品質では世界一と言われていた日本の品質管理の手法は「カイゼン」である。
しかし、実はその中身は目の前に現れた問題を次々と潰す「もぐらたたき」
にすぎなかった。
「もぐらたたき」の意味は正しく理解されているだろうか?
品質管理を正しく行くためには、用語や手法・技法の本質を正しく理解
した上で、使わなければならない。
問題が発覚してから、「徹底して調査し再発防止策を講じます。」と頭を
下げる企業トップの会見を良く目にするが、「再発防止策」とは何だろうか?
「もぐらたたき」と何が異なるだろうか?
●もぐらたたき(狭義のモグラたたき)
思い付きやカンに頼った対策、個人のミスで済ませてしまう対策のこと。
これではまた、すぐに問題は再発する。
●因果関係の究明と対策(実はこれもモグラたたき?)
発生したその個別な問題を徹底的に調べ因果関係を究明し、原因を取り除く対策
のこと。
三現主義(現場、現物、現実)、データに基づいて、なぜ発生したのかを論理的
に解明する。そのためにはプロの知見が必要。その固有な問題は「再発防止」が
図られるが、類似の問題がまた発生する可能性がある。
これは従来から行われてる「カイゼン活動」として位置づけられているが、実は
発生した不具合を後追い対策する「モグラたたき」に過ぎない。
●しくみの欠陥の解明と対策
その固有の問題が、なぜ防げなかったのか?なぜ予防できなかったのかを管理の
しくみのまずさと捉え対策する。
類似の問題の発生を防ぐには、「予防策」を講じなければならない。その内容は
現場の日常管理のしくみの見直し、人事制度の見直し、組織の見直し、または
新たな設備の導入等も対策の対象と考え、工場全体をカバーする汎用性を持たせる
事がポイントとなる。
この活動は発生し得る問題を事前に洗い出して対策する真のカイゼン活動と言える。
品質管理は、モグラたたき(守りの)体制から、予測して対策する(攻めの)体制
へ脱皮する必要がある。
工場で、建前だけになっている様々な活動は、その活動の正しい姿の追求が
おろそかになっており、全く効果が得られないばかりか、返ってムダな時間
や費用を費やしているケースが多い。
品質管理の目的と、手法の効用と限界を正しく理解すること
それを見極めながら行動する姿勢が重要なのだ。