問題の放置と仕方なし故意とは?:製造業のリスクマネジメントの進め方事例

企業は様々なリスクに直面しますが、不祥事により、社会的な信頼・信用を

一瞬にして失うリスクは絶対に避けなければいけません。


現場では、誰も好んでルール違反の作業を行ったり、データ改ざんを行うこと

はありません。

「故意」にも悪意の故意と、仕方なし故意があると考えられます。どちらも

良いとは言えませんが、仕方なし故意は、日常の仕事の中で、小さな事柄を

上げればいくつか思いあたると思います。

 ・機械設備の始業点検チェックリストに確認せずに〇印をつける

 ・QCサークル活動で、改善を実施したように発表資料を作成する

 ・教育計画通り教育を実施したかの如く、記録表に記載する 


なぜこのようなことが起こるのか?理由は簡単です。

 ・忙しい、人がいないのでルール通りに行うことができない

 ・やっても無駄なことをやらされている

 ・時代は変わっているのに、昔ながらのやり方が残っている


つまり、やらなければならないこと、ルール、実際にやっていることの3つ

が、全く整合がとれていないのです。つまり仕方なし故意を発見したとき

現場の責任として済ませてしまうというのがほとんどです。

 ・目的は何か?

 ・そのためにどうすればいいか?

 ・現状を見たとき、実際にできるのか?


このことを考えず、問題を放置している、これが諸悪の根源と言えます。

これは、経営者、現場を預かる管理層の責任は大きいと思います。


したがって、不祥事は、経営者、管理層のマネジメント力不足が露呈した結果

と捉えることができます。


改めてリスクマネジメントシリーズ(1)で指摘した3項目を列挙します。

①組織の役割の明確化

 例えば検査部門は独立した組織とすべきです。

 製造部門や、営業の都合で動いたり、判断してはいけません。

 組織全体として、あいまいな業務をなくし、責任と権限を明確にすべきです。

  ★検査の仕組みを設計する


  ★組織図の考え方



②情報公開、見える化

 建前でなく、生の現場の実態をオープンにし、見える化すること、またそれ

 をチェックすることですが、これは、かなり抵抗感があり、反発を招きます。

 見える化するには、チェック部門として品質保証部、社長直轄の経営スタッフ

 などが目を光らせ、日常的に現場に出向き改善させることが重要です。

 検査記録、測定データなど重要な書類は時々チェックすることも必要になって

 きます。  

  ★見える管理を進めたいが、どうすればいいか



③人材育成で問題解決能力を高める

 やはり最後は人です。組織や仕組みを強化してもそれを守るのは人であり

 組織や仕組みの悪さの原因を突き止めて、改善していくのも人です。

 問題解決能力、マネジメント能力を備えた人材の育成が急務です。

 人を育てることは、企業を育てることにつながります。

 それを怠った結果、企業存続が危うくなった企業は少なくありません。

  ★製造業の人材育成はどう進めるか




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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
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