FMEA簡易評価法は小規模な設計部門でも導入可能で、効果の上がるFMEA
手法について解説します。
膨大な資料を作成するFMEAは、中小企業にとって現実的では有りません。
また、FMEAは、本来の目的である「市場に於けるリスクの低減」の考え
方は十分に理解されておらず多くの企業で間違った解釈のもとに実施され
ています。
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FMEA(故障モードとその影響の解析)は、製品設計段階と、製造工程の
設計段階で実施が可能です。理論の勉強は大切ですが、実務に落とし
込んで使いこなしていくには、使用する側で自社の品質システムに
組み込まなければ、効果的なツールとはなり得ません。
ここでは、FMEAについて「How To」については他の識者に譲ることに
して「Know Why」の観点で理論の解説を進め、続いて次回の記事で
どのように実務の流れの中で使いこなして行くかを考えてみます。
FMEA導入の前段階で理解が欠かせないのは「ボトムアップ解析」
「故障モード」の二つです。これらについて、理解することなしにFMEA
を本来の目的で使いこなすことはできません。
1.FMEAはなぜ生まれたか
製造業の大多数を占める中小企業が、社内で扱っている部品や製品を対象に
FMEAを実施する場合、もともと、米国で高額な軍需システム、宇宙航空
システム用に考案されたFMEAをそのまま適用するのは実用的ではあり
ません。
何百万ドルもする機械やシステムが故障によって使えなくなることは大きな
損失となります。そこで、コンピュータを駆使して、膨大な信頼性データを
インプットして計算させたのです。
またアメリカの自動車会社の場合、メーカーはAIAGのFMEAマニュアル
にある評価水準を使用するように求められますが、これも自動車の完成品
にに適用するFMEAであり、部品単体、またはいくつかの部品で構成され
た小規模なアッセンブリーなどには適用できません。
小規模な構成の製品用に使いやすくアレンジするためには、FMEAの基本
的な考え方や実施手順を正しく理解し、目的を損なわずにアレンジする
必要があります。
2.FMEAの目的
FMEAは一言で言うと「市場で発生し得る故障や事故のリスクを定量化
し、回避または低減するためのツール」のことです。設計プロセスの
不備や、設計ミスを見つけるためのツールではありません。
近年、自動車は、安全上の欠陥が問題となると、リコールを実施するケー
スが増えています。
これは、信頼性設計(安全設計)が不備であったことが判明したために、
市場で故障や事故が起きる可能性があるからです。
注.信頼性設計(安全設計)は以降、信頼性設計の表現を使います。
このような事を防ぐために、信頼性設計をしっかり実施し、その設計に
漏れや不備が無いようにFMEA評価を実施するのです。
明らかに設計ミスによる機能設計の悪さは設計プロセスそのものや、
技術者のスキルに原因があるのであって、それをまず正す必要があり
ます。
そこで、以下のような手順で設計を進めます。
まず、①の信頼性を十分に考慮した設計結果に対して、②のボトムアップ
設計(セルフFMEA)を実施します。最後に③のFMEAレビューによって
漏れがないかどうかを確認します。

3.なぜFMEAを使うのか?
では、なぜFMEAを信頼性設計の評価手段として使うのでしょうか?
信頼性設計とは、その製品の想定し得る使用条件(あらゆる環境、使用者
のあらゆる使い方)において、故障しないように製品を設計することです。
また、万が一故障しても、事故や災害が起きないように安全に配慮した
設計することです。
家電製品が発火して火災を起こしたり、エアーバックが異常爆発してけがを
したりするのは、信頼性設計に欠陥があったからです。
機能設計は、試作して動作させれば意図した動きを目で見たり、測定した
りすることによって、良い悪いがはっきり確認できますが、信頼性設計は
故障や事故が起きることを、使用環境条件ですべて確認することはできま
せん。
温度ストレスを掛けて耐久試験を行っても、それはごく一部の条件であっ
て、市場の様々な環境条件下で発生する、想定外の故障、事故をすべて
洗い出すことはできません。
そこで、市場で起きる故障や事故の程度(リスク)を最小限に食い止め
るためにFMEAにより設計段階で検証するのです。
4.信頼性設計とは
FMEAを実施する前に信頼性設計を済ませておく必要があります。これは、
個人の設計スキルの問題ではなく、設計ルールの中に、過去の製品から得ら
れた固有の伝承技術(ノウハウ)を共有しながら進める仕組みがなければ
対応できません。
信頼性設計の手段として、一般的には以下のようなものがあげられます。
・信頼性の高い部品、材料の選定基準
・繰り返し応力に対する強度確保、耐振動・耐衝撃設計
・発煙発火対策
・信頼性の高い部品加工形状、表面処理方法などの設計基準
・溶接、螺子などの信頼性を考慮した結合手段の設計基準
・ソフトウエアを含むシステムの信頼性設計技術
・安全性設計技術
5.故障モードとは
故障モードとは、製品の故障の原因となる、ユニットや部品・材料などの
破壊現象ことです。
例えば、構造物の場合、強度などの物理特性の劣化、物理的な構造が破損
損壊することを指します。
この損壊によって動作停止、異音、などの「故障」をひき起こします。
「故障」と「故障モード」は、意味が異なり使い分ける必要がありますが
その境界は必ずしも明確にならない場合もあり、往々にして混乱が見られ
ます。
その製品が機能しなくなることを故障(機能障害)といい、それを引き起こす
原因は、設計時想定が甘かった環境条件や、使用条件であり、それが基と
なり故障モードが発生します。
FMEAでは、この「故障モード」が起きることを想定し、製品に与える影響
を評価します。
6.故障モードを使う理由
製品のモデルチェンジを行う、または一部の部品を新しくするなど程度の
差はあっても、設計を行う場合には、過去に発生したトラブルが起きない
ように注意を払って設計し、試作評価を行います。
しかし、往々にして「問題ないはず」として設計した結果、市場で思わぬ
故障が発生し「こんな筈ではなかった」という結果になるのです。
そうならないためには、「もしこの部品が壊れたら」どうなるだろうか?
どのような故障や事故が発生するだろうか?「このユニットが動作しなく
なったら」システムにどのような影響を与えるだろうか?と、考えながら
設計を進めることが必要です。
これを「ボトムアップ型」の設計と呼ぶことにします。
それに対して従来は、このように考慮して設計したので「過去のトラブル
は起きないはずであり、念のため評価テストで確認しよう」というように
設計を進めます。これを「トップダウン型」の設計と呼びます。
ある新しいモデルの製品がどういう故障を起こしやすいか直接予想すること
は難しい作業です。しかし、「トップダウン型」「評価テスト重視型」の
設計では、十分に検証出来ないまま、これで良しとしてしまうのです。
「ボトムアップ型」設計では、使用シーンから故障モード発生、そして
故障にいたるメカニズムを推測していくことで、発生が予想される故障
がある程度予測することが可能になります。
特に、流用設計時に変更した点・新規に採用した設計部分に潜在する問題
が市場で顕在化し、故障、事故に発展します。
それを防止するため、事前に故障モードをキーワードとした故障に至る
メカニズムを解明することが可能になる、これが故障モードを使う意味
なのです。
しかし、「故障モード」を抽出したからと言って、必ずしも事故を想定
できるかどうかは、設計者の経験、ノウハウ、設計過去トラブルの蓄積
有無によってその効果は、かなりばらつきます。
従って、「ボトムアップ型」の信頼性設計を行う際には、部品の構造や
使用環境から考えられる故障モードをすべて抽出するノウハウが必要に
なってきます。
そこで当研究所では、「新規点変更点リスト」「故障モード一覧表」
「故障モード抽出表」「セルフFMEA評価シート」などのツールを使って
ボトムアップ型の設計を進めていくことを提唱しています。
<参考文献>
想定外を想定する未然防止手法GD3 [ 吉村達彦 ] 日科技連出版社 2011年
日産自動車における未然防止手法Quick DR [ 大島恵 ]日科技連出版社2012年
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合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。 日本が誇るものづくり技術にもっと磨きを掛けよう!! 設計、製造、品質管理、海外工場管理などの実務経験45年 製造業のあらゆる業務に精通!講演テーマも下記の通り 多岐にわたります。 ★講演(セミナー)のご依頼は<こちらから> |

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<プロフィル詳細> <ご挨拶>
主な支援実績
2019年7月~:群馬県 太田市 部品加工工場
<リードタイム短縮・生産性向上>
2016年6月~:韓国 ATM工場改善
<セル生産方式による生産性向上>

2014年8月~:香川県東かがわ市 工場改善支援
<目標管理と改善活動>




