ヒューマンエラーの原因の一つにルールを守らないことが上げられます。
日本人は、一般的に社会のルール、秩序を守る民族です。
しかし、仕事上のルールは必ずしも守っているとは言えないのが現状です。
それはなぜか?考えてみます。
日本人は会社の中で、ルールを作って守るという行為は苦手です。
なぜかというと、ルールは自然と暗黙のうちにできているのであって、改めて
文書化しても、それは余り重要ではありません。なぜなら改めてルールを作ら
なくても、支障なく整然と仕事ができるからです。
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ルールが守られないという現場では、以下のような理由を挙げています。
1)守りたくても守れない理由がある
2)ルール自体が業務の実態と合っていない
3)そもそもルールの必要性を感じない
4)ルールを守っていたら仕事にならない、効率が悪い
5)ルールを知らなかった
6)理想のルールはわかるが、現実的ではない
ルールを守らない、守れない理由はいくらでもあります。
つまり、現場では、ルールの必要性・重要性を感じていないということなのです。
その結果、現場では以下のよな様々な問題が発生しています。
1)それぞれの部署や人の仕事の役割がはっきりしない
2)情報が伝わらない、遅い、正確でない
3)それぞれの個人の判断で仕事が進められ間違いが多く、効率も悪い
4)問題が解決されず放置されれている
5)若手社員がすぐ辞めていく
管理層は、現場に対してこのようなことが起きないように、改善するように指示
しますが、なかなか思うように進みません。
では、日本人のルールに対する考え方とはどのようなものでしょうか?
中国には「上に政策があれば、下に対策あり」という言葉があります。これは
中国人がルールや法律、規則という存在をいかに守ろうとしないかを示す言葉と
しても知られているが、確かに中国人はルールを遵守する意識が日本人より希薄
と言えます。
逆に、中国人から見ると「日本人は誰もが疑うこともなく、ただひたすらルール
を守る」ように映るようで、その様はまるで「何かの病気にかかっている」かの
ように感じているのです。
「ルールを守る」ということは「古いやり方に固執する」ことにもつながりかね
ないという面もあります。日本人は確かに礼儀正しく、日本社会には秩序が存在
するとしながらも、反面、日本人に活気がなく、生き生きとした感覚がないのは
「日本人がルールに縛られ過ぎているためではないか」とも言えます。
日本人が「古いやり方」「理屈に合わない」かどうかを疑うこともなく、誰に言
われるでもなくルールを守ろうと固執する様子はまるで「病気のようだ」と外国人
には映っている面も否定できません。
固定的なルールや規則を守りすぎるのも問題ではないかとも捉えられます。
中国人から見て、日本人は「臨機応変な対応」が苦手であると指摘するが、これは
一理ある指摘と言えます。日本人はルールや従来のやり方に縛られ、状況が変わっ
た時の対応が苦手な傾向はあると言えます。
だが、ルールを守ることは社会生活において重要なことなのは間違いなく、その
バランスが求められているとも言えます。
では、会社のルール、仕事上のルールの位置づけはどのように考えれば
いいでしょうか?
日本の会社の場合、組織内部のルール(暗黙のルール)をうまく生産性を高める方向
にもっていくことが重要と考えられます。
上層部から「これを守れ」と強制的に押し付けても、それは守られることはないで
しょう。
ボトムアップで、自然発生的に決まっていく一定の秩序(良いルール)を形成させて
いくことが日本の企業では必要なことではないかと考えています。
さあ、経営者としては、そのような状況を作り上げていくにはどのようなメッセージ
を発信し続けることが求められるでしょうか?
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