QC工程図の目的と正しい作成方法:製造工程の信頼性設計とFMEA

QC工程図を作成する目的はなんでしょうか?
顧客から要求されて提出するQC工程図は一体どのような意味があるでしょうか?



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何のためにQC工程図を作成するのか?目的をしっかり理解しておくことが
重要です。なぜなら、作成時期の遅れ、作成内容の不備など全く目的から
外れているケースが多いからです。

1.QC工程図の目的
工場の生産ラインでは、製品を設計図面通りに製造します。しかし、設計
図面には、どのような方法で、どのような手順で作るかは規定しておらず
それは工場の責任で決める必要があります。

そこで必要になるのが、あらかじめ間違いなく、安定して製品を作るため
設計書です。このように作ればQCDを満足し、工場の環境や安全も確保
できるということが決定され、初めて正式に製造を開始できるのです。

QC工程図は、工場で製品の製造を開始する前に作成する工程の設計書で
あり、安定した品質の製品を作り続けることができることを保証する図面
なのです。

2.QC工程図の構成・内容
では、QC工程図作成にあたって検討すべき必要項目、内容はどのような
ものがあるでしょうか?一例を下表に示します。

(1)工程の作り込み方法
左の列は工程番号と工程名で、工程は基本的に機械や設備単位で分けら
れています。それぞれの工程では、作業方法、設備、部材、作業者、作業
記録方法を明確にします。詳細の内容は、作業指示書、操作マニュアル、
測定マニュアルなどに記載します。

(2)特性の確認方法
工程における作り込みの方法、管理項目(点検点)を明確にすることに
よって目的する品質特性(管理点)が得られます。
工程における作り込みの結果、目的とする特性が得られたことを保証す
るため検査方法を決めて記録します。(表の右側)

以上は、特性要因図をそれぞれの工程で作成すると考えると理解できます。

QC工程図とは、工程ごとに設計図面の特性(規格、機能、性能)の確認
方法とそれを満足させるための5Mの作り込み条件から構成されています。
(5M:人、機械、材料、方法、測定)
QC工程.jpg
しかし、多品種少量生産品、一個受注生産品について、それぞれQC工程表を
作成することは人手と時間がかかります。
この場合は、下図のように製造する製品に共通する作り込み条件を規定する
管理項目と、共通する品質特性を規定するQC工程図を作成します。

QC工程.jpg


3.QC工程図による予防対策
QC工程図の役割として最も重要な点は、工程のトラブルや、4M変動が
生じても、ばらつきのない、安定した製品を作り続けることができること
つまり工程の信頼性を保証することです。

5Mの作り込み条件を決める際には、ミスが起きにくい、また4M変動の
影響を受けにくくするための対策を講じておくことが必要になります。

ポカヨケ治具を使用する、作業者を訓練し認定者に作業させる、機械や
測定器の日常点検と記録、やり難い作業の排除、工程内検査の実施など
過去に発生した不具合内容を踏まえて、予防策を講じておく必要があり
ます。

そして、その予防策が万全かどうか?漏れがないかどうかを確認する
手段としての役割を果たすのが工程FMEAです。(ボトムアップ解析)

最近では、リスクマネジメントを取り入れた工程設計を行うことで、
市場における製品の不良・欠陥により発生する事故・災害などのリスク
を予測しその原因を取り除く、あるいはリスクを軽減する対策を講じ
ます。(トップダウン解析)

製品設計と同様に、工程の設計、FMEA実施、リスクマネジメント実施
製造準備・試作確認、量産開始という万全なプロセスを踏んで量産に
入ります。

4.QC工程図と作業指示書の関係
QC工程図は、上記で解説した通り、製造工程における作り込み方法と
品質保証上の管理項目を記載したもので、さらに工程で発生が予想され
る不具合を予防するための対策をあらかじめ組み込んだ設計書です。

しかし、ほとんどは顧客提出用として作成したもので実際に活用されて
いることは少ないのが現状です。

作業指示書や検査指示書は本来、独立したものではなくQC工程図を補足
するためのもので、各指示書類の上位の基準として位置付けられるのが
QC工程図なのです。

QC工程図は、工程設計者によって周到に作成され、試作・量産試作時に
発見された不具合をフィードバックし完成させなければなりません。

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製造業の未来に向けたメッセージ

★製造業改革 三つの柱
一つ目:人材育成
二つ目:技術力(品質)向上
三つ目:下請け体質からの脱却(顧客開拓のしくみ)


日本のものづくりは、人に受け継がれてきた熟練技能と、全員一丸となって困難に立ち向う、力の結集力より優れた製品が生み出され世界的に高い評価を受けてきました。

 しかし、これだけでは、これからの時代に中小が生き残っていくことは困難になって来ました。市場の厳しい品質要求に応えていくこと、また多様なニーズをとらえて機敏に対応していくことが求められますが、売り上げの伸び悩み、人材難熟練技能者のリタイヤなど、経営資源の不足する中小企業では今までのやり方では対応が困難となっています。

 中小企業にとって今求められるのは、このような時代の要求に応えられる若手人材を育成することです。必要なのは、自ら課題を設定してそれを解決していける「自立型人材」です。また、デジタル革命が進む中、IOT・AIなどの知見を持つ技術人材の育成も急務です。

 IOTの時代が到来し、ルーチン業務は機械への置き換えが加速するといわれています。機械により生産性向上を図ってその分人は付加価値業務へシフトし、新たな製品や新市場の開拓を行い、利益を確保していかなければなりません。デジタル化社会の今こそ、中小企業は、顧客視点のきめ細かいアナログ対応力が求められています。

 経営層は、これらの時代の変化を捉えて、従来からの下請け体質を打破し、果敢に事業変革にチャレンジしていかなければ明るい未来は開けません。

・自立型人材の育成
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など、中小企業の持つソフトな経営資源(人、技術、組織)と、アナログ対応力(顧客の期待に沿う)に磨きを掛け、これらを武器に新たな事業の可能性を追求し、利益を得ていくことこそ日本の中小製造業に課せられた使命と考えます。

   高崎ものづくり技術研究所
   代表 濱田金男