日常発生する問題が放置されたまま、なぜ解決しないのか?工場の業務改善が
なぜ進まないのか?ここでは、多くの中小企業が抱える問題点を明らかにし、
解決策を探っていきます。
そこで、ある工場の事例を取り上げて見たいと思います。
■ 例えば、品質問題として
客先から、納入品の加工不良を指摘され、再確認作業、修理作業が生じ、多く
の時間を費やしているため、それを見込んで、はじめから注文数より多めに製作
しているため、ムダが生じている。
顧客から要求があるときはQC工程図は作成するが、そのほかの製品は作成して
いない。一応社内に作業標準、検査基準はあるがすべての製品を網羅している
訳ではない。
■ また生産ラインの問題として
生産リードタイムが長い、不動在庫(長期在庫)多い、在庫、仕掛品の保管場所
は決まっておらず、担当者任せ、担当者以外はどこに対象の製品を保管している
かがわからない、捜すのに時間が掛かる。
間接業務に関して、情報の共有がされておらず、個人の力量にも差があるため
管理業務の標準化を行って作業を効率化を図って行きたい。業務マニュアル
の作成、業務の見える化などの必要性を感じているがほとんど進んでいない。
社員は40人ほどの車関係部品を受注加工生産を行っている企業ですが、何が
問題で、どこから手を付けていき、どのように解決していけば良いでしょうか?

■この企業の共通した問題点
上記の状況からこの企業の共通した問題点を列挙してみます。
(1)もちろん問題であることは、経営者、工場長、そしてリーダークラスの
社員 はわかっている。しかし、忙しい、スタッフがいない、どこから手を
付けて いけば良いかわからないといった悩みを抱えている。
(2)定期的に工場長やリーダクラスが集まって、問題点解決のための会合を
開いているが、5S改善などのすぐに手を付けることが可能な小改善の実施に
留まっている。
(3)品質管理、生産管理、工程の改善手法などを体系的に学んだことはなく
また、積極的に学んでいこうとする姿勢も弱い。
(4)経営者は、売上を飛躍的に増加し、近い将来経営規模を拡大したいと考え
ている。しかし現状をどう打開し、改革を進めていけば良いか?わからない
状況が続いている。
(5)外部から講師やコンサルタントを招いたこともあるが、受け身の姿勢に終始
し、自らのアイデアを出して改善する、周囲の協力を得ながら、会社を良くして
行こうとする自発的行動が見られない。
上記の様に、一般的な中小企業では、人材、資金、情報、時間などの制約の中で
改革が進まないというのが実態です。
そこで、次回解説より具体的、実践的な解決策を提案していきますので、期待
して頂きたいと思います。
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