2018年04月25日

第3章 ヒューマンエラー・再発防止手順:是正・予防対策の進め方事例

本解説は、ヒューマンエラー要因と再発防止策について工場の品質管理の
観点で、第1章から第4章まで体系的にまとめたものです。

ヒューマンエラー(ポカミス)が発生したら、その不良は二度と発生しない
ように是正し、再発を防止しなければなりません。ミスを犯した作業者を
注意することは必要ですが、それだけで終わらせてはいけません。





不良原因解析2段階なぜなぜ分析法」は工場で発生するヒューマンエラーを
はじめとする様々な問題の再発防止を図るための解析手法です。
氷山モデル.jpg


 ★ヒューマンエラー再発防止・予防対策(事例研究)
   
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1.ヒューマンエラーの分類
ヒューマンエラーは認知ミス、判断ミス、行動ミスは、スキル不足、過失、故意
によって引き起こされます。しかしこれは、表面上の現象であって氷山の一角です。
この人間の行動におけるミスを誘発する背景として

 ①現場の状況(作業環境、プレッシャー、焦り、スキル)
 ②管理の構造・体制(しくみ、情報の質、コミュニケーション、役割・権限)
 ③文化・風土(社内価値観、トップの考え、暗黙のルール)
の3種類があります。

この分類方法は、ミスの直接の原因を対策するだけでなく、ミスを誘発した
背景に潜む「管理の問題」を明らかにするために採用します。

2.ヒューマンエラーの原因調査
ヒューマンエラーの原因を調査するには、まず事実の確認を行います。

①5W1H・・・現場に足を運ぶ、エラーの状態を現物で確認する、変化点を確認する
②因果関係・・・そのエラー発生の直接原因と結果を、現場・現物・現実で確認する

事実を正しく捉えたら、次に「品質管理の観点」から原因を特定します。
品質管理の観点とは、品質管理のしくみを中心に捉えるということです。

①作業の熟練度不足、教育の不足
 a.その作業は、必要とするスキルの教育を受けた作業者が実施したか?
  ・作業の難易度に応じて作業者のスキルを規定しているか?(作業者認定制度)
  ・新人に対する教育訓練手順はあるか?(内容、期間、合否判定)
  ・基本作業の教育訓練実施手順はあるか?
  ・定期的にスキルを確認し、合否判定を行う手順はあるか?

 b.身体・精神的健康は保たれているか?
  ・プレッシャーや焦りを感じているか?
  ・体調は悪くないか?
  ・上司や同僚と信頼関係が構築されているか?

②ハード要因
 a.チョコ亭、設備トラブルで、作業のペースが乱されていないか?
  ・機械、設備、治具などの不具合が放置されていないか?
  ・暫定的、臨時的な方法がそのまま定着化していないか?

 b.作業環境は悪くないか?
  ・温度・湿度・騒音・照明など作業を乱す要因はないか?
  ・作業台、椅子の高さなどは適切に調節されているか?
  ・部品や工具など整理整頓され、近くに配置されているか?
  ・仕掛品、完成品などの置き場、表示は明確になっているか?
  ・身体の姿勢、力、足場などにムリがかかる作業はないか?
  ・細かい作業は拡大鏡を使用しているか?
  ・ポカミス治具、工具を必要に応じて製作しているか?

③ソフト要因
 a.作業手順書・共通基本ルールは整備されているか? 
  ・ルール(作業手順書、規格書、操作マニュアル)が、実態と合っているか?
  ・自工程検査の手順はあるか?
  ・作業中断時、再開時の手順は決められているか?
  ・基本作業を定義しているか(例;ねじ締め作業、プレス作業、カシメ作業・・)
  ・特殊工程の作業手順書は整備されているか?(例:溶接作業、半田付け作業・・)
  ・その製品固有の作業手順書は整備されているか?
  ・治具、補助具が正しく使われているか?
  ・複数のことを同時に行う作業はないか?
  ・異常発生時の報告、処置方法の手順は決められているか?

 b.設計変更、工程変更など発生時の手順は明確になっているか?
  ・準備、工程を流して確認、判定、正式に生産開始の手順が確立しているか?
  ・初期流動管理は行われているか?

 c.現場の日常管理が適切に行われているか?(慣習、社内価値観含む)
  ・人の配置、健康状態管理、残業時間管理を行っているか?
  ・日常の管理項目、点検項目を明確にして確認を行っているか?
  ・問題が発生したら、放置せず、すぐに対策を講じているか?
  ・作業方法、作業環境などの改善を日常的に実施しているか?
  ・ルールをいつも守らない人がいないか?
  ・ルールを知らずに作業している作業者はいないか?
  ・監督者が、ルール違反に対して厳しい姿勢で臨んでいるか?
  ・監督者自ら、作業に没頭していないか?
  ・監督者がいつも現場から離れており、作業が野放しになっていないか?
  ・作業者、作業状況の問題を見える化しているか?

④情報要因
 a.作業者に対する情報提供、訓練は適切に実施されているか?
  ・指示を出す監督者が決まっているか?
  ・指示を出す監督者が複数いないか?
  ・情報の見える化がされているか?
  ・コミュニケーション手段(機能的な会議等)はあるか?

3.ヒューマンエラーの原因究明と対策
  (不良原因解析2段階法による)
ヒューマンエラー対策は、ミスを犯した作業者に注意することは必要だが、
それだけで済ませてはいけません。
 ①「因果関係」とミスを誘発した「現場ルールの原因」を究明し、それを取り除くこと。
 ②なぜミスの発生・流出を防げなかったのか?「共通ルールの原因」を究明し是正すること。
再発を止めるには、この2段階の対策が必要になります。
2段階法.jpg

●一段階目・・事実の把握・因果関係/ミスを誘発した現場ルールの原因と対策  
  ①人の要因:熟練度不足、教育不足に対する再教育実施(教育訓練ルール見直し)
  ②ハード要因:設備・治工具、作業環境の対策(管理ルール見直し)
  ③ソフト要因:作業指示書の見直し、順守徹底(職場巡回ルール)
  ④情報要因:伝達手段、会議(朝礼、現場ミーティング)のルール見直し   

●二段階目・・ミス発生・流出を防げなかった共通ルールの原因と対策
  ①工程設計・・・予防対策組み込みのルール、過去不具合フィードバックルール
  ②4M管理・・・異常検出・処置ルール、情報伝達ルール、初期流動管理ルール
  ③検査・・・検査方式設計ルール
  ④組織風土・・・社内価値観、暗黙のルール

現状のルール(規定)を基に、その内容の不備、欠陥を洗い出して、修正、改版
配付し、周知のための教育、啓蒙を実施する。

対策のレベルは、下記の様になります。
 a.不具合現象の除去(廃棄、修正、その他物理的な処置)
 b.人に対する再教育
 c.作業指示書などの現場ルールの改訂
 d.指示書に基づく再教育と実施確認(是正と再発防止)
 e.二度と発生、流出させないための共通ルール改訂(水平展開・類似問題の予防)

大切なことは、「しくみ」の不備や欠陥を是正し、2度と発生しない「しくみ」の
強化を図って行くことです。

posted by k_hamada at 19:00| ★ヒューマンエラー・ポカミス対策 | 更新情報をチェックする

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