工場の問題はなぜ改善されずに放置されているのか?生産現場の5つの課題とは?(人、仕組み、組織・・・)

製造業の現場の問題はなぜ改善されずに放置されているのか?
生産現場は今、様々な問題を抱えています。

納期遅れ、当初の計画がすぐに変更になる、不良が流出する、ヒューマンエラー
が多い、手直しが多い、外注品質が悪いなどなど・・・
結果として生産性が上がらず忙しいけれど利益が出ない、新人教育も満足に
できないという悪循環に陥っているのです。




では、悪循環を断ち切れないのは一体何が障害になっているのでしょうか?
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一言でいうと、人の考え方と行動が「品質管理の基本」から外れているからです。
では、その中身を見てみましょう。

1.今後担い手となる若手人材が育たたない。(育てていない)
職場で、自らが中心となって問題解決に当たり改善を推進していく人材がいな
ければ企業は発展しません。専門知識や経験はもちろん、周りの人を巻き込んで
コミュニケーションを図りながら、仕事を進めていける人材の育成が急務です。

与えられた仕事しかしないという作業者意識を捨て、自らが考え、行動する
スタッフが、今必要なのです。そのためには、中間層の底上げのための教育
(知識・実践)は最優先で行わなければなりません。

しかし、製造現場が忙しいために教育に時間が取れないといった悩みをよく聞きます。
この現実の問題にどう対処したらいいでしょうか?

確かに、現場は毎日のノルマを達成しなければならず余裕はありません。しかし、
「チリも積もれば山となる」で、たとえ一日15分でも計画的に先輩が新人に教える
場を設けることは可能だと思います。
会社の将来を考えたときに、若手社員の教育は必須です。それを経営層、管理層が
必要と考えるなら、様々な工夫を講じて、一日15分の時間は捻出できるはずです。

2.コミュニケーション不足、情報が流れない
自分の意見を言う、相手の言っていることを聞くなどのコミュニケーション
をもっと活発に行う必要があります。ベテランは新人に仕事のコツを教える
新人は先輩に分からないことは積極的に聞く、あるいは意見を言うというような
良い風土作りが必要です。

また部署間の意見交換も重要なことですが、あまり活発に行われることは
ありません。情報の流れの悪さが、行動を遅らせ、問題が放置されるのです。
ホウレンソウと唱えてもそれだけではだめです。情報が流れないのは、情報の
種類、ルート、方法・媒体などが明確になっていないからです。

全体朝礼、職場の朝会現場ミーティング、会議、メールや通知類など、方法は
いくつもあります。どの情報をどうやって伝えるのかを明確にしてルール化を
行う必要があります。

3.責任不在(組織の役割不明確)
組織はあってもそれがうまく機能していないため、責任があいまいになっている
のです。
 ・結果を誰に報告していいかわからない
 ・社長から直接担当者に指示がくる
 ・管理者も担当者とおなじように現場で仕事をしている

など、中小企業ではよくありがちなことです。
これでは、自分だけで解決できない大きな問題が解決できず放置されてしまいます。
問題が起きるのは、部署と部署との情報やモノのやり取りでトラブルが発生する
からです。

自工程完結とは、自分たちのやるべきことを明確にして、それをきちっと守り
次の工程に渡すということです。
櫟本異なる異常が発生したら、どう連携を取って対処するのか、それぞれの役割を
決めておく必要があります。社長が、細かな指示まで、間違いなく出せることは
100%あり得ません。

4.手法の誤解・理解不足
なぜなぜ分析、FMEA、QCストーリーなど、何のためにどのような場面で
使うのかは、あまり明確に意識されているとは言えません。
問題解決ステップは、最終的に仕組みの是正を行って再発防止を図りますが
例えば、なぜなぜ分析では、しくみの悪さまで指摘できません。

このような手法の解説で、的を得た説明にはなかなか出会うことができません。
品質管理の普及活動にとって正しい情報が少ないのは憂うべきことです。

5.業務が標準化されていない
標準化されなければ、再発防止も、予防もできません。
また、ただルールを守れ!だけでは守れません。
標準化とは、どういうことをいうのかを正しく理解する必要があります。
 問題発生
  ↓
 原因究明
  ↓
 ルールの不備指摘
  ↓
 ルールを直す
  ↓
 周知して守らせる

この標準化のサイクルを回すことによって、はじめて再発防止が図れます。
ルール無し、無視、無知などが蔓延している工場は、品質管理は成り立ちません。

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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
 日本が誇るものづくり技術にもっと磨きを掛けよう!!

 設計、製造、品質管理、海外工場管理などの実務経験45年
 製造業のあらゆる業務に精通!講演テーマも下記の通り
 多岐にわたります。  ★講演(セミナー)のご依頼は<こちらから
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