2018年07月07日

故障モードとは何か?無意味に列挙しても解析はできない

FMEA(DRBFM)を実施する上で、「故障モード」の意味を正しく理解する
ことは必須条件です。
また、故障モードをすべて列挙し、解析することと一般に言われますが、ただ
列挙しただけではFMEAを正しく実施することはできません。

ここでは、「故障モード」の意味と、FMEAにおける「故障モード」の位置付け
「ボトムアップ解析」の意味について徹底解説します。


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1.故障モードとは
故障モードとは、例えば、断線、短絡、折損、摩耗、特性の劣化などであり
故障そのものではなく、システムの故障を引き起こす原因となり得る構成
部品、コンポーネント、ソフトウエアの構造破壊のことです。

製造工程についても故障モードの定義は同じと考えられます。
製造工程を設計する上で対象となるのは、5M(機械、材料、方法、人、測定)
の管理方法・手順です。

製品設計と同じように工程設計でも、5Mで構成するシステムの構造破壊を
故障モードと定義します。

例えば、作業指示書や図面通りに部品をつけなかった、部品を間違えたなど、
その工程の決められた指示に違反することが故障モードです。
また、機械についても故障や停電で誤動作したなども含まれます。

「故障モード」は、「故障」、「不良」などと区別されます。
「故障」は故障モードが引金となって発生する機能障害です。その製品が機能
しない原因となる不具合が必ずあります。この故障(機能障害)を引き起こした
原因、これが故障モードです。

「不良」とは、もともと機能を満足しない設計ミスであったり、指示が間違っ
ていたために正しく製造されなかったことによる欠陥(品)であり、故障モード
故障とは区別しなければなりません。
しかし、必ずしも故障モードと故障は明確に区別できない場合があります。

FMEAでは設計の対象をシステムで捉えたとき、環境・使用条件がきっかけと
なりその構造が破壊(破損、劣化、接続不良等)したときにどのような影響を
及ぼすのか?を一連の流れとして考える必要があります。

下図の例では、「ほこりや湿気が溜まる」→「火花放電を繰り返す」
→「徐々に炭化する」→「電気が流れる」→「発火する」というプロセスを
経て、火災事故に発展します。

 トラッキング(導通)現象を故障モードと捉えるか、故障と捉えるかを
議論するのではなく、使用条件、環境条件から事故発生に至る一連の流れ、
発生シーンを捉えてFMEAを実施する必要があります。

単純に「端子の短絡」という故障モードをリストアップしても、発生メカ
ニズムと事故の予測を行うことは困難な作業となります。  
故障モードとは.jpg
2.故障モードをFMEAで使う理由
製品のモデルチェンジを行う、または一部の部品を新しくするなど程度の差は
あっても、設計を行う場合には、過去に発生したトラブルが起きないように注意
を払って設計し、試作評価を行います。
しかし、往々にして「問題ないはず」として設計した結果、市場で思わぬ故障が
発生し「こんな筈ではなかった」という結果になるのです。

そうならないためには、発生の可能性を考えず、「もしこの部品が壊れたら」
どうなるだろうか?どのような故障や事故が発生するだろうか?
「このユニットが動作しなくなったら」システムにどのような影響を与える
だろうか?と、考えながら設計を進めることが必要です。
これを「ボトムアップ型」の設計と呼ぶことにします。

それに対して過去に発生した不具合は発生しないように考慮して設計したので
「過去と同じトラブルは起きない」はずというように、一般的には設計を進め
ます。これを「トップダウン型」の設計と呼びます。

ある新しいモデルの製品がどういう故障を起こしやすいか直接予想すること
は難しい作業です。しかし、「トップダウン型」の設計では、十分に検証
出来ないまま、これで良しとしてしまうのです。

「ボトムアップ型」設計では、故障モードから故障にいたるメカニズムを
推測していくことで、発生が予想される故障を漏れなく列挙することが可能
になります。つまり想定外の故障、事故、災害を洗い出し、事前に対策を
講ずることが可能になる、これが故障モードを考える意味なのです。

従って、「ボトムアップ型」の信頼性設計を行う際には、部品の構造や機能
から考えられる故障モードをすべて抽出するノウハウが必要になってきます。

4.故障モードの分類
製品、ソフトウエア、製造工程を対象として、信頼性設計を実施する上で
故障モード(構造破壊)の概念を明確にしておく必要があります。

これは、各製品の種類、使われ方、使用環境条件など、各企業で蓄積して
いる故障や事故の過去のデータからリストアップすべき固有技術の内容で
あり、信頼性設計、安全性設計の元となる最重要事項(ノウハウ)である
べき事項です。
以下に一般的な故障モードの例を列挙します。

 ■製品を構成する部品の構造破壊、ユニット間の接続破壊
製品においては、下記の故障モード(構造的破壊)によって動作停止、異音、
などの「故障」(機能障害)をもたらす原因となる
・機構;破損、摩耗、劣化、疲労、腐食、外れ、ゆるみ、剥がれ、変形、硬化
・電気;断線、絶縁不良、接触不良、特性変化(R,C,Lなど)

部品不良、部品選定ミス、機能設計ミスは故障モードではないので、FMEAの
解析の対象外となります。
故障モード(製品).jpg
 ■ソフトウエアの構造破壊
ソフトウエアの論理構造自体は破壊しないが、環境影響、ハードの破壊によって
論理は正常に働かなくなる。バグ(機能設計ミス)は故障モードとは区別され、
機能設計上の問題であり、FMEAの対象外である。
・ソフト;入力システムの破壊、論理演算システムの破壊、ノイズ、電磁波など
故障モード(ソフト).jpg

■工程を構成する5Mの構造破壊
工程(5Mの管理項目)に違反するという、設計された工程の構造が破壊すること
によって、品質(故障)・納期・コスト・安全・環境に影響を与える。
工程の構造が容易に破壊するということは、工程設計の信頼性が低いことに
他ならない。製品も、工程も構造破壊は「故障モード」と呼び、考え方は同一
にしてFMEAを実施しなければならない。

・機械;故障停止、停電停止、調整の狂い、刃物の摩耗、故意による動作異常
・方法;手順書の紛失、手順書の破損または汚れで正しい方法が示されない
・材料;成分違い、配合違い、異物混入、偽物、劣化品、変形品、処理不良
・人;作業のバラつき、ポカミス、指示違反、手作業による異物付着、個人差 
・測定;測定機の狂い、故障、環境による変化

故障モード(工程設計).jpg 
■故障モード一覧表
FMEA実施に当たっては、故障モードについて、製品(ハード)、ソフトウエア
、製造工程における考え方を整理して、事前にその製品、製造工程ごとに
「故障モード一覧表」をあらかじめ作成しておく必要があることを指摘して
おきます。

FMEA実施時は、5,6人の設計者が集まって、チームを組んで故障モードを
すべて列挙すると言われていますが、これは現実的では有りません。忙しい
設計者が時間を割いて一つ一つ故障モードを列挙しながらFMEAを実施する
作業は、特に中小企業においては実務上、困難です。

「故障モード一覧表」の存在は、効率的なFMEAのレビュー作業が実施可能に
なることはもちろん、設計段階で漏れのない信頼性、安全性の検討を実施する
上でも有効な手段となるはずです。(ボトムアップ型の設計)
posted by k_hamada at 22:38| ★FMEA・DRBFM/FTAと市場リスク回避 | 更新情報をチェックする
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