シリーズ4弾として、潜在不良流出を防止するリスクベースの設計手法について
解説します。
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設計終了後の評価テストや、製造工程の試験、検査で発見できない不具合が
市場で発生することが良くあります。
自動車の構造欠陥、食品や化粧品への異物混入など、重大な事故につながる
可能性のある不具合は、リコールの対象になります。
では、なぜ設計時点、また製造工程でこのような不具合が見過ごされてしまう
のでしょうか?

従来は、設計プロセス(デザイン、機能性能、操作性の検討、寸法形状を決める)
と信頼性評価として、試作機を作って、いじわるテストを実施したり環境試験を
行い、一定の基準を合格すれば安全性も信頼性も合格と判断しました。
しかし、信頼性評価試験を十分に行ったつもりでも、市場でのトラブルは
防止できませんでした。
(もちろん筆者が過去に設計を行った製品も例外ではありませんでした)
従来の設計手法では、このようなトラブルは防止できないということから
リスクベース設計に注目が集まっています。
リスクとは、発生頻度(故障率)×影響度(故障がもたらす事故や最愛の程度)
の式で表されます。
発生頻度(故障率)は、部品がある確率で破損する、製造ばらつきが生じるなど
によって、不具合が生じる度合いを言います。
つまり、完全にばらつきはなくすことができないのですが、できるだけ余裕度を
みて設計を行う方法がとられてきました。
しかし、従来設計時点で考えるのはここまででした。
不具合が生じた後の影響(事故や災害)についてはあまり深く考えずに設計して
いました。
また使用者の誤操作についても、操作ミスとして使用者の責任と考えられて
きました。
しかし、現在では、故障が起きた後の影響も考えて設計することの必要性が
求められるようになっています。
つまり、リスクベースの設計を行って、設計時点でリスクを洗い出すこと
そして、万が一故障してもその影響を最小限に食い止める対策をあらかじめ
講じておくことが必要になっています。
製造工程においても、製造ばらつきや人的ミスによって、市場でトラブルが
発生しないように、リスクベースの工程設計を行う必要があるのです。
基本になるのは・・・
「この部品が壊れたら、顧客にどのような影響が出るだろうか」
「このボタンを押し間違えたら使用者にどんな危害を与えるだろうか」
「この製造工程を飛ばしてしまったら、事故につながらないだろうか」
というように、リスクベースの考え方を徹底しなければならないのです。
何も難しい理論や手法を取り入れる必要はありません。
まずこの基本に立って、設計の仕組み、製造工程設計の仕組み、教育のしくみを
見直したときに、不備や欠陥が必ず見つかると思います。
(続く)