2018年07月07日

FMEAをなぜ使うのか?リスクの低減とは?:FMEA(DRBFM)/FTA/解析事例、実施手順

FMEA簡易評価法は小規模な設計部門でも導入可能で、効果の上がるFMEA手法
について解説します。

膨大な資料を作成するFMEAは、中小企業にとって現実的では有りません。
また、FMEAは「不良低減のためのツール」ではありません。
本来の目的である「市場に於けるリスクの低減」は十分に理解されておらず
多くの企業で間違った解釈のもとに実施されています。


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FMEA(故障モードとその影響の解析)は、製品設計段階と、製造工程の設計
段階で実施が可能です。理論の勉強は大切ですが、実務に落とし込んで使い
こなしていくには、使用する側で自社の品質システムに組み込まなければ、
効果的なツールとはなり得ません。

ここでは、FMEAについて「How To」については他の識者に譲ることに
して「Know Why」の観点で理論の解説を進め、続いて次回の記事で、いかに
実務の流れの中で使いこなして行くかを考えてみます。

FMEA導入の前段階で理解が欠かせないのは「ボトムアップ解析」
「故障モード」の二つです。これらについて、理解することなしにFMEAを
本来の目的で使いこなすことはできません。

1.FMEAはなぜ生まれたか
製造業の大多数を占める中小企業が、社内で扱っている部品や製品を対象に
FMEAを実施する場合、もともと、米国で高額な軍需システム、宇宙航空システ
ム用に考案されたFMEAをそのまま適用するのは実用的では有りません。

何百万ドルもする機械やシステムが故障によって使えなくなることは大きな
損失となります。そこで、コンピュータを駆使して、膨大な信頼性データを
インプットして計算させたのです。

またアメリカの自動車会社の場合、メーカーはAIAGのFMEAマニュアルにある
評価水準を使用するように求められますが、これも自動車に適用するFMEAで
あり、部品単体、またはいくつかの部品で構成された小規模なアッセンブリー
などは、10段階に細分化された基準による評価は必要ありません。
また、マニュアルでは、完成車における故障・事故を想定した評価項目のため
部品点数の少ない製品、半製品には適用できません。

小規模な構成の製品用に使いやすくアレンジするためには、FMEAの基本的な
考え方や実施手順を正しく理解し、目的を損なわずにアレンジする必要があり
ます。

2.FMEAの目的
FMEAは一言で言うと「市場で発生し得る故障や事故のリスクを検証するための
ツール」のことです。設計不良を減らすためのツールではありません。

近年、自動車は、安全上の欠陥が問題となると、リコールを実施します。これは
信頼性設計(安全設計)が不備であったことが判明したために、市場で故障や
事故が起きる可能性があるからです。
 注.信頼性設計(安全設計)は以降、信頼性設計の表現を使います。

このような事を防ぐために、信頼性設計をしっかり実施し、その設計に漏れや
不備が無いようにFMEA評価を実施するのです。
仕様の検討漏れや、部品の選定ミスなどによって初めから機能を満足していない
欠陥品は明らかに設計ミスでありFMEAの評価対象外です。機能設計の悪さは
設計プロセスそのものや技術者のスキルに原因があるのであって、それをまず
正す必要があります。

そこで、以下のような手順で設計を進めます。
まず、①の信頼性を十分に考慮した設計結果に対して、②のボトムアップ設計
(セルフFMEA)を実施します。最後に③のFMEAレビューによって漏れがないか
どうかを確認します。
FMEA.jpg
3.なぜFMEAを使うのか?
では、なぜFMEAを信頼性設計の評価手段として使うのでしょうか?
信頼性設計とは、あらゆる使用条件(あらゆる環境、使用者のあらゆる使い方)
において、故障しないように製品を設計することです。また、万が一故障し
ても、事故や災害が起きないように安全に配慮した設計することです。
家電製品が発火して火災を起こしたり、エアーバックが異常爆発してけがを
したりするのは、信頼性設計に欠陥があったからです。

機能設計は、試作して動作させれば意図した動きを目で見たり、測定したりする
ことによって、良い悪いがはっきり確認できますが、信頼性設計は、故障や事故
が起きることをあらゆる環境条件や、使用条件で確認することはできません。
温度ストレスを掛けて耐久試験を行っても、それはごく一部の条件であって、
市場の様々な環境条件下で発生する、想定外の故障、事故をすべて洗い出すこと
はできません。

そこで、市場で起きる故障や事故の程度(リスク)を最小限に食い止めるために
FMEAにより設計検討不足、抜け漏れが無いかを検証するのです。

4.信頼性設計とは
FMEAを実施する前に信頼性設計を済ませておく必要があります。これは、
個人の設計スキルの問題ではなく、設計ルールの中に、過去の製品から得ら
れた固有の伝承技術(ノウハウ)を共有しながら進める仕組みがなければ対応
できません。

信頼性設計の手段として、一般的には以下のようなものがあげられます。
 ・信頼性の高い部品、材料の選定基準
 ・信頼性の高い部品加工形状、表面処理方法などの設計基準
 ・溶接、螺子などの信頼性の高い結合手段の設計基準
 ・ソフトウエアを含むシステムの信頼性設計技術
 ・安全性設計技術

5.故障モードとは
故障モードとは、システムの故障をもたらす、部品の構造的な役割低下
もしくは喪失のことをいいます。
例えば、構造物の場合、断線、短絡、折損、摩耗など、の特性の劣化、物理
的な構造破壊をいいます。

この破壊によって動作停止、異音、などの「故障」をもたらす原因となります。
「故障」とは「故障モード」と区別され、機能障害をいいます。その製品が
機能しない原因となる不具合が必ずあります。この故障(機能障害)を引き起こ
した原因、これが故障モードです。
FMEAでは、この「故障モード」をすべて列挙し、すべての故障モードの
影響を評価します。

6.故障モードを使う理由
製品のモデルチェンジを行う、または一部の部品を新しくするなど程度の差は
あっても、設計を行う場合には、過去に発生したトラブルが起きないように注意
を払って設計し、試作評価を行います。
しかし、往々にして「問題ないはず」として設計した結果、市場で思わぬ故障が
発生し「こんな筈ではなかった」という結果になるのです。

そうならないためには、発生の可能性を考えず、「もしこの部品が壊れたら」
どうなるだろうか?どのような故障や事故が発生するだろうか?
「このユニットが動作しなくなったら」システムにどのような影響を与える
だろうか?と、考えながら設計を進めることが必要です。
これを「ボトムアップ型」の設計と呼ぶことにします。

それに対して従来は、このように考慮して設計したので「過去のトラブルは
起きない」はずというように設計を進めます。
これを「トップダウン型」の設計と呼びます。

ある新しいモデルの製品がどういう故障を起こしやすいか直接予想すること
は難しい作業です。しかし、「トップダウン型」の設計では、十分に検証
出来ないまま、これで良しとしてしまうのです。

「ボトムアップ型」設計では、故障モードから故障にいたるメカニズムを
推測していくことで、発生が予想される故障が漏れなく列挙することが可能
になります。つまり想定外の故障、事故、災害を洗い出し、事前に対策を
講ずることが可能になる、これが故障モードを考える意味なのです。

従って、「ボトムアップ型」の信頼性設計を行う際には、部品の構造や機能
から考えられる故障モードをすべて抽出するノウハウが必要になってきます。

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posted by k_hamada at 22:49| ★FMEA・DRBFM/FTAと市場リスク回避 | 更新情報をチェックする
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