アメリカ流品質管理の導入(1)日本の職人技では鉄砲の玉は量産できない?

アメリカから導入された統計的品質管理、そして日本で生まれた「QC
七つ道具」「なぜなぜ分析」など製造現場へ取り入れられてきました。
しかし、それだけでは世界一の品質は実現できなかったのです。




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1.日本の職人技では鉄砲の玉は量産できない?
それは、先人が長年に渡り築き上げ、モノづくりを支えてきた職人技に
よるところが大きいと考えられます。

工業製品は、職人の持っている技術が高いだけでは、本当に良い製品に
なりません。

第二次大戦中、ゼロ戦や戦艦大和などの優秀さがクローズアップされて
いますが、工業製品としてみた場合の品質は、アメリカの足元にも及ば
なかったとされています。
特に、圧倒的な物量を戦地に補給しなければならない銃や弾薬などは、
職人技は不要で、とにかく同一規格で同じものを作れば良い訳です。

一個一個丁寧に作っても、補給が間に合わなければ何の意味もありません。
日本の職人技の仕事は複数の製品の互換性には全く関心が払われていなか
ったものですから、旧日本軍が使用していた機銃の弾は微妙に口径が違う
とか、口径が同じでも薬莢の長さが違うという状況が生じていたのです。
補給された弾丸が山ほどあるのに、銃に合わないために使えないという
問題は、装備の互換性が不可欠という、大量生産にとって基本的な考えが
欠如した職人的な手工業の考え方が逆に弱みとなって出てしまった面が
あると考えられます。

2.アメリカ流・品質管理の導入
第二次世界大戦後、日本の製造業は、アメリカの統計学者であるデミング
博士から、工業製品の大量生産を前提とした品質管理の考え方を学ぶこと
になります。

復興が進み、これからモノづくりを本格的に進めようとしたとき、日本の
経営者は、アメリカ製の自動車や機械の優秀さに驚き、「どうしたらアメ
リカに追いつけるだろうか」と、途方に暮れていた時、ちょうどデミング
博士が現れたのです。

デミング博士は、1950年から日本の経営者に品質管理の考え方や統計的
手法を伝え、その教えをよく理解し実行した日本の経営者や技術者のおか
げで、その後の日本製品の飛躍的な品質の向上が図られました。

博士が日本に興味を持ち、熱心に教えたのには訳があったのです。それは
日本の企業では一般の労働者までが、統計手法の理解に必要な基礎学力を
持っていること、またトップから現場まで全員が同じ目標に向かって一丸
となって努力している姿を見て、非常に好感を持ったと伝えられています。

3.デミング博士の教えとは
デミング博士の教えの代表的なものは、次のようなものです。
 ①継続的な改善を行い、工場の現場を断片の集まりではなくシステムと
  みなすことである
 ②全品検査への依存を止める。品質は統計的手法で向上させること
 ③完成後に欠陥を見つけるのではなく、欠陥を防止すること
 ④問題を見逃さない。全体(設計、製造、保守、トレーニング、監視、
  再教育)を継続的に向上させるのがマネジメントの役割である
 ⑤PDCAサイクルはデミングサイクルとも呼ばれ、現在に至っている

デミング博士の教えを改めて見ると、現在にも十分通じる普遍的な経営
マネジメントの考え方を示していることが分かります。しかし当時の企業
では、特に現場の管理手法として、統計手法、抜取検査法などが導入され
品質管理の基本として位置づけられてきました。

(続く)