“品質”とは本来、顧客の求める価値に対してそれを保証するための企業の活動
全体を指す。
ところが現在の〝品質〟は不良管理など非常に狭い意味になってしまっている。
そういう意味で「モグラ叩き体質」から抜け切れずに後追い管理が常態化している。
事例研究・実習で品質改善の実務能力向上を図る
DX、FMEA/DRBFM、再発防止手順など
これからは顧客の求める品質を見える化して、その変化を予測、先回りして
付加価値を提案する活動が求められる。顧客と一緒にモノづくりの最適化を
図り、顧客ごとに付加価値を保証していく。
単に、図面が来たからといって、それを忠実に作るだけでは顧客の望むモノ
作りはできない。
このような『日本品質』をつくるのは、中小製造業であり、そこで仕事をする
若手リーダーの積極的な行動で、課題を克服していくことが必要な時期に来て
いるのではないでしょうか?
これからの品質管理の流れについて4つのポイントを挙げてみます。
1.生産開始時の初期流動管理
新製品の生産が立ち上がってから所定の期間は、“特別に”手間をかけて品質実績
を把握する努力をする、ということです。
新製品・新部品の量産を始めるにあたって、現場全体に品質を意識させる仕組み
はありますか?
それとも、新しい製品でも「なんとなく」量産が開始してしまいますか?
そこで曖昧さを残すと、その後の量産において、人による作業のバラツキ、機械
ばらつき管理がおろそかになり、品質トラブルが多発します。
生産の数量や頻度にもよりますが、少なくとも2~3ロット分の生産指示に対応
して、その生産の品質状況を「あえて」詳細に監視する体制を作ります。
各工程上の品質管理上のキモを、事前に、明確にしておきます。そして、各工程
では、あえて手間をかけて品質を確認する。得られた結果から、今後も継続して
検査すべし、という項目を見つけ出します。
製品仕様に起因する不具合は概ね全てこの初期流動管理期間で抽出されます。
初期の段階で、図面の修正など、上流工程にフィードバックすべき項目はすべて
洗い出し、「曖昧さ」「やりにくさ」は、なくしていくべきです。
2.変更点発生時の工程変更管理
長い間、量産しているとさまざまな理由で仕様や生産設備などが変更されること
があります。変化の情報を共有し、この変化の影響で品質が悪化しないか確認
します。
変化に対応した品質の確認を実施して結果を整理します。(4M変化点管理)
良かれと考えて現場が実施したことが、他の関係者に伝わっていなかったため
それが原因でトラブルが発生することが往々にしてあります。
この工程変更管理はよほど管理者の日常管理の上で意識が高くないと定着させる
ことは困難ですが、管理をうまく行うととても役に立つ仕組みです。
現場の細かい対応の履歴をしっかり残すことで、気づきがあるからです。
現場管理者が自工程の状況を精度よく把握するために威力を発揮します。
“記憶”に頼った工場運営をするには、現在、いろいろなことが複雑になりすぎ
ています。
品質保証にあるべき姿としては、必要な情報(品質基準、検査実績、製造条件、
ロットトレース情報)を一元管理し、リアルタイムかつ定量的な分析に基づき
良品の製造条件の維持とクレーム発注時の対処の迅速化を図ることです。
3.検査の精度向上
外観検査については検査工程そのものを画像認識による自働化を図るのが有効です。
現在は高精度のカメラの価格が数年前の10分の1程度となり低コストで実現が可能
となりました。
検査工程を自働化することにより検査の精度を上げて、後工程でのダブルチェック
を防止することにより省人化につなげることが出来ます。併せて、検査機からの
リアルタイムな情報収集も可能になります。
以上の3つのポイントを図に示すと以下の通りとなります。

4.攻めと守りの品質管理
品質改善の考え方には、「攻め」と「守り」があります。
攻めというのはものづくりをする際に不良ゼロを目指すことです。開発段階から
生産そしてお客様の手元まで、上記の①工程の設計、②4M変動管理、③検査の
各段階で、予防手段を講じ、流出不良をゼロにもっていくことです。
一方、守りは、問題を見つけたら迅速に改善して、再発防止を確実に行い、お客
様に良い商品をお届けるサイクルを加速させることです。このループをぐるぐる
回していくことが求められています。攻めだけでなく、守りの体制も取っていか
ないと、いい商品につながりません。
きちんと上流の開発プロセスや4M管理の標準に落とし込まれてこそ、問題の再発
は防止できます。