想定外の市場トラブルはなぜ発生するのか?
従来、日本の品質管理の考え方は、小さなカイゼンを繰り返すボトムアップ活動で
優れた製品を生み出して顧客満足を得てきました。その製造工程のカイゼンと同様
に、設計工程においても、問題が発生すると小カイゼンを繰り返し、不良を外に
流出させないという流出防止の考え方が基本になっています。
★実例で習得するFMEA・設計ミス防止対策セミナー
★設計品質改善事例解説書シリーズ
★無料サービス

攻めの設計システム査定(assessment)の考え方に基づく設計システムの例を
下図に示します。

守りの設計システム比較すると、左側の「インプット」⇒「設計の管理」⇒
「アウトプット」の設計プロセスは大きく変わりません。
しかし、右側の設計技術は、新たにアセスメントの考え方を基本とする固有技術
汎用技術を導入し、設計の上流工程で未然防止の対策を講じ、実機による評価
テスト段階でのフィードバックを極力なくすようにします。
自動車産業向け品質マネジメントシステム規格であるIATF16949(ISO/TS16949)
では、不具合発生前にリスクを削減、低減させるため、潜在的故障モードの想定
妥当性確認などを実施し、市場クレームなどを減少させていく仕組みの構築を
求めています。これは、自動車のみならず、あらゆる製品の設計に共通した課題
であると考えられます。
設計品質作り込みのための重要なポイントは以下の5項目であり低価格で、
タイムリーに顧客の要求に応える付加価値の高い設計の製品をアウトプットする
ことにあります。
①顧客の要求事項を確実に設計にインプットさせる
②市場あるいは顧客の暗黙の要求事項、法的な制約を確実に設計にインプットさせる
③顧客のあらゆる使用環境を考慮した製品をアウトプットする
④顧客のあらゆる使用方法を考慮した設計の製品をアウトプットする
⑤部品ばらつき、製造ばらつきを考慮し、製造しやすい設計結果をアウトプットする
市場トラブル未然防止のためには、従来から採用されている原因究明・対策型
認定(validation)に基づく設計システムそのものを根本から見直し、査定
(assessment)の考え方に基づく設計システムを構築していくことが求められて
います。
