設計のしくみ確立と設計品質作り込み法(3)として、設計ミスと信頼性・安全性
について考えてみます。
新製品を開発する場合、お客様の要求を理解して、デザイン、機能性能、操作性
などを検討し、図面を書いて寸法形状を決めます。
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しかし、これだけでは設計したことになりません。
お客様が購入する価格、保守性や信頼性・安全性まで総合的に検討する必要が
あります。
工場を出荷するまでにはデザイン、機能性能、操作性、寸法・形状は目で確認
したり、実際に動かしてみて計測するなど確認を行って不良流出を阻止できます。
しかし、信頼性と安全性は、外観では確認できず、定量的に計測することが
できません。したがって、市場に出てから、使用者の取り扱い方法、使用環境
劣化などによって故障が発生し、それが事故や災害につながることがあります。
品質はほとんど設計の良し悪しで決まってしまうと前回の記事で説明しましたが
では、信頼性・安全性について、市場でトラブルが発生しないようにするには
設計時点でどのようなことを考慮すればいいでしょうか?
従来は、設計プロセス(デザイン、機能性能、操作性の検討、寸法形状を決める)
と信頼性評価として、試作機を作って、いじわるテストを実施したり環境試験を
行い、一定の基準を合格すれば安全性も信頼性も合格と判断しました。
しかし、信頼性評価試験を十分に行ったつもりでも、市場でのトラブルは
防止できませんでした。
(もちろん筆者が過去に設計を行った製品も例外ではありませんでした)
その頃は、市場でトラブルが発生すると、設計ミスとして、評価不足、設計
詳細検討不足として捉えられ、設計チェックリストに追加、評価試験の強化
などの対策を実施しました。
しかし、当時もこれは「いたちごっこ」であることは感じていたものです。
でも当時はどうしていいのかわかりませんでした。
設計プロセス(デザイン、機能性能、操作性の検討、寸法形状の決定、試作評価)
は、例え設計期間が短くとも抜け漏れなく実施しなければならないことは当然
として、機能性能を検討すると同時に、信頼性・安全性を検討する技術を導入
しなければならないのです。
さらに、デザインレビューでも信頼性・安全性の評価ツールである解析技法を
用いなければなりません。
信頼性・安全性を検討する技術と、解析技法によって、漏れのない設計が可能
となり、市場でのトラブル発生を未然に防ぐことが可能になるのです。
解析技法とは、FMEA、FTAなどを指します。
また信頼性・安全性設計を合わせてリスクベース設計と呼びます。
次回から、リスクベース設計について詳しく解説します。
(続く)