製造業のヒューマンエラーをゼロにする7つのアプローチについてシリーズで
解説します。今回のテーマは、機械化(人を使わないシステムにする)です。
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単純な繰り返し作業は人よりも機械の方が得意だと考えられます。
人の集中力や注意力にはどうしても限界があるため、毎回同じような単純作業を
繰り返すことでヒューマンエラーを起こす確率が上がってしまいます。
例えば、人の手で全数検査を行う場合、全数を検査しているのだから安心と
言うわけにはいかないのです。返って、ミスを犯し、検査漏れを起こす危険
があると考えられます。
トヨタ生産方式では、その一つの柱として「自働化」という考え方があります。
ジャストインタイム生産における設備導入の条件の1つで、「ニンベンの自働化」
といわれ、機械設備は生産性向上の道具であり、その流れを乱すムダをつくり出す
ものであってはならず、自ら働く機械を意味し、機械単独で付加価値のみをつける
仕組みをもつものです。
その具体的手順としては次の3つがあげられます。
①「人離し」...人の作業を機械化→多工程持ち
②「不良の出ない仕組み」...ポカヨケ→閑視のムダゼロ
③「もう1つの自働化」...不良未然防止→ストップ方式
自働化を推進するにあたっては、作業にかかる人件費と設備費との比較をし
作業単位の観察をしたうえで、段階的に導入することが望ましいとされて
います。
機械化する場合、最も生産効率が良くなるのは、生産する品物に合わせた専用
機械を設計し、ラインを作ることですが、製品ライフサイクルが短く、多品種
小ロット化が進む現在では投資効率が良くありません。
現在ある設備・機械を前提に、少ない投資でどうやったら人のミスを減らせる
のかという最適解を考えて行く必要があります。
自働化によって、不良の発生や流出がなくなると共に、異常が明確にわかり、
異常の再発防止を図ることが出来るため、「品質を工程で造り込む」ことが可能
になります。さらに異常が発生しても、自動停止するので「省人化」も可能です。
異常が発生したらラインを止めるための安価で、信頼性の高い道具や工夫、即ち
ポカヨケの仕組みを含め、組立工程、機械加工工程などに適用します。
(続く)
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