製造工程のリスクマネジメント:製造工程のリスク抽出手順

製品の信頼性・安全性は、市場における品質に対する要求の高まりとともに
企業にとっては、製品の設計、製造過程におけるリスク管理が重要なウエイト
を占めるようになりました。



かつては、製品は故障しないことが信頼性の指標となっていましたが、現在では
例えば、電気製品などはほとんど故障しません。
しかし、万が一、故障が発生したり、誤操作などによって事故や災害が起きる
と、メーカーの責任が問われかねません。
特に医療機器や、自動車などは故障が発生すると人的被害発生が懸念されます。
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そこで、製造工程においては、製造ミスがそのまま市場に流出しないように、また万が一
ミスが流出した場合でも、事故や災害に発展しないように万全の予防策を講じる必要が
あります。

市場におけるリスクを最小限に抑えるため、製造工程の各ポイントにおいて管理すべき
項目を挙げてみます。
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1.リスクの回避の対策手順
リスクは、あくまでも、市場におけるリスクの程度を基準に考えます。
つまり、市場で発生する故障によって、重大な事故や災害に発展すると考え
られる項目を優先的に抽出し、対策を講じます。

①工程の設計、準備段階
 ●QC工程図
  製造工程の管理項目は、人、機械、材料、方法、測定の5Mで規定します。
  その工程の設計のアウトプットはQC工程図です。設計時にはあらかじめ
  予防策を講じておかなければなりません。例えば
   ・ポカヨケ
   ・認定者による作業
   ・作業者の教育訓練と試行
   ・やりにくい作業方法の排除
   ・機械の定期点検保守、部品交換
   ・機械の工程能力の把握
   ・過去発生した問題、ヒヤリハットのフィードバック、など

 ●FTA/FMEAの実施
  万全なQC工程図を作成したと思っても、抜け漏れがないかどうか?を検証
  する目的でFTA、FMEAを実施します。
  特に、新しい製品では、未知の不具合が発生する可能性があるため、故障モード
  を列挙して想定外の故障が発生しないかどうかの検証を十分に行う必要があり
  ます。(工程FMEA)

②製造工程段階
 ●設計変更等における管理手順
  製造段階に入ってからでも、設計変更、設備変更などの4M変動により工程の
  乱れが発生します。通常と異なる手順となった場合にもミスが発生しない様に
  管理手順を決めておかなければなりません。製造工程で最も重要な管理は4M
  変更(変化点)管理です。この4M変化点管理ルールをあらかじめ明確にして
  置くことが重要なポイントです。  

 ●異常の早期検出
  4M変化点管理では、異常をできるだけ早期に発見して対処を行わなければなり
  ません。異常を放置すると、不良となり、市場へ不良が流出する確率が高まり
  ます。以下の事項は、放置せずに原因を究明し、すぐに対策する必要があります。
  また、変化点の見える化、異常の見える化を行い、問題の早期発見に努めます。
   ・機械の故障・停止が多い(チョコ停)
   ・やりにくい作業(やり直し、修正が多い、調整が多い)
   ・教育訓練が不足している作業者の作業
   ・ヒヤリハット作業の申告内容
   ・直行率の低下
   ・規格ぎりぎり
   ・出来栄えのバラツキ大、など

 ●ルール順守状況
  製造工程では、すべてがルールに従った行動をとる必要があります。
  定期的にルールは守られているかどうか?管理者の目で確認することが求め
  られ、ルール以外の作業は即刻改めさせる必要があります。  

③検査段階
 ●工程の停止/出荷の停止
  一般的に実施されている、第三者検査は、工程の停止、出荷停止の権限が
  与えられていなければなりません。決して、納期に縛らることなく、良否の
  判定を行うのが第三者検査の役割です。

2.リスクの評価基準と対策方法
①R-MAP手法
 市場の製品におけるリスクの程度は、発生頻度×危害の程度で表され、下図の
 R-MAP手法により、Aランク・Bランク・Cランクに分類されます。
 R-MAP手法の詳細は、以下を参照してください。
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 A領域・・・許容できないリスクの領域
 B領域・・・一定の原則に当てはまれば許容できる領域
 C領域・・・許容可能なリスク

 R-MAPは、上図に示すガイドラインが提示されていますが、発生頻度、危害の程度
 業界によって、あるいは製品によって異なるため、各企業において自社の状況も
 考慮した上作成する必要があります。

②リスク低減対策
PL 法が施行された 1995 年当時、取扱説明書や注意ラベルで使用者に危険性
警告する活動が強化されました。危険性を伝えること自体は重要なことですが、
の注意には限度があり、リスク低減効果としては多くを望めません。

大きなリスクほど、本質安全設計や保護装置を併用しなければ十分にリスクを
低減できません。
リスク低減対策の優先順位は、下図示す通りで、本質安全設計、安全防護、使用上
の情報提供の順です。
日本では、これを3 step method(スリー・ステップ・メソッド)として考え方が
浸透してきています。
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