検査は、工場から不良を流出させない手段として良く用いる手法である。
しかし、一方で付加価値を生まない作業であると言われ、トヨタ式生産ライン
では、ポカヨケや自働化の徹底、また人を育てることによって、源流で不良品
を出さない生産を行い、検査工程は排除し、品質とコスト低減を両立させると
言われている。
ただ、本当に「検査」のメリット・デメリットについて、正しく理解されて
いるだろうか?
品質管理を正しく行くためには、用語や手法・技法の本質を正しく理解
した上で、使わなければならない。
事例研究・実習で品質改善の実務能力向上を図る
DX、FMEA/DRBFM、再発防止手順など
★生産性改善、日常業務改善手順を事例で習得するセミナー
★製造業の品質改善事例解説書シリーズ
★無料サービス
ここで、トヨタ生産方式の成り立つ前提条件を整理してみよう。
ポカヨケ、自働化を徹底した生産ラインの構築は、平準化され、生産数量が
ある程度見込める工場に限定される。
製造業の大部分を占める多品種少量受注生産工場では、すべての工程、品種毎
にポカヨケ対策を実施するのは困難が伴う。
4M変動の激しい工程に置いて、一定の品質を確保するためには、検査工程を
置かざるを得ない場合が多い。
そこで、不良流出を抑え、顧客満足度を維持しながら、費用を最小限に抑える
ために「検査方式の設計」が重要な位置を占めることになる。
検査工程の設置は
・受け入れ検査
・工程内検査
・最終出荷検査
検査方式として
・全数検査
・抜き取り検査(AQL)
などを、品質状況を監視しながら、適宜採用していくことが求められる。
検査の役割は
・顧客側の立場で検査し、不良流出ゼロ、クレームゼロに抑えること
・工程ストップ、出荷停止権限を持つこと
・問題点を即、工程にフィードバックすること
である。
そのためには、検査のスキルを持った人材の育成も欠かせない。
検査の役割として、「工程ストップ」「出荷停止」権限を有効に行使する
ことが最大の役割と言える。
目的と効果を正しく理解し、何事にも限界があることも見極めながら行動
する姿勢が重要なのだ。