第1章 ヒューマンエラーは、うっかりミスか?ミスの発生確率は?現場管理者も知らない効果的な手法すべてを網羅

ヒューマンエラーとは何か?人はどれくらいの確率でミスを犯すのか?
そして今、なぜヒューマンエラーが注目されているのかについて解説します。


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1.ヒューマンエラーとは何か
ヒューマンエラーは多くの場合「意図しないうっかりミス」を指します。
その多くはシステム(機械)と人間(特に人間の認知・判断・行動特性)との
ミスマッチが原因で起きます。

具体的なヒューマンエラーとしては、事故や不良の原因となる作業員や操縦者
の故意・過失を指し、設備・機械の不具合や故障、およびそれがもとになって
事故や災害が発生し、その場合、「人災」と呼ばれることもあります。

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つまり、人間の行動あるいは意思決定のうち、「やるべきことが決まっている」
ときに、「やるべきことをしない」あるいは「やってはならないことをする」こと
と言えます。
故意に「やるべきことをやらない」または「やってはならないことをする」は
違反と呼ばれ、これもヒューマンエラーに分類されます。

最近では、直接の操作者・操縦者はもちろんのこと、チームや組織全体、そして
管理者の意識も含めてヒューマンエラー防止の対象と考えるようになって来ました。

特に注目すべきは経験を重ねたベテランによるルーチンワークで多く発生すること
です。基本的な確認・操作を省略しても「問題ない」という自己確信 (思い込み) が
生じるため、確認・操作を怠ったまま業務を進行させると、重大な問題に発展
する可能性があります。

ヒューマンエラーは人間が直接引き起こすエラーだけではなく、人間を取りまく
作業環境、施設や設備、教育訓練、企業の安全への取り組み方など多くの要因が
含まれ、これらをヒューマンファクターといい、ヒューマンエラーを防止する
ときの対策の対象と考えられます。

2.ヒューマンエラー発生の確率
ヒューマンエラーの発生率は作業を行っている人の意識により変わります。
下表は大脳生理学の研究で明らかにされた人間の意識フェーズとエラーの発生
率の関係をまとめたものです。
スライド1.JPG
この表から、意識フェーズによってエラーの発生率が大きく異なること、意識を
フェーズⅢに保つことができればエラーの発生率を低く押さえることができる
ことが分かります。

ただし、問題は、フェーズⅢが短時間しか続かないことです。(90分程度)
すぐにリラックスしたフェーズⅡや過度に緊張したフェーズⅣに移行します
言い換えれば、注意を集中して最高の状態で臨めばエラーは起こらないが、
この状態を長時間維持できないのが人間なのです。

エラーの発生率は作業内容によって大きく異なります。
下表に示すようにフェーズⅡ「正常・リラックスした状態」における工場の
一般的な作業時のエラー発生率は0.0001~0.03です。
スライド2.JPG
そして、作業後に人による確認・チェックで見つけることができずに流出する
確率を掛け合わせると9/1,000,000(9ppm)が限界と考えられます。

しかし、多品種少量生産工場では、このようなエラー率で管理することは至難
の業と考えられます。

確認作業においても長時間にわたる注意の持続が必要となるが、人間の意識を
信頼性の高い状態に長時間維持することは難しいため、結果として、自動化や
特別の工夫がされた「ポカヨケ」がない限りは、検出力は高くなく、見つける
べきエラーの割合が少なくなるにつれて検出力は急速に低下すると考えられます。

下図は、ある車載コンポーネントメーカーの外注部品に対する流出不良ランク
を示しており、優良工場は100ppm以下で、CDEランクの工場は、Bランク
以上となるよう改善策を講ずるよう要請を出します。
PPM.jpg
このように、現在の製造業のエラー流出は、件数管理では0件が目標、流出率では
100ppm以下(0.01%以下)が求められていると考えていいでしょう。

3.ヒューマンエラーが注目される理由
現代は、技術の進歩により活動範囲が広がり、より高度のサービスを受けることが
できる反面、ヒューマンエラーによって引き起こされる被害も拡大してきました。
一つのミスが大きな事故に発展しかねない作業に人間が介在すると、巨額の損害を
被るというリスクは避けられません。

そのため、自働化・無人化が対策として考えられるが、人間が全く介在しない仕事
などはあり得ません。ミス対策を講じても、最終的に人間の注意力にゆだねられる
仕事をなくすことはできないのです。

「便利さの文化」の背景には、常に危険も伴い、「便利さの文化」とは「危険文化」
であると言い換えることもできます。この両側面は、ヒューマン・ファクターを
含めて考えれば、決して単純な問題ではないことが分かります。

例えば、どんなに丈夫かつ安全な機械であっても、それを操作したり使ったりする
人間の側の取り扱い上のミスにより、機械が動かなくなったり、故障したり、さら
には大き事故を引き起こしたりします。

乗り物は人に衝突すれば負傷させるという潜在的危険性と、その物の操作のミス
による人為的危険性とに分けることができる。この後者は、上記のヒューマン・
ファクターによる危険性のことです。

したがって、人間が作った物のほとんど全てにおいて、利便性が高まった反面ヒュー
マン・エラーによる危険性が潜在しており、従来に増してヒューマンエラーが注目
される理由と考えられます。

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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
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