2019年03月15日

FMEA解析とリスク評価:イグニッションスイッチ発煙対策事例

FMEAは、故障モードをすべて抽出し、その発生頻度はどれくらいか、設計
工程で検出可能か、発生が予される故障が、市場でどのような影響(リスク)
を与えるのかの3項目について評価し、その程度によって、対策の方法を決定
するものです。


 ★実例で習得するFMEA・設計ミス防止対策セミナー
 ★設計品質改善事例解説書シリーズ
 ★無料サービス


  表紙.jpg



1.発煙事故の事例
国土交通省「平成 27年度リコール届出内容の分析結果について」より
事故につながった事例を紹介します。

イグニッションスイッチにおいて、接点部に使用するグリスが不適切なため
可動接点が固定接点から離れる際のアーク放電の熱によりグリスが炭化すること
がある。そのため、そのまま使用を続けると、グリスの絶縁性の低下と可動接点
の摩耗による金属粉の堆積により接点間が導通し、発熱することでグリスが発煙
し、最悪の場合、火災に至るおそれがある。

2.発煙事故発生状況と要因の絞り込み
この問題は、グリスが熱により炭化し、そのため接点間が導通し、その発熱に
よりグリスが発煙に至ったという不具合です。           
「グリスの選定不適切」⇒「接点のアーク放電」⇒「グリスの炭化」⇒「グリス
の絶縁性の低下と可動接点の摩耗による金属粉の堆積」⇒「接点間が導通」と
いう物理的なメカニズム(因果関係)により発煙に至っています。

設計の仕組み図.jpg

イグニッションスイッチ部の発煙事故は、可動接点部に使用するグリスの
定が不適切で、耐熱性の低いグリスを選定したために、炭化して導通による
発熱、発煙に至ったものです。

これは、設計時において、事前にこのような発煙事故を予測できなかった、また
短期間の評価テストでは、グリスが炭化しなかったために不具合現象は発生せず
設計ミスは発見できなかったものと考えられます。 
結果的に、市場において不具合が発生し、リコールを余儀なくされました。

3.信頼性・安全性設計手順
事故や災害につながる起こしてはならない不具合、想定外の不具合を未然に防止
する設計フローを示します。ここでは、予測できない不具合をすべて洗い出し、
市場では絶対に事故や災害を起こさない設計プロセスを確立します。

設計プロセス.jpg
この設計プロセスで重要なポイントは、設計技術者が、設計ミスによって市場で
どのような問題の発生が予想され、どのような経済的損失(リスク)が生じる
だろうか?と考えることです。(顧客志向)

下図は、設計者が行ったFMEA評価表と、リスクアセスメントによるリスクを
考慮した総合判定表を示しています。

FMEA評価表.jpg

総合判定表.jpg

4.R-MAP手法によるリスク分析とリスク評価
R-Map手法は日本科学技術連盟によって開発され、リスクを「見える化」する
手法としてその有効性が広く認識されています。

R-Mapは、縦軸に「発生頻度」、横軸に「危害の程度」を表すマトリックスで、
受入れられないリスク領域、条件付きで受け入れられる領域、安全領域を視覚的
に表現したものです。

信頼性解析手法としてFMEAやFTA等の解析手法が広く利用されています。しかし
リスクの大きさを評価し、定量化する過程において、その数値的根拠に乏しいため
に、結果として正しい評価が実施されないという事例が散見されます。
ここでいう、正しい評価とは、「製品の機能、価格、開発期間、製造コストなど
の制約条件下において、使用者や社会が被る事故や災害を最小に食い止める」
ことにほかなりません。評価基準は製品ごと、製品が投入される市場の動向、
および人材や技術力、財務等の企業の能力によって独自に設定されるものであって
一義的に規定できるものではありません。
かつては許容されるリスクの範囲であったものが安全に対する社会的要求の
高まりから、より高度な安全対策を製品側に求められるようになる場合があります。
このため、R-Map手法を採り入れることによって、評価基準の根拠を明確化、
数値化することが可能となります。

【関連する記事】
posted by k_hamada at 23:00| ★リスク対応と信頼性設計の進め方 | 更新情報をチェックする
 ★無料:品質管理書式フォームお申し込み ★無料:ネット相談フォーム

★★★工場の業務改革支援プログラム★★★
★詳しくはこちら

gd06.jpg 2020年4月1日から「時間外労働(残業)の上限規制始まる!
★★★若手中核人材を鍛える工場の業務改革プログラム★★★
Step1:残業が多い原因を分析しよう
Step2:残業削減の具体的な方法を考えよう
Step3:しくみの定着を図ろう

2020年 セミナー開催予定(東京/大阪/名古屋/群馬)
会員割引特典があります。受講料15,000円 → 10,000円(税込み)会員登録は<こちらから
新型コロナウイルス感染防止のため参加者人数を10名以下とし
濃厚接触を避ける対策を実施します。
 FMEA(DRBFM)/FTA実践コース
 設計FMEA/工程FMEAにおける潜在不良流出防止
 7月予定 大阪市産業創造館 9:30~16:30

 ★2017年に発生した新幹線のぞみの台車亀裂事故の原因は何だったのでしょうか?
  直接の原因は、台車製造メーカーの製造ミスによるものですが、FMEAを
  正しく実施していれば防ぐことが可能だったでしょうか?
   ・安全性設計の考え方が末端の作業者に伝わらなかった
   ・現場監督者が、現場や製品をよく確認しなかった
   ・指示書通りに溶接を行おうとしたがうまくできなかった
  様々な現場の問題が浮かびあがってきますが、設計には全く問題はなかった
  のでしょうか?皆さんと一緒に検証してみたいと思います。
(今後の開催予定)
 ◆2020年8月予定 愛知県産業労働センター
 不良品を流出させない品質対策!
 全数検査による不良流出防止
   ヒューマンエラー再発防止・予防対策
 4月24日(金)名古屋市愛知県産業労働センター1601会議室 9:30~16:30
 6月24日(水)東京北区北とぴあ806会議室

 ★セミナー4つのテーマ
 ①再発防止手順:「なぜなぜ2段階法」による再発防止対策(ルールの見直しと定着)
 ②全数検査の見逃しゼロ対策:周辺視検査法、画像検査機導入手順
 ③ヒューマンエラー予防策:ルール順守とは?異常に気づく、コミュニケーション
 ④IT・AI技術導入:ヘッドマウントディスプレイ(HMD)AI検査機導入ステップなど

 小ロット受注生産工場の
   実践的!生産現場の問題解決手法!
 5月29日(金)群馬県太田市新田文化会館会議室1 9:30~16:30

 1.現場の3悪(リードタイム・在庫・不良)はなぜ放置されているのか?
 2.若手・中堅社員の「プロ人材」としての「現場改善力」を徹底的に鍛える!
 中小製造業の生き残り策はただ一つ!
 固有技術を磨き、ニッチな市場でオンリーワンの地位を確立すること。
 それにはまず、身近な課題を解決する改善力を身に着けることから始める。

  ★お支払いは、Paypalまたはクレジットカード、銀行振り込みで!
  会員入会(無料)で、30%割引特典!
  ★購入お申し込みは <こちら>
  検査合格品が市場でクレームとなる、客先で不具合が発見されるなど、品質問題に
  悩まされている工場では、一体何が課題となっているでしょうか?時代は変化しています。
  これからの品質管理のポイントを徹底的に解説!

   2020 新品質管理の基礎講座.jpg
   目次.jpg