現場で発生した問題は、できるだけ早く原因を取り除かなければならない。
なぜなぜを五回繰り返して、根本原因を追究せよ!
しかし、現場ではそんなことを考えている暇はありません。
トヨタ式なぜなぜ5回分析の研究!
なぜなぜ分析の疑問を取り除く考え方と実践方法の解説
★YouTube動画
製造工程で発生した問題を素早く解析するための「決定版なぜなぜ分析」
フォーマットを紹介します。
このフォーマットを使う条件として以下の項目があげられます。
①分析を行うのは、現場監督者、管理者であり、担当者ではない。
(ミスを起こした担当者の分析は言い訳になってしまう)
②現場のルール(作業手順書、検査指示書、機械の保守点検手順書)の
存在を知っていること。
(細かい規定がどこに書いてあるのかが大体知っている)
③工場のモノの流れ、情報の流れを規定するルールについて知っている
こと。②と同様、詳細は分からなくても、大体どこに記載されているか
知っている程度でよい。
④事務所・会議室ではなく、問題が発生した現場で分析を実施すること。
「なぜ発生したのか」は「モノの欠陥・不良」「しくみの不備・欠陥」に分かれます。
なぜなぜ分析3つの対象とは?
①なぜ発生したのか、物理的な因果関係を探る
②なぜ発生したのか、現場の管理上(4M)の不備を探る
③なぜ流出させたのか、工場の仕組みの不備を探る
①は自然界のルール、②は現場のルール、③は組織間、または工場全体のルール
を基本に原因を突き止めます。
①はモノや機械の現象面から原因究明、②と③は工場の管理上の原因究明です。
現場ではモノや機械の現象を正しく捉え、それがなぜ発生したのか、②の作業ミス
や連絡ミスなどの管理上の原因を探ります。
まずモノの不良の状況を「三現主義」で観察し、なぜ発生したか
を解明します。
・この傷は運搬時の衝撃で発生した
・この機械の異音は回転軸が注油切れで摩耗したからだ
この事実を現場で正確につかむことが最も重要になります。
次に、この事実を基に、しくみの不備・欠陥を究明します。
・なぜ衝撃を与えるような運搬を行たのか?
→運搬ルールはあるのか? → そのルールを守っていたのか?
・なぜ注油切れになったのか?
→注油のルールはあるのか? → そのルールは守っていたのか?
というように、ルールに基づいたなぜなぜを行い、真の原因にたどり着きます。
・運搬のルート図があるが、その時急いでいたので段差のあるルートを通った
→ルールを守らなかった
・注油ルールを守って、1回/週の周期で注油していたが、機械の稼働率が
急に50%から85%と高くなり、油切れとなった
というように発生原因を特定します。
ここまで原因が判明すれば、対策は以下のように行います。
ルールを見直す → 手順書の改定 → 関係者に周知し守らせる → 定着
を確認(再発防止が図られた)
対策は必ずルールの改定が伴います。
ルールを変えずに、「表示を明確にした」「治具を作成した」「教育を行った」
というような対策は、一過性となって、定着しません。
(処置であり、再発防止にはなりません)
次になぜ、流出したのかを解明します。
・運搬時に衝撃を与えたにもかかわらず、部品に異常がなかったかどうか確認
する必要があるが、確認せずに次工程へ引き継いだ
(衝撃を与えたことは伝達しなかった)
・次工程の作業者は、受け取った部品をそのまま製品に組み込んだ
・検査員は、製品を外観検査し合格とした
運搬を担当した作業者は、衝撃を与えたこと(異常)を伝えなかったために
そのあとの作業工程、および検査工程では特別な注意を払わなかった。
これは、良品を後工程へ引き渡す(自工程完結)ことを怠っている、また
部門間(工程間)の情報連係ミスである。
・異常発生時の処置ルールはどうなっているのか?守っているのか?
(確認手順、異常情報伝達ルート)
・納期優先で、品質を軽視している組織風土が出来上がっていないか?
このように、流出対策は、最終検査を強化すると捉えるのではなく、組織間
の情報伝達、連係など、各工程における流出防止(自工程完結)を徹底する
ことを主体とする必要があります。