現場の管理監督者が取り組むべきヒューマンエラー予防対策5つのポイント

ヒューマンエラー対策は、ミスをした作業者に注意することは大事ですが
現場の管理監督者として、取り組まなければならない重要な5つのポイント
について解説します。





1.ヒューマンエラーが発生しやすい職場とは
ヒューマンエラーが発生しやすい職場では、組織の風土や雰囲気、そして
管理監督者の意識の低さの問題があります。重大な事故やトラブルにつな
がるのは、現場の目先の作業に追われ、ヒューマンエラーを防ごうという
意識が低いために、様々な兆候を見落としているからです。

このような職場の風土や環境を変えるためには、経営者と現場、双方の意識
改革が必要です。

2.管理監督者が取り組むべき5つの重要ポイント
(1)コミュニケーションの活性化を図る
 ①毎日の朝礼
  4,5人のグループごとに、挨拶に始まり、前日の結果、今日の予定
  注意事項などを話し合う(双方向の会話が重要)
  人数が多いと、本音の話ができない建前の朝礼になってしまうので、
  人数は少ない方が良い。
  部長は後で、どんな話題が出たか?ヒヤリングする。 
  「一日のうちで一度は発言し、意思表示することと。
  他人の言うことを聞くチャンスを作る

 ②不良発生時の現場ミーティング
  問題が起きたら、現場に関係者を集め、現場・現物を見ながら再発防止
  策を考える
  熟練工は、自分のやり方が一番いいと思っています。一人で判断し行動
  するので周りとの連携がうまく取れない場合が多いですが、この場を
  活用して、熟練すあの意見を聞く。

(2)自ら職場を廻って予兆の発見、ミスの起きやすい箇所や作業を改善する
 ミスしそうになった、ミスをしてしまい修正したなど不良の前兆が日常の
 作業の中に隠れています。 それを放置すると、いずれ不良となって現れ
 ます。そこで、前兆を見逃さず、改善につなげます。
 ①5S改善
  整理整頓、製品置き場、不良品置き場、機械の清掃・注油点検を毎日徹底

 ②職場巡回
  ミスの起きそうな作業、やり難そうにしている作業を管理監督層の現場巡回
  で見つける(スキルが必要)

 ③ヒヤリハットの申告
  特に新人は朝礼で、作業のやり難さ、曖昧なところを申告させる

スライド1.JPG
(3)教育訓練の方法を工夫する
 時間がないから教育できないという風にあきらめてはいけません。
 朝礼や現場巡回時など、教育の時間を捻出します。
 比較的若手の中堅、リーダークラスを徹底的に教育し、責任を持たせる
 ことも重要です。リーダーの役割として
 ①新人教育(OJT)
 ②不良の対策
 ③治具の考案などミスを減らすための改善を自発的に行う、など 

(4)検査の目的の明確化とやり方を工夫する
 ①不良流出を抑えるため、重要製品、新しい製品は外観、寸法を検査員の目で
 確認する。検査員は訓練してプロとして育てる
 大事なことは検査は選別作業工程ではないこと、検査の役割は悪いものを
 後工程に送らないこと

 ②指差し確認、自工程完結によって、作業者は後工程へ不良を送らない対策
 を徹底させること。

(5)良い風土に変えるルールづくり
 中小企業では、文書による規定類を作ることは大きな負担であり、例え作成
 しても誰も見ないものになってしまいます。簡単で見やすいフローを作って
 現場に掲示する、スローガン的な短い言葉のルールを掲示するなどの工夫を
 します。
  例:「それは、ルール(図面)通りか?今一度見直そう!」
    「ヒヤリ300件が、不良流出1件につながる」

yjimage.jpg

 ルール化とは、規定類を作ることではなく、良い行動・考え方を浸透させ
 職場の雰囲気を良くしていくことです。

3.(事例研究)最近工程内で多発する作業ミス
Q.私は製造工程の監督者をしています。
工程内の人数は全体で100名程で、半導体や電子部品の工程になります。
私たちが最近悩んでいる工程内の悩みは、作業不具合が多発している事です。
今月になりすでに15件程発生している状態です。

大まかな作業不具合の要因は作業者の不注意などが挙げられますが、昨日も
部資材のビニールを破り勢い余って箱を製品の上に落下させてしまったり、
作業途中で離席し戻った際に作業が終わったと思い込み製品を破損させて
しまったりと、人要因での作業不具合が多い状態です。

環境を改善する活動をして対策はしているのですが、後を絶たない状態と
なっています。人の意識を改善する為にはどのような方法が効果的なのか
教えて欲しいです。

A.作業ミスに関する悩みはどの工場でも頭痛の種ですね。
人的ミスそのものは、完全にゼロにすることはできませんが、状況から察す
るともっと少なくできるのではないかと考えられます。直接の原因は、人的
なミスでも、その背景には管理上の問題が潜んでいます。例えば「箱を製品
の上に落下させた」「離席復帰後の作業ミス」なども管理要因が必ずあると
いうように捉えます。

ビニールを破り勢い余って……とありますが、では、なぜビニールは破れた
のでしょうか?そしてなぜ製品の上に落下したのでしょうか?
・作業者はルール通り作業を行わなかった、ルールが無かった
・ビニール袋の構造・強度に問題があった
・製品置き場と部資材置き場(開梱場所)の配置の問題

など、現場、現物、作業者をよく観察すると、ミスが起きやすい原因、製品
が破損する原因が見えてくると思います。そこには必ず、ヒヤリとする状況
が発生しているのだと思います。

その状況を取り除いておかないとまた同じミスが発生する可能性があります。
ヒューマンエラー予防フロー.jpg
戻った際に作業が終わったと思い込み……これもよく発生する問題です。
・作業中断カード運用ルールが無かった、ルールはあるが守らなかった
・工程上、頻繁に作業が中断する要因がある
・作業モレ発生でも製品が壊れないようにする対策が打たれていない

など、これも現場、現物、作業者をよく観察すると、ミスが起きやすい原因
製品が破損する原因が見えてくると思います。

作業ミスを起こさないよう、作業者を意識づけ、教育することは重要ですが
ミスが多発するのは、上記のような管理の問題があり、それが解決されて
いない可能性が高いと考えられます。

作業ミス=作業者の意識の問題だけでなく、作業ミス=管理の問題として
管理監督層は考え、改善を図って行くことが求められているのだと思います。