2019年01月01日

多品種少量生産品受注工場の生産性向上、利益確保対策の進め方その2(具体策)

多品種少量生産品受注工場の生産性向上、利益確保対策の進め方について、
前回(その1)では狙いとムダの削減について解説しました。この章では、
改善の具体策について詳細に解説します。

3.主な改善内容
七つのムダによって、リードタイムが長期化し、手間も多く掛かり生産性が低下
します。以下に4つの具体策を示します。

前回取り上げた7つのムダは、目に見える見かけ上の問題と捉えられます。
作りすぎや在庫のムダ、運搬のムダ、動作のムダなど目に見える現象がなぜ
発生しているのかを「管理のしくみ」の問題として捉え、しくみを改善していく
ことが重要です。

(1)最適な在庫量の検討
 在庫を持つことにはいくつかのメリットがある一方で、以下のようなデメリット
 もあります。
 ・製品の陳腐化や品質劣化を招く
 ・保管スペース確保のための管理費用が発生する
 ・資金の回収が遅れキャッシュフローを圧迫する

 上記のようなデメリットが大きくならない様に、在庫量を適正に保つ必要が
 あります。すべての製品の在庫を持つのではなく、顧客との納期調整上必要
 最小限の在庫を持ちます。

 また仕掛在庫については、一度に大量に作る「ダンゴ生産」をやめ、一加工
 ロット当たりの数量を分割して極力少なくし、平準化生産となるよう生産計画
 を立てます。ロット数量を分割すると 段取り回数が増加しますが、下記の
 (2)の改善によって生産性低下を防ぎます。

 また、ネック工程の手前に加工待ち品が滞留しない様に、前工程の生産調整を
 行いネック工程と同期を取るよう、日単位、時間単位の日程計画作成と進捗管理
 を徹底します。

 ポイントは、生産の平準化とネック工程の稼働率を限りなく100%に近づける
 ことです。

(2)段取り作業の効率化
 小ロット生産を行う製品については、工場内のレイアウトの変更や作業方法の
 改善により、段取時間の短縮を図って生産の効率を高めます。これにより小
 ロット品の受注生産の採算割れを、少しでも回避できるようにします。
 改善手順は、外段取り化を進め、外段取りが困難な場合は内段取り時間の短縮
 (シングル段取り化)を推進します。

(3)運搬の効率化
 多品種生産の場合、部品の種類及び、金型冶具類が圧倒的に増えます。
 したがって、部品、金型置き場から、製造ラインまでの運搬・移動が頻繁かつ
 複雑となります。無人搬送車などによる自動化、スペースの確保、置き場
 ・置き方を工夫します。

(4)受注リードタイムの短縮
 受注から出荷までのリードタイムを限りなく短縮化します。
 そのためには、(3)項の「作り過ぎのムダ」、「在庫のムダ」を防ぎます。
 短縮化そのためには、生産計画、調達計画、生産管理のしくみを大量生産品とは
 別に新たに構築します。
4.jpg
 また、受注から、製造、出荷に至るプロセスの流れを見える化、問題点を浮き
 彫りにし、ネックとなっている作業や工程を徹底的に改善します。
 ・もっと事前に受注時期、納期情報を得る方法はないのか(フォーキャスト等)?
 ・部品発注情報を発注先に早く伝えるにはどうしたらいいか?
 ・小ロット部品の調達でも、価格が上がらない発注方法(内示発注など)はないか?
 ・長納期部品の安全在庫をどのように持つか?
 ・平準化生産を行うために、生産計画、作業進捗管理をどのように行ったらいいか?

 などの問題点・課題を抽出し、一つ一つ地道に解決していきます。特に部品納入
 業者には、無理やり要求を突きつけるのではなく、パートナーとして、互いに
 利益が出るようにアイデアを出し合うようにします。

 社内のしくみとして、変化する情報を確実に伝える手段、問題が生じたときに
 速やかに関係部門の担当者が集まり、対策を講ずる体制を整備します。現場で
 実施する「スタンディング・ミーティング」はその場でその日のうちに問題を
 解決するための有効な手段と考えられます。

4. 組織風土の転換 
 組織風土を転換しなければならない場面では、経営者がトップダウンで改革の
 方針を示し、自らの決意を行動で示す必要があります。目に見えるハード面の
 改革より、ソフト(考え方、管理方法)の改革に重点を置かなければ、目に
 見えた効果が出ないと考えます。

 それには、「業務改革プロジェクト」を編成し、半年、あるいは1年の長期計画
 で改革を段階的に進めていく必要があります。大事なことは、達成目標を明確に
 示すことです。目標を明確にしなまま進めると、手段が目的化し、途中で挫折
 してしまうケースが多いものです。

 半年後、1年後にどうあるべきか。具体的に「リードタイム短縮50%」「生産性
 向上30%」など数値で目標を掲げ、原価低減によって、利益を確保する過程を
 見える形で提示し、毎月達成度をチェックしながら、計画の見直しなどのフィード
 バックを掛けていく「改革継続の仕組み」をしっかり構築していくことが重要です。  

 (完)

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