今回は、モグラたたき対策からの脱出フローと、再発防止対策に必要な
条件について解説します。
高崎ものづくり研究所では、製造業の現場ですぐに使える品質改善手法
改善ツールを提案しています。
まず、再発防止策の手順を上記フローによりしっかり頭に入れておく必要
があります。
①不適合の事実関係と因果関係を明らかにする
②品質管理の不備の原因を特定し、修正処置を行う
③再発防止策として実施管理、追加修正、確認と承認を行う
以上を踏まえて、なぜモグラたたき対策から脱出できないのか?なぜ繰り返し
同じ問題が発生するのか?考えられる6つの要因と対策を挙げてみます。
要因1:不適合の事実関係が不明、あるいは良く調べない
発生頻度が低い、過去に発生した事実があるが再現できない、客先で発生
したため、情報が得られない、など困難な状況もありますが、一般的には
管理層や技術者が現場に行って事実を確かめず、頭の中で勝手に原因を
決めてしまい、間違った原因を前提に対策を行うことが多い
対策1:三現主義を徹底し、とにかく現場で何が起こっているのか?観察力
を磨いて良く観る(診る)ことが重要
要因2:因果関係が不明、またはよく調べない
要因1と同様に、現場を良く確認しないために、そこで何が発生している
のか?機械やモノの物理的なメカニズムなのか、人の行動に起因するのか
などの因果関係が解明されていない
対策2:三現主義を徹底すること、また機械や材料のプロの目で見て正しく
メカニズムを解明すること、また管理・監督層は、いつもと違う人の
行動や動作など、普段から職場観察し異常に気づくことが重要
要因3:対策が(暫定)処置で終わっている
よくありがちなのは、例えば、機械の摩耗部品を交換して対策したことに
する、または担当者に、もっと頻繁に注油するように指示して対策した
ことにするなど、しくみ化をまったく考えていない
対策3:管理・監督層は、問題の根源はルールにあるという発想に変える
必要がある。ルールというものは、摩耗などの問題が起きないように
あらかじめ、注油・点検周期、方法などを決めておくこと。そのルール
があるのかないのか?あるなら、どこが不備だったのかを突き止める
必要がある
要因4:対策が実施されても、守られていない
ルールを修正しても、担当者が知らない、理解していない、守らない
など、全員に周知されず徹底しない
対策4:世の中に完全なルールはない。ルールの修正など対策後、その
通り守られているのか?守られていない場合は何が原因か?管理・
監督層は現場に出向いて自分の目で確認する必要がある
要因5:対策そのものが、不備、または欠陥がある
例えば、2週間に1回の点検・注油をすべての機械に実施するためには、
人員が不足しているため、できない場合があるなど、運用の実態を考慮
せずにルールを変更した、注油量にばらつきが出るなど
対策5:同様に世の中に完全なルールはない。現場作業者にルールを
理解させ、守らせることが必要だが、より作業しやすく、間違いが
起きないように、改善を繰り返し、ルールの内容をより良くしていく
努力が必要
要因6:再発防止が確実に打たれたかどうか確認していない
対策と実施状況が確実かどうか、責任者が判断し、最終的な承認を行う
必要があるが、実施されていない
対策6:対策後、作業記録や不具合記録などを確認し確実に再発防止
が図られているかどうか、責任者が判断し承認することが必要
企業に伺った際、対策書を見せて頂きますが、正しく是正処置が行われ
ている例は皆無に等しい状況です。
目に見える処置だけでなく、ルールの見直しと徹底により、再発防止が
図られることをよく理解して頂きたいと思います。