具体設計段階における設計品質確保対策?リスクの予測&アセスメント設計手法

市場では、設計の信頼性・安全性が求められています。
それには客様目線で設計・製造を行い、市場のリスクを最小限に抑える
リスクアセスメント手法の導入は必須となっています。

品質とは、①企画品質、②設計品質、③製造品質、④使用品質の4分類される
ことを前回説明しました。
今回は、②設計品質(具体設計段階で決まる品質)とは?に迫って見たいと
思います。


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1.具体設計の項目
まず具体設計の主な項目を列挙します。
 ・設計インプット(商品仕様)を正しく理解
 ・設計アウトプット(図面)を検証
 ・過去に発生した問題のフィードバック
 ・製造牲、保守性も考慮した設計
 ・実際に試作して設計通りのものか確認する

言わゆる設計品質が良い、悪いと言うのは、インプットに対してアウトプット
が、正しいかどうかで決まります。
インプットは、顧客との取り決めを文書にした仕様書を主体として、法規制
安全規格、社内設計規格などが相当します。また設計過程で得られるDRから
のフィードバック情報も含まれます。 (DR:デザインレビュー)

そこで、ミスや漏れが無い設計を行うには何が重要なポイントとなるので
しょうか?
一つはヒューマンエラーを回避すること
もう一つは漏れのない設計ステップを踏むことです。

2.ヒューマンエラーの回避
ヒューマンエラーは、製造工程で良く発生しますが、設計工程でも同じ
ように発生します。それを防止するには、一つ一つ確実に作業することです。
 ・電話やメールでやり取りした内容は、連絡メモとして必ず残す
 ・会議議事録は必ず取る。(特に客先との会議)
 ・図面作成時は、間違いがないか必ず見直す(自工程検査)
 ・図面変更した後、他に関連して変更する箇所が無いか見直す

以上は、ごく当たり前のことですが、これらは忙しい時はつい省略してしまう
ことが多くなります。とくに、情報のやり取りでありがちな、勘違いや思い
込み、確認漏れをなくすために、必ずメモを残す、外部との大事な会議の議事
録は必ず相手の確認サインをもらうことが必要です。
(これは、苦い実体験から言えることです)

次に、ヒューマンエラーを回避する手段を講じます。
一般的にヒューマンエラーを誘発する要因は
 ・教育訓練不足
 ・行動影響要因(内部PSF/外部PSF)
 ・組織風土要因
の3つがあります。
詳しくは、下記の記事を参照してください。

設計作業は、目に見えない情報を基に、具体的な商品の形を作り上げる作業
です。したがって、情報を大切に扱うこと、なぜそうするかの背景も含め
正確に理解する、そしてそれを正確に伝えることがミスを防止する上で最も
重要なことと言えます。

3.漏れのない設計ステップとは?
企画段階で決定された内容(製品仕様)に基づいて、自社の保有する固有技術
や、自分のアイデア等を盛り込んで目標の機能やコストを達成させるために踏む
ステップのことです。

主な項目としては
①設計仕様書を作成する
 ・機能・性能を具体的な品質特性で表す
 ・その機能・性能を実現するための技術的手段を決定する
 ・具体的には、どのような機構を設けるのか?どのような電子回路を
  組むのか?その時に必要な部品材料は何か?など

②技術的手段(方式)の妥当性を確認する
 ・過去に実績がある手段か
 ・過去に発生した問題はフィードバックされているか
 ・製造牲、保守性も考慮した設計になっているか
 ・安全性や故障が起きないよう信頼性は確保されているか
 ・目標原価は達成するか

③実際に試作検証して設計通りのものか確認する
 ・実機を試作して、機能や信頼性の確認を行う
 ・設計FMEAを実施する

④最終のアウトプットとして、設計図面をリリースする

デザインレビューを実施して、次のステップへ進めるかどうかをジャッジします。

設計品質が良い、悪いと言うのは、インプットに対してアウトプットが正しい
かどうかで決まります。正しいアウトプットを得るためには、正しいステップ
を確実に実行しながら設計を進めます。納期に追われて、ステップを省略する
と必ずミスが出ます。

また、設計手戻りが生じるとそこでもミスが生じる可能性があります。
設計ステップを漏れなく進めることが、設計ミスをなくす最も重要な点です。

(続く)


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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
 日本が誇るものづくり技術にもっと磨きを掛けよう!!

 設計、製造、品質管理、海外工場管理などの実務経験45年
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