、基本事象A、B、Cの確率を加算して上位事象Xの発生確率とします。

また、A,B,C全てが同時に発生した場合に限って上位事象Xが発生する関係を示す
論理記号をANDゲートと呼びます。
この場合、基本事象A,B,Cの確率を積算して上位事象Xの発生確率とします。

条件事象Bを満たす場合に限り、「基本事象Aが発生すれば上位事象Xが発生する」
という関係を示す倫理記号は制約ゲートと呼びます。
この場合、下位事象Aと条件事象Bの確率を積算して上位事象Xの発生確率とします。

これらのゲートは、記号で示すか、また「AND」「OR」「CON」などの文字記号を
使う場合もあります。

(3)事象発生確率の割り当て
各事象の発生確率を求めます。
確率には、性質の異なる頻度確率状態確率の2種類があり、相互に性質(単位)
が異なる故に加算することは出来ませんが、相乗することは可能です。

ここで確率には4つの異なった性質のものがあることを理解する必要があります。
(最終的には2種類に帰する)
 ①単位時間の故障確率・・・年に1回起きる(1か月で起きる確率=0.08)
 ②混入確率・・・ロットから取り出した特定の1個が不良品である確率=0.01
 ③帰属確率・・・白100個、黒100個の中から1個取り出し、黒石である確率
 ④状態確率・・・設計上十分な強度がある確率=0.1
①〜③は、頻度確率です。④は状態確率で①から③とは性質は異なります。
そして頻度確率と状態確率の足し算はできませんが、掛け算は許されます。

例えば、
新規設計の機器において、一応の検証試験で合格した場合は、状態確率を0.1と
します。また数年の使用実績に耐えて問題なけれが0.01に評価します。
この状態確率を制約条件の確率として、これと別の異常な基本事象の頻度確率と
を積算します。

トップ事象の確率が過大なら、確率が最大のルートに対して対策を講じ、トップ
事象の確率が十分に小さくなるまで繰り返えします。
しかし、多くの場合、基本事象の確率を見積ることができずに形骸化してしまう
のです。

その最も大きな要因は、上記の基本事象の選び方の間違いです。
基本事象は確率の判断できる事象を選ぶ必要があり、データアプローチの原則に
従い、決してカンで確率を見積もってはならないのです。

頻度確率は、例えば、朝の出勤時に電車が動かない確率を評価するときは、そう
いう日が1年に1日あるかどうかを評価し、1日 / 365日 = 3×10−3 と、基本
事象から上位事象に至るまで全部の事象の確率を日単位で計算します。

しかし、地震でビルが倒壊して通行人を殺傷する事象を考えるときは、ビルの倒
壊と人の通過が同じ1分間に起きることを想定してANDゲートの下に配置しなけれ
ばならないから、頻度確率全体を分単位に統一評価してから計算します。

(4)評価
最後に、作成されたFT図を参照し、トップ事象の発生原因への対策を行う。
上で求められたトップ事象の発生確率が目標を満足しないときには、下位事象の
対策によってその確率を低下させる。

中間事象として、例えば、「材料、機械、人、方法、測定」を列挙した場合、それ
ぞれが妥当な確率値となるようにバランスを考慮して対策を講じます。
機械の故障は1万年に1度の事象である反面、ヒューマンエラーは1時間に1回ほど
ありうるというようなアンバランスな状態を解消して、過剰な確率を回避すると
同時に過剰対策をも回避することがFTAの基本的な考え方です。

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posted by k_hamada at 20:00| ★FMEA・DRBFM/FTAと市場リスク回避 | 更新情報をチェックする

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