電気自動車をはじめ、電子化されたユニットのFMEA解析はどうするのか?
簡易評価法では、電機・電子制御(ソフトウエア組込み)ユニットを対象とした
FMEAの進め方、実施事例を提案しています。
難しい理論よりも設計者が簡単に未然防止に取り組める手法(事例も豊富に紹介)
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前回のシリーズ(1)で解説した通り、ソフト組み込みユニットの
故障モードは、システム構造の損壊と定義しました。

シリーズ(2)では、FMEAを実施する対象として、SEM:States Event Matrix
(状態遷移マトリクス)をシステム構造として扱う事としました。

次に、故障モードの定義ですが、機構部品の場合は、物理的な破損、劣化と定義
しました。例えば、折損、錆び、材料の化学変化などです。
では、システムでは、破壊モードをどのように定義したらいいでしょうか?
システムの故障モード(システム構造の破損)の正しい定義こそ、電子ユニット
のFMEAが正しく効果的に実施できるかどうかの最大のポイントなのです。
では、事例で説明します。
下図は、電熱器のブロック図を示しています。旧モデルに対して新モデルでは
振動検出センサーを追加しました。この事によって、転倒した時、又はそれ以外で
発煙事故など重大な事故が起きないかどうか、FMEAで検証します。

下図は、このヒータユニットのSEM(状態遷移図)です。
この図を作成することによって、転倒時あるいは他の事象によって確実に異常
検出ができ、ヒーターがオフするように設計を行います。

FMEAを実施する時には、S3,S4,S6の各部品,制御基板、ヒーターの
故障モードを列挙します。
(この図は簡素化しているので、すべての故障モードは列挙していません)
制御基板50点の部品が搭載されており、組込みソフトが搭載されています。
従って、50点の部品一点一点について故障モードは列挙せずに、SEMの
構造破壊を故障モードとします。

本来、FMEAではすべての部品について故障モードを列挙し、製品に与える
影響を列挙しなければなりません。しかし、ソフトウエア動作との組み合わせ
において、一点一点の部品の故障モードがどのように作用するのか解析する
作業は膨大な時間が掛かり、現実的ではありません。
そこで、SEM(状態遷移図)を一つの構造として考え、SEM構造の破損を
故障モードとみなします。
これは、モーター、センサー、あるいはPC、タブレットなど市販されている
機能部品・ユニットを製品に組み込む場合にも同じように適用できると考え
られます。
このような考え方を基に、正しいFMEA実施手順を適用すると、転倒時や
その他の異常発熱による発煙は起きない事が分かります。
(完結)
<参考文献>
想定外を想定する未然防止手法GD3 [ 吉村達彦 ] 日科技連出版社 2011年
日産自動車における未然防止手法Quick DR [ 大島恵 ]日科技連出版社2012年
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