会社を改革し、これから良くしていこうとするとき、経営者のいわゆる
ワンマン経営だけに期待するのは難しい。今まで会社を引っ張ってきた
やり方を、ここで180度転換させることはほとんど期待できない。
だとしたら、社員一人一人、どのように改善に取り組んでいくべきか?
まず、現場を一番よく知っているのは現場で実務に携わっている社員で
あることを自覚すべきだ。経営者は方針は立てても、現場は何が課題
なのか?具体的にどう改善を進めればいいのか?はわからないし、具体
的な指示はできない。
それは現場の人間が一番よくわかっているはずであり、上からの指示を
待っていても、いつまでたっても解決に向かっていくことはない。
しかし、現状のどこを見直せば、一層の効果が上がるのかが分かっていて
も、自分の業務範囲内で解決できないことも数多く存在する。自分たちで
試行錯誤し頑張ってみても解決しない場合、たいていはそこであきらめて
しまう。「組織間の壁」や「上司やトップの無理解」に突き当たり、
「やってもムダ」と考えてしまう。

自職場だけでは解決できない課題は、共同で改善に当たらなければならない。
しかし、課題はわかっていても、ではどうやって共同で解決して行ったら
いいのか分からない。ここが一番の問題なのである。
まず、今の現場管理者・監督層にはそこまで求められる時代になっている
ことを自覚すべきである。つまり、受け身の体質から抜け出さなければ、
改善は進まず、そして自分たちの未来もない。
冒頭で述べた通り、経営者は実務上の課題はわかっていないのだから、
何らかの方法で分かってもらう努力が必要なのだ。また、経営者も社員
の課題を吸い上げるためのツールを用意しなければならない。
①まず、自分たちで解決に当たり、試行錯誤を繰り返す
②解決できない場合、上司や他の部署に相談し協力を求める
③費用面や人材面で課題がある場合は経営TOPに判断をゆだねる
一般の企業では、②、③の手段がないために、①で終わってしまうケース
が非常に多い。
そこで、業務改善活動の枠組みの中に、「コミュニケーションツール」を
設けておくことが重要なポイントとなる。
部署間にまたがる問題、設備や人など経営判断が必要な問題が発生した
場合タイムリーに解決するためのツールとして
①問題発生時に、現場ミーティングを行うための環境の整備
・問題の場所に関係者がすぐ集まれるルール
・スタンディングミーティングのルール
(立ったまま、30分以内で行う会議)
②活動の進捗を定期的にレビューする
・業務改善の結果だけを報告するのではなく、ポイント、ポイント
で経過を報告
・目標値の定量化と現状を数値で捉えギャップを明確にする
つまり、結果管理ではなく、途中経過におけるコミュニケーションの密度
を高め「経営でできること」「部署間の協同でできること」「自職場で
できること」を明確に振り分けることが業務改善活動のおける最も重要
なポイントと言える。