故障モードとは何か?思い付きで列挙しても潜在不良流出は防げない

評価テストや検査では見つけることができない潜在不良を顕在化させるためには
設計時点で、市場において想定される故障・事故発生までの一連の流れの中で、
故障モード」に注目した「ボトムアップ設計」を行う必要があります。
一般に、故障モードをすべて列挙し、解析することと言われますが、ただ列挙した
だけではFMEAを正しく実施することはできません。

   難しい理論よりも設計者が簡単に未然防止に取り組める手法(事例も豊富に紹介)

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1.故障モードとは
故障モードとは、例えば、物理現象の中で断線、短絡、折損、摩耗、特性の劣化
などがあげられます。

JIS Z8115:2000のF2では「故障状態の形式による分類。 例えば、断線、短絡
折損、摩耗、特性の劣化など」と定義されています。
つまり、機構部品や機構ユニット(システム)の破壊、破損、破壊を指すことは
明らかでです。

一部の専門家の主張として、「構造破壊」は自らが初めて主張したものとして権利を
主張し、使用を制限しています。
しかし、JISにおいて断線、短絡、折損、摩耗、などを上げており、これは「構造破壊」
を示していることは客観的に明らかであり、独占的権利を主張することは不当であると
判断します。
尚、当研究所では、この「構造破壊」を組み込みソフトウエアの故障モードにも
適用し、システム製品、ユニットの故障モードの考え方を確立しており、何ら制約
を設けること無く、広く一般に公開しております。

下図の例では、「ほこりや湿気が溜まる」→「火花放電を繰り返す」
→「徐々に炭化する」→「電気が流れる」→「発火する」というプロセスを
経て、火災事故に発展します。
故障モード1.jpg

このメカニズム、流れが重要となります。故障モードだけを列挙しても、
故障や事故の発生までの流れは、想像できません。

トラッキング(導通)現象を故障モードと捉えるか、故障と捉えるかを
議論するのではなく、使用条件、環境条件から事故発生に至る一連の流れ、
発生シーンを捉えてメカニズムを解明する必要があります。

単純に「端子の短絡」という故障モードをリストアップしても、発生メカ
ニズムと事故の予測を行うことは困難な作業となります。  

2.故障モードをFMEAで使う理由
設計を行う場合には、過去に発生したトラブルが起きないように注意を払って
設計し、試作評価を行います。
しかし、「問題ないはず」として設計し、評価テストで合格した製品が市場で
想定しない故障が発生し「こんな筈ではなかった」という結果になるのです。
そうならないためには、「どんな使われ方をするだろうか」「もしこの部品が
壊れたら」どうなるだろうか?どのような故障や事故が発生するだろうか?と
考えながら設計を進めることが必要です。これを「ボトムアップ型」の設計と
呼ぶことにします。

それに対して過去に発生した不具合は発生しないように考慮して設計したので
「過去と同じトラブルは起きない」はずというように、一般的には設計を進め
ます。これを「トップダウン型」の設計と呼びます。

ある新しい設計の製品がどういう故障を起こしやすいか直接予想すること
は難しい作業です。したがって、「トップダウン型」の設計では、十分に検証
出来ないまま、これで良しとしてしまうのです。

「ボトムアップ型」設計では、市場における使われ方、環境条件などを基に
故障モードから故障にいたるメカニズムを推測していくことで、発生が予想
される故障を顕在化することが可能になります。
つまり潜在している故障の原因を顕在化し、事前に対策を講ずることが可能
になる、これが故障モードを考える意味なのです。

従って、「ボトムアップ型」の信頼性設計を行う際には、部品の使われ方や
構造から考えられる故障モードを抽出する知見が必要となってきます。
市場で、どのような使われ方をするのか?どのような環境で使われるのか?
によってどのような故障モードが起きうるのか抽出するノウハウが必要に
なってきます。

3.故障モード一覧表
製品、ソフトウエア、製造工程を対象として、信頼性設計を実施する上で
故障モード(部品の破損)の概念を明確にしておく必要があります。
これは、各製品の種類、使われ方、使用環境条件など、各企業で蓄積して
いる故障や事故の過去のデータからリストアップすべき固有技術の内容で
あり、信頼性設計、安全性設計の元となる最重要事項(ノウハウ)である
べき事項です。

FMEA実施に当たっては、故障モードについて、製品(ハード)、ソフト
ウエア、製造工程における考え方を整理して、事前にその製品、製造工程
ごとに「故障モード一覧表」をあらかじめ作成しておく必要があることを
指摘しておきます。

故障モード一覧表.jpg
FMEAレビュー実施時は、5,6人の設計者が集まって、チームを組んで故障
モードをすべて列挙すると言われていますが、これは現実的では有りません。
忙しい設計者が時間を割いて一つ一つ故障モードを列挙しながらFMEAを実施
する作業は、特に小規模設計チームにおいては実務上、困難です。

「故障モード一覧表」の存在は、効率的なFMEAのレビュー作業が実施可能に
なることはもちろん、設計段階で漏れのない信頼性、安全性の検討を実施する
上でも有効な手段となるはずです。(ボトムアップ型の設計)

更に過去の事故発生事例から「故障モード抽出表」を作成しておくと更に
漏れを防ぐ効果が得られます。

4.製造工程の故障モード
製造工程についても故障モードの定義は同じと考えます。
製造工程を設計する上で対象となるのは、5M(機械、材料、方法、人、測定)
から構成される製造システムに関する規定・手順です。

この製造システムを設計する上で、作業者のミスをひき起こす「人の熟練度不足」
や「やりにくい作業」などが起きないようにあらかじめ予防処置を講じます。
また、機械についても故障や停電が起きないように、あるいは起きても誤動作
しないように設計します。
つまり、製造工程においてもその設計の対象となる5Mから構成されるシステム
が壊れないように設計し、その破壊が起きる原因となる事象を故障モードと
定義できます。

この故障モードの定義は、論理的・物理的に証明できる科学的的事実であり
特定の個人、団体の独占的な権利として表現・使用について、何らを制限
されるものではありません。

<参考文献>

 ・NewFMEA(DRBFM)/FTA実践マニュアル(実務編)(6000円)
 ・New製造工程FMEA実施手順(6000円)
 ・FMEAの効果的実践講座(基礎編)(6000円)

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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
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