信頼性・安全性の考え方は時代と共に変化する:リスクの予測&アセスメント設計手法

市場では、製品の信頼性・安全性が求められています。
それには客様目線で設計・製造を行い、市場でのリスクを最小限に抑える
リスクアセスメントの導入は必須となっています。

製品の信頼性保証は,その対象の企画,設計,製造,試験・検査,使用,
保全から廃却までの一生(ライフサイクル)が関係します。

特に,製造に先だつ設計段階において,考えられる故障原因をいかに
取り除いておくかという点が重要であり,このような技術を信頼性設計
reliability designと呼びます。


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信頼性設計においては,過去の失敗事例,成功事例を十分に研究解析して
新設計に織り込む必要があります。

(1)信頼性の定義
信頼性とは、「定められた条件のもとで定められた期間に渡って要求機能
を果たす能力」(JIS-Z8115:2000/ISO8402 品質-用語)のこと。
①信頼度〈Reliability〉
 システムや製品が規定の条件で意図する期間規定通りの機能を故障なく
 遂行する確率。信頼度=e^(-故障率×期間) 
 (「e」は自然対数の底(約2.72),「^」はべき乗を表している)

 1カ月当たりの故障率;100分の1の機器の年間(12カ月)の信頼度は
 「e^(-0.01×12)≒0.89」

②保全度〈Maintainability〉
 修理可能なシステムや製品が規定の条件において保全が実施される時、
 規定の時間のうちに保全を終了する確率

③稼働率(アベイラビリティ)〈Availability〉
 修理可能なシステムや製品がある特定の瞬間に機能を維持している確率
 信頼性は、この信頼度、保全度、アベイラビリティを含めて考えられて
 いますが、修理ができないものは信頼度を、修理を前提にしたものは
 信頼度、保全度、アベイラビリティを重要視します。

(2)信頼性に対する要求の変化
従来の信頼性の考え方は、以下に故障せずに長く機能を果たして行けるかで
あったが、現在では、故障率の低さ寿命の長さよりも故障が発生した時の
影響の大きさに関心が高まっている。

故障の原因は、検出が困難な欠陥や安全設計レベルの低さ、予想外に変則的
なストレス、人為的エラー、自然故障などが考えられるが、従来は、通電
テスト正しい製造管理、老朽化した部品の取り換えなどが故障率の上昇を
緩和するとされて来た。

しかし、現在では設計,製造とメンテナンスまで、信頼性と安全性の指標を
リスクの指標に置き換え故障・事故、労働災害、環境事故防止を図る考え方
に変化している。

例えば、数百年に一度の大きさの津波でも、一度原発から放射能漏れが起き
れば甚大な被害が生じる。従って、数百年に一度の大きさの津波に耐えうる
安全性の確保が原発には求められるのである。

(3)信頼性設計とリスクベース工学
安全・安心が強く求められる社会になっている。
安全性はもとより,顧客が安心してその商品を選ぶうえで,魅力的な機能や
価格とともに故障が少なく,保守サービスも整い,優れた信頼性を持って
いることが条件となっている。

開発過程において信頼性設計は,機能とコストをバランスさせてコスト
パフォーマンスを向上する役割を担っており,メーカーへの満足感,安心
感,信頼感を築くためにも重要性を増している。

リスクベース工学では、ものづくりを目指す工学の3本柱である設計,
製造とメンテナンスを対象として、従来の信頼性と安全性の指標を
リスクの指標に置き換え,故障・事故防止、労働災害防止、環境事故
防止に活用する。
予測した不具合を列挙し、その影響(リスク)を評価する(発生度合
、影響度合)そのために重要となるのは

①市場における価値ある過去の品質データを資産として活用するナレッジ
データベース化

②新規の材料,構造,デバイス導入時に想定される故障のメカニズムを
先行的に究明してモデル化、故障物理にまとめ上げておくこと
 (CAEに基づく信頼性の検討)

③寸法や材料物性などのばらつきが信頼性に与える影響を管理するための,
高精度でスピーディな検査技術
 また,保守の一環として負荷や劣化などの情報をモニタリングする技術

(4)リスクベース設計の考え方
信頼度とトータルコスト:リスクベース工学に基づき損失コストを算定
することにより信頼度の適正化が図れる

信頼性設計では、信頼度(または故障確率)が設計の指標となる。
並列システムの信頼度は部品数の増大に伴い向上するが、信頼度1 に
漸近するのみで信頼度1 とはならない。

信頼度1 の追求は、絶対安全の追求にほかならず、軽量化と経済性を
阻害する。リスクベース設計では、設計の指標をリスクに置き換える
ことによって、信頼度に適切な打切りが設定できる。

信頼性設計では、安全係数は信頼度で一義的に決まる。リスクベース
設計では、より合理的な安全係数の設定が可能となる。

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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
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