2019年01月01日

業務改善がうまくいかない2つの理由とは?(ある企業の事例)

業務改善を行っているが、必ずしもうまく進んでいない企業は意外と多い。
ある企業の事例を基にその原因を探ってみよう。




1.改善活動のしくみ導入
ある中小製造業C社の社長は、ますます競争が激しくなる業界の中で生き残るため
「わが社は今すぐ変わらなければならない」という強い危機感を持っていた。
そして、社長自身が推進責任者となって、新規受注の獲得、業務プロセスの改善
人材育成の3本を柱とした改革プロジェクトを立ち上げた。

その中の業務プロセスの改善については各部署から中心となるプロジェクトメンバー
が集められ、改善活動の仕組みを構築し、改善活動の導入を行った。

導入の流れとしては、まずスタート段階ではモデル業務を設定し試行的に仕組み
を取り入れ、その後、全社展開を図るというものだった。

このような流れで業務プロセスの改善を行っていこうとしていたプロジェクトの
中心メンバーの中で、実は一つ心配があった。それは過去にも同様な活動を行って
きた経験から、このまま仕組みだけを現場に落としても、現場がやらされ感の中
で言われたことしかやらないのではないかということだった。

本来、業務改善などは上からの指示がなくても社員自身が自分で考え解決できる
ようにならなければならない。中心メンバーは、そういった組織の受身体質の課題
も同時に解決すべく、他社が行った改革の成功事例などを参考にしながら、
改革への取り組み指針の策定」、「現場の中で議論を円滑に進めるためのメンバー
の養成腹を割って何でも話せるミーティング手法の導入」なども業務プロセス
の改善の仕組みに取り入れた。

2.形骸化していく各活動と社長向け成果発表会とのズレ
C社では、業務プロセス改善プロジェクトが全社展開された後、四半期に一度、全
部署ら改善活動に携わるメンバーが集まり、これまでの活動内容、活動に対する
成果、次へのステップ等を社長あてに報告するための成果発表会が開催されていた。

C社では、こういった社内の組織横断的な形式でのプロジェクトがなかったためか
最初の1年程度は、各チームとも大変議論が盛り上がり、改善すべき課題も明確に
なっていた。また実際に、いくつかのチームでは、システム開発の作業効率化や
無駄な工数の削減など具体的な成果も出始めていたことから、発表会を聞いて
いた社長と中心メンバーは一定の手応えを感じていた。

しかし、その後しばらくして、順調に進んでいたかと思われていた改善活動の様子
が少しずつ変わり始めていった。
発表の中身は各チームそれぞれに違いがあり、進捗具合も千差万別ではあったが、
1年前にあった活動初期のころの盛り上がりがすっかりなくなり、発表者のプレゼン
も熱が入っていない。どこのチームも発表内容が非常にきれいにまとまってはいるが
「いついつまでに何をやりました。次回いつまでにこの作業に取りかかります」
というようにどことなく機械的に進められているように見受けられた。

さらに社長が感じたのが、取り組みの中身が、職場の整理整頓の徹底や単純ミスを
防止するための声掛け運動など、社長が期待していた業務改善とはかけ離れた小ぶり
なものばかりであるということだった。社長自身は決して焦っているわけではなか
ったのだが、会社が変わるためにはもう少し大きなインパクトのある改善を望んで
いた。

プロジェクトの先行きを心配していた中心メンバーたちだが、その中の一人が
「現場は一体どういう状況なのか自分が少し探りを入れる」ということで、実際
に活動に参加している同期の仲間に状況を聞いてみた。そこから見えてきたのは
まさに中心メンバーが恐れていた活動の形骸化というものだった。

同期の話によると、確かに、プロジェクト開始当初は皆新鮮さを感じて盛り上が
っていったが、議論を重ねるうちに、問題点を選別し始めたという。

どういうことかというと、現場で起きている作業効率等の身近な問題については
解決策もすぐに浮かび実行に移すことはできた。ところが現場のメンバーにとっ
て、本当に解決したいと思っていることというのは「上位管理職層のマネジメント
のあり方」や「経営方針、他部門との連携」といった自分たちには手の出しよう
のないところにあった。しかし、現場のメンバーはそれらの問題は対象外という
ことで議題にもあげず、自分たちでできる範囲のことだけに問題を絞って議論を
進めていった。

その結果、課題は小ぶりなものになり、できることはやりつつも、次第に議論は
低迷していき、ただでさえ目の前の数字や日常業務で忙しい中、進展が期待でき
ない議論には参加したくないということで欠席するメンバーも増えていった。

3.改善活動が形骸化してしまった2つの背景
1つめは、改革活動スタート時に、社長と中心メンバーが策定した「取り組みの
指針」にある。
この指針には社長と中心メンバーが、改善活動がやらされ感で進まないように
するために、「期限や目標設定、取り組みテーマなど細かい部分については現場
の判断に任せる」「現場の部長以上のマネジメントが細かい関与をしないこと
といったことが書かれていた。あまり細かい制約を設けず、現場が自律的に考え
行動してほしいということを基本方針として活動を展開したかったのだ。

しかしその結果、現場は自分たちで考えたやり方で進めたのはよかったのだが、
自分たちの責任や権限の範囲以外にある経営課題や他部門が絡む問題は避けて、
自分たちでできる範囲の問題だけを選んでしまっていたのだ。そして、現場の
意識の中には、「自分たちとしてできることをやったとしても、経営や他部門の
問題が解決しない限り会社全体は何も変わらない」という思いがあり、取り組み
への思いが次第に薄れていってしまったのだ。

仮に経営課題や他部門に絡む問題に関しても、プロジェクトの中心メンバーや
事務局あてに積極的に問題提起をすることなどを明記しておけば、少しは形骸化
を防げたのではないだろうか。

2つめが、業務プロセスの改善というものが日常の業務とは切り離して取り組まれ
たことにある。業務プロセスの改善という別枠のプロジェクトを立ち上げた時点
ですでに、「本業とは別の活動」という意識が芽生えてしまったことも一つだが
業務プロセス改善以外に経営計画の目標達成や人事評価制度の変更というのも
社員の頭の中では常に本業とは直接関係のないものとして存在している。

その結果、業務プロセス改善の活動自体の優先順位はそれほど高いものではなく
社員自身にとっては自分自身の評価に直結する業務への優先度が高くなっていった。
そして、形骸化してしまった1つめの理由と合わせて「自分たちでできることは
全てやった、本業も忙しいので業務プロセスの改善活動はこれで終わらせよう」
という流れを作ってしまったのだ。

結局のところ、C社ではいろいろな改革のテーマが立ち上がったことにより、社員
たちにとっては何が重要で、何の優先度が低いのかが判断できない状況でした。
自分たちが変わらなければ」という目的だけは全員の共通の思いとしてあったが
「変わらなければ」という目的だけではさまざまな課題の中で優先順位を付ける
ことは判断できない。

「変わらなければ」という目的が「何か変えよう」「できることはやってみよう」
といった判断基準にすり替わっていき優先順位の定まらないまさに「部分最適」
のオンパレードを引き起こしてしまったのだ。

4.重要なのは改革の先にある明確なビジョンを持つこと
さまざまな取り組みが同時並行に行われ、次第に形骸化し、改革どころか元の状態
に戻ってしまいそうな状況にあるC社だが、それではこの後C社が立て直しを図る
ためにどのように改革を進めればよいのだろうか。

まずは、経営者として、これまでの改革がうまくいかなかったということを素直に
受け止め、そのことを社員に真摯に伝えることが必要だ。実はこのプロセスを踏ま
ないと、次に何かの取り組みを行おうとしても必ず失敗する。

改革がうまくいっていないことは経営者よりも現場の社員のほうがより敏感に感じ
取っている。そういう状況の中で、過去の失敗を認めずに次に何かやろうとすると
社員は経営者に不信感を抱く。そして、信用がない状態の中で、改めて改革を宣言
しても、社員はもはやついてこようとはしない。

まずは経営と現場の信頼関係を修復するために、勇気を持って、これまでの失敗
を認め、そして、なぜ失敗だったのかを社員全員に真摯に伝えることがとても重要
事なのだ。

次に、「変わること」自体が目的にならないように、改革の先にあるビジョンや
目的を明確にし、それを判断基準として、これまで取り組んできた各活動をいったん
取りやめ、明確になったビジョンや目的と照らし合わせて、何に絞って取り組む
べきか選択と集中を図ることが必要になる。

C社の場合は、実は中期経営計画の中で「営業利益の5%達成」という明確な指針
があった。ただ5%を実現するための具体的な戦略はなく、さらに「営業利益の
5%達成」という目標とは別に、社員の目的意識をブレさせるような他の目標が
いくつかあった。「社員がいきいきと働ける会社」「顧客指向が当たり前となって
いる会社」「永続企業として社会貢献する会社」といったような極めて抽象的な
目標らしきものがあり、社員の頭の中には、どこに向かうかの明確な指針はなか
った

もともと、経営方針を策定するにあたって、社長自身が一番実現したかったことが
この「営業利益5%達成」だった。ところが、他の経営陣からは、「それでは夢が
ない」「社会貢献や社員の満足度も考慮すべきだ」などさまざまな意見がある中で
非常に不明瞭な方針となってしまっていた。

これでは、現場の社員は何に集中して取り組んでいけばよいのか判断がつかない。
また、これまでと同じように失敗を繰り返しかねない。同じ失敗を繰り返さない
ようにするためにも、方針として「営業利益の5%達成」に絞らなければならない

まずは、全社員が一体となって行動を起こすべく、経営トップの権限と責任のもと
で、「営業利益の5%達成」の1点に目的意識を集中させることが必要なのだ。
そして、この明確な方向性を判断基準として、それを実現するための戦略と課題を
洗い出すことが必要だ。
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posted by k_hamada at 23:57| ★製造業の現場改善の進め方 | 更新情報をチェックする
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