測定誤差について:製造現場の実務・事例解説

測定器を使って品物を測定する場合の測定誤差について事例に基づいて解説します。
事例1:マイクロメータ、事例2:三次元測定機、事例3:測定誤差3μ以内で測定
事例4:焼き入れ高度のバラツキと測定方法

事例1
(質問)私の部署では3Φ、5Φ(U字型)のマイクロメータを使用しています。
同じワークを両者で測定すると誤差が出るのですがこの誤差の要因は測定面の
大きさによるものでしょうか?

(回答)マイクロメータの測定圧はJISにより5~10N、そのバラツキは
3N以下となっています。測定圧を発生させるラチェットは、面積小のアンビル
(先端)で測れば、面積当たりの測定圧力は大きくなります。

しかし、ブロックゲージを測って校正すれば、その影響は無くなるはずです。
平面を測るよりも、円筒面や球面の測定では面積当たりの測定圧が非常に大きく
なり、変形量が大きくなるので、これらはブロックゲージよりもピンゲージで
校正した方が良いでしょう。

また軟らかいワークは測定圧により微小な永久変形が生じるおそれがあり、その
影響も考慮する必要があります。
マイクロメーターの誤差は0.002程度は一般的と考えられます。
測定時の誤差も含めると0.01以上は見込む必要があります。

事例2
(質問)板金シャーシの穴位置を変更後、加工メーカーの測定データーの検証を
しようと思っています。三次元測定器を使用し測定した場合ですが、この場合
1.測定器の違いによる誤差
2.測定者の違いによる誤差
が考えられますが、何パーセントぐらいの誤差ならばOKと判断できるでしょうか?

(回答)
1.測定器の違いによる誤差
測定器のタイプ(構造)と検出器の関係(立て向きとか横向きとか)で誤差が出ます。
標準のプローブより長いものと使って横向きにすると誤差が大きいようです。 
経験的に0.02位は違う場合があると思います。原因はやむを得ず使う長いプローブ
とか構造的(機械精度)な問題だと思います。

2.測定者の違いによる誤差
手動式でも同じ速度でプローブを接触させればミクロン程度以内に収まると思います。
板金という事は薄物でしょうか、自重が影響するような大きい場合は姿勢と保持する
場所もお互い同じにしたほうがいいと思います。

 
事例3
(質問)円筒研削盤の機上で、ロール外径寸法450mmを測定誤差3μ以内
で測る方法があれば教えてください。

(回答)測定誤差には、①測定器の固有誤差、②測定者の個人誤差、③外部条件
の誤差、④偶然誤差等ありますが同じ条件で比較測定すれば誤差を最小にすること
ができると思います。

1mの鉄は1度温度が上がると10μm、450mmでは4.5μm延びます。
温度管理をしっかりとしても±1゜Cの管理は至難の業です。測定誤差3μ以内で
測る方法は目標が高すぎると言わざるを得ません。
基本的には不可能ではないでしょうか。室内温度と研削温度で真の寸法値は出ない
のではないかと思います。

事例4
(質問)高周波焼入れを依頼したところ以下の回答がありました。
依頼者:HS95±3で焼入れをしたい。 部材Φ100×200L
業者A:±3は無理。±10は欲しいががんばれば±5に入る。
業者B:HS95なら狙いに対して0~5の誤差で出来る。
焼き入れの精度は一般的にどの程度ですか? 測定方法(HS、HV等)でも誤差
はありますか?

(回答)焼き入れ硬度のばらつき要因は、①測定誤差、②材質のばらつき
③高周波焼き入れ温度のばらつきです。
JIS規格では、材料の炭素量は±7%のばらつきを許容しています。材質の
ばらつきによってHS95の±5%以上ばらつきが出ます。
肉厚の薄い部分や 角の部分などは早く冷えるためか硬く入ります。
測定誤差は、HVの場合、試験片を鏡面に研磨しておこなうので削り込む深さや、
平面の出し方など、作業者の熟練度によって誤差が出やすいです。

HSについては跳ね返り高さより硬度を求める測定方法のため、試験片の表面の
よごれや平面度に左右されるとおもいます。
 ■ 硬さ試験機:ブリネル硬さ/ビッカース硬さ/ショア硬さ


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製造業の未来に向けたメッセージ

★製造業改革 三つの柱
一つ目:人材育成
二つ目:技術力(品質)向上
三つ目:下請け体質からの脱却(顧客開拓のしくみ)


日本のものづくりは、人に受け継がれてきた熟練技能と、全員一丸となって困難に立ち向う、力の結集力より優れた製品が生み出され世界的に高い評価を受けてきました。

 しかし、これだけでは、これからの時代に中小が生き残っていくことは困難になって来ました。市場の厳しい品質要求に応えていくこと、また多様なニーズをとらえて機敏に対応していくことが求められますが、売り上げの伸び悩み、人材難熟練技能者のリタイヤなど、経営資源の不足する中小企業では今までのやり方では対応が困難となっています。

 中小企業にとって今求められるのは、このような時代の要求に応えられる若手人材を育成することです。必要なのは、自ら課題を設定してそれを解決していける「自立型人材」です。また、デジタル革命が進む中、IOT・AIなどの知見を持つ技術人材の育成も急務です。

 IOTの時代が到来し、ルーチン業務は機械への置き換えが加速するといわれています。機械により生産性向上を図ってその分人は付加価値業務へシフトし、新たな製品や新市場の開拓を行い、利益を確保していかなければなりません。デジタル化社会の今こそ、中小企業は、顧客視点のきめ細かいアナログ対応力が求められています。

 経営層は、これらの時代の変化を捉えて、従来からの下請け体質を打破し、果敢に事業変革にチャレンジしていかなければ明るい未来は開けません。

・自立型人材の育成
・差別化固有技術の深耕
・顧客対応組織の新設

など、中小企業の持つソフトな経営資源(人、技術、組織)と、アナログ対応力(顧客の期待に沿う)に磨きを掛け、これらを武器に新たな事業の可能性を追求し、利益を得ていくことこそ日本の中小製造業に課せられた使命と考えます。

   高崎ものづくり技術研究所
   代表 濱田金男