ヒューマンエラーをはじめ、工場で発生する不良は対策したと思ってもまた
再発することがあります。
再発する不良は、同じ製品、同じ工程、同じ作業者の場合もあれば、類似の
製品、他の工程、他の作業者で発生する場合もあります。
★無料サービス
不良対策がうまくいかないのは、以下の①②③の3つの理由があげられます。
①三現主義の放棄
現場をよく見ていない
現物をよく見ていない
現実を良く見ていない
原因解析は固有技術、現場を熟知したプロの知見が必要、素人では見る
ポイントは絞れない。
因果関係を科学的、論理的究明する知識・能力と「これはおかしい?」と
直感する経験と感性、洞察力を磨く必要がある。
②問題の放置
問題を放置する社内風土
小集団活動の形骸化
組織の責任不明確・日常業務の改善活動サイクルが回っていない現場では
問題がそのまま放置されたままになっている。
また問題が隠れている、異常状態が見える化されていないために気づかない
場合も多い。
問題(異常)は現場ですぐ対処し解決する。また難しい問題も、解決ルートに
乗せて組織力で処理する。解決のフォロー、支援は管理層の職務。
③正しい対策方法を知らない
固有技術の未熟によりメカニズムの解明ができない(過去事例の蓄積がない)
仕組みの改善(再発防止策・水平展開)がされず、その場限りの対策となっている
品質改善手法の誤った理解、選定と使用 (なぜなぜ分析、FMEA/FTA)
手法は、手段であり、導入することが目的ではない。
前提として、品質管理の正しい理解と、継続的な品質管理活動が欠かせない。
その原動力となっているのが、固有技術と管理技術を身につけた「プロ人材」の
存在である。
多品種少量生産では、特に①、②は致命的です。
問題を現場主義で正確に捉え、速やかに対処していくことが重要です。
また形ばかりの手法にこだわっていては、③の正しい対策は打てません。
「人がいないから」「時間がないから」などの理由は取引先には通用しません。
その厳しい環境の中で、いかに品質管理のレベルを上げて行くのか?が管理層の
知恵の出しどころです。最優先は、何が何でも流出を止めること!です。
1.不良対策の種類
不良対策是正処置/水平展開/予防処置に分類されます。

●是正処置
是正処置の手順は
①三現主義で発生した現象の事実関係を明らかにして、因果関係を究明
②なぜその現象を発生させたのか、管理の不備を特定し、管理ルール見直し
③ルールの周知、追加修正、ルール通り運用されているか確認し承認
★参照:不良原因解析なぜなぜ2段階法
●水平展開
水平展開の種類は以下の通り
①職場内へ水平展開
②他の工程へ水平展開
③類似製品、設備への水平展開
④工場全体へ水平展開
●予防処置
是正処置、水平展開は発生した不適合に対する対策
予防処置は、不適合が発生する前の未然防止対策で、製造に入る前の
FMEA、FTA、リスクアセスメントなどが該当
2.不良対策の対象となる工程
工程に対して不良対策を行うには3つの工程に分けて考えます。

①工程を設計する、あるいは工程を準備する段階で、あらゆるトラブル発生
を予測して、事前に対策を組み込んでおく。
(例えば、ポカよけ治具をあらかじめ工程に組み込んでおく)
②製造開始後の工程で、普段とは違う異常な事象、不良ではないが予兆
(ばらつき大・規格ぎりぎり)を発見して、原因究明と対策を行う。
(異常の見える化と4M変化点管理)
③お客様に迷惑を掛けないために、自動検査ロボット等を導入して、全数検査
を実施し、流出を水際で防止する。
そのために、効果的な検査工程を設計する必要がある。
対策は①、②、③のしくみを総合的に見て、その中の不備な部分を改善する。
その繰り返しによって(品質改善活動)、理想的なしくみに近づけて行く
努力が必要。