まず、品質トラブル、製品の不具合の中身を詳細に検討して見ます。
原因と言っても3つの分類方法があります。
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客先から、「ネジがきつくて相手部品が組み付かない」というクレームが発生
したとします。
ここで、最初に明らかにすべきことは、「因果関係の究明」です。
1.因果関係(原理)の究明
ネジがきつくなったという結果は何が原因となっているのか?
例えば、ねじ穴をあけるドリルが摩耗していたために、穴径が小さくなった
とします。
因果関係の究明は、科学的に事実を詳細に調べその固有の不具合を生じさせた
原因を探り当てます。これには、実際に加工された製品をよく観察し、事実を
一つ一つ確認し、論理的にメカニズムを解明します。
2.管理の状況(原則)はどうなっているか?
因果関係が分かれば、次は「管理の原因」を探ります。
近代工場では、このようなトラブルが発生しない様、QC工程図や作業手順書で
あらかじめ管理項目を決めているはずですから、それに照らして管理のどこに
問題があったのかを突き止めます。
①ねじ穴を規格通りに加工する作業手順書通りに作業を行ったか?
②ドリルの交換周期のルールを守っていたか?
③ねじ穴が規格通りの寸法で加工されているかある間隔で確認したか?
5M(人、機械、方法、材料、測定検査)の管理要因をくまなく調べ、不備が
ないかどうか調べます。具体的には、実際に作業に用いる作業手順書に不備は
ないか?作業者はその手順通り作業を行ったのかどうかを現場調査、作業指示書
の確認、作業者へのヒヤリングを行ってどこに管理の不備があったのかを特定
します。
例えば、ドリルの刃を定期的に交換すべきところ作業者はそれを知らずに交換を
怠った、というように、作業内容を理解せずに作業を行ったための人的ミスが
原因だったとします。
3.管理の原因の対策
管理の不備として主な項目を上げると
①作業者が手順通り作業を行っていなかった
②作業手順があいまいで、手順書だけで作業の実施が困難
③作業指示通り、作業を行ったが不具合が発生した
などが上げられます。
上記の例では①の作業者の教育不足という管理の原因であるため、作業者を
再教育するなどの対策を実施します。
しかし、上記はすでに発生した不具合の原因究明と対策であり、モグラ叩きに
すぎません。
一度クレームが発生すると、ほかに管理上の不備・欠陥、作業ミスなどにより
様々な不具合が発生する可能性があるのではないかと、お客様からは疑いの目
で見られます。
不具合が発生したら対策する「後追いの改善」の結果をいくらお客様に報告
しても、今の厳しい市場環境下、お客様は納得できません。ほかに可能性の
ある不具合をすべて検証し、今後不具合が絶対に起きないように対策して
ほしいと思っているはずです。
では、市場やお客様の納得する対策を行うには、具体的にどうすればいいで
しょうか?
4.予防の品質管理の不備を対策する
それには品質管理の考え方を、問題が起きないようにあらかじめ予防処置を
講ずる「未然予防」の品質管理の考え方に変えていかなければなりません。
そのような体制がとられない限り、永久にモグラたたき対策を行っていくこと
になるでしょう。
未然予防の品質管理とは、
①不具合発生を予測し「予防対策」を組み入れた「工程設計」のしくみ
②工程の異常をいち早く発見し不良を未然に防止する「4M変化点管理」のしくみ
③不良を一切流出させない出荷停止機能を持たせた「検査」のしくみ
④作業者や機械によって不良を後工程に送らない次工程完結のしくみ
などがあげられます。
以上、原理+原則+予防の3つの原因と対策を講ずることによって、今までの後追い
品質管理から決別し、モグラたたきの悪循環を断ち切り、会社の存続のみならず競争力
強化につながっていくものと思います。