故障モードとは何か?思い付きで列挙しても潜在不良流出は防げない

評価テストや検査では見つけることができない潜在不良を顕在化させるためには
設計時点で、想定される故障・事故発生までの一連の流れの中で、「故障モード
を出発点とした「ボトムアップ設計」を行う必要があります。
一般に、故障モードをすべて列挙し、解析することと言われますが、ただ列挙した
だけではFMEAを正しく実施することはできません。


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1.故障モードとは
故障モードとは、例えば、断線、短絡、折損、摩耗、特性の劣化などであり
故障そのものではなく、故障を引き起こす原因となる構造破壊のことです。

製造工程についても故障モードの定義は同じと考えます。
製造工程を設計する上で対象となるのは、5M(機械、材料、方法、人、測定)
の管理方法・手順です。

例えば、作業者のミス、違反などが故障モードです。
また、機械についても故障や停電で誤動作したなども含まれます。

下図の例では、「ほこりや湿気が溜まる」→「火花放電を繰り返す」
→「徐々に炭化する」→「電気が流れる」→「発火する」というプロセスを
経て、火災事故に発展します。

このメカニズム、流れが重要となります。故障モードだけを列挙しても、
故障や事故の発生までの流れは、想像できません。

トラッキング(導通)現象を故障モードと捉えるか、故障と捉えるかを
議論するのではなく、使用条件、環境条件から事故発生に至る一連の流れ、
発生シーンを捉えてFMEAを実施する必要があります。

単純に「端子の短絡」という故障モードをリストアップしても、発生メカ
ニズムと事故の予測を行うことは困難な作業となります。  
故障モードとは.jpg
2.故障モードをFMEAで使う理由
設計を行う場合には、過去に発生したトラブルが起きないように注意を払って
設計し、試作評価を行います。
しかし、「問題ないはず」として設計し、評価テストで合格した製品が市場で
想定しない故障が発生し「こんな筈ではなかった」という結果になるのです。

そうならないためには、「もしこの部品が壊れたら」どうなるだろうか?
どのような故障や事故が発生するだろうか?と考えながら設計を進めることが
必要です。これを「ボトムアップ型」の設計と呼ぶことにします。

それに対して過去に発生した不具合は発生しないように考慮して設計したので
「過去と同じトラブルは起きない」はずというように、一般的には設計を進め
ます。これを「トップダウン型」の設計と呼びます。

ある新しいモデルの製品がどういう故障を起こしやすいか直接予想すること
は難しい作業です。したがって、「トップダウン型」の設計では、十分に検証
出来ないまま、これで良しとしてしまうのです。

「ボトムアップ型」設計では、故障モードから故障にいたるメカニズムを
推測していくことで、発生が予想される故障を顕在化することが可能になり
ます。つまり想定外の故障、事故、災害を顕在化し、事前に対策を講ずること
が可能になる、これが故障モードを考える意味なのです。

従って、「ボトムアップ型」の信頼性設計を行う際には、部品の構造や機能
から考えられる故障モードをすべて抽出するノウハウが必要になってきます。

3.故障モード一覧表
製品、ソフトウエア、製造工程を対象として、信頼性設計を実施する上で
故障モード(構造破壊)の概念を明確にしておく必要があります。

これは、各製品の種類、使われ方、使用環境条件など、各企業で蓄積して
いる故障や事故の過去のデータからリストアップすべき固有技術の内容で
あり、信頼性設計、安全性設計の元となる最重要事項(ノウハウ)である
べき事項です。

FMEA実施に当たっては、故障モードについて、製品(ハード)、ソフト
ウエア、製造工程における考え方を整理して、事前にその製品、製造工程
ごとに「故障モード一覧表」をあらかじめ作成しておく必要があることを
指摘しておきます。

故障モード一覧表.jpg
FMEAレビュー実施時は、5,6人の設計者が集まって、チームを組んで故障
モードをすべて列挙すると言われていますが、これは現実的では有りません。
忙しい設計者が時間を割いて一つ一つ故障モードを列挙しながらFMEAを実施
する作業は、特に小規模設計チームにおいては実務上、困難です。

「故障モード一覧表」の存在は、効率的なFMEAのレビュー作業が実施可能に
なることはもちろん、設計段階で漏れのない信頼性、安全性の検討を実施する
上でも有効な手段となるはずです。(ボトムアップ型の設計)