日本はアメリカから技術をただ受け入れ、模倣で終わるだけでなく独自の
一段上の技術として磨き上げることができたのです。
「模倣」で終わってしまうC国とは対照的に日本では、学ぶと同時に「自ら
に合うよう変化させ、そのうえで発展させてきた」といえます。
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元トヨタ副社長の大野耐一氏の著書である『トヨタ生産方式 ― 脱規模
の経営をめざして―』は1978年に出版されてから今も版を重ねており、
工場管理者のバイブル的存在となっています。

トヨタ生産方式はジャスト・イン・タイム生産、自働化、七つのムダの
削減、カンバン方式などで知られ、アメリカから学んだ品質管理の考え
方と、トヨタを中心とした日本式の現場主体の管理方式がうまく融合し
新しく生まれました。
そしてトヨタ生産方式の工場で作られた車は、アメリカの三大自動車
メーカーをしり目に、その価格や品質の面で認められ、世界中に輸出
されることになったのです。
遡って1956年、大野氏はアメリカに渡ってGMやフォードの工場を訪れ
ました。彼が新たにヒントを得たのは実は、日本にはまだなかったスー
パーマーケットの顧客が必要とする品物を、必要な時に必要なだけ入手
することができるというしくみです。これを生産工程に応用しようと考え
ジャスト・イン・タイム方式、カンバン方式が実現したというわけです。
アメリカから学び、それを進化させ日本のモノづくりに応用し、またそれ
をアメリカ人が持ち帰って研究し理論体系化するという戦後70年の相互
の繰り返しの歴史的経緯をたどると興味深い事実が浮かび上がってきます。
ここまでの経緯を考えてみると製造業の発展を支えてきたものはアメリカ
から導入された品質管理の効果だけではなく、現場の労働者の日夜を問わ
ず熱心に取り組んだ現場の品質改善の取組みが大きな影響を与えていた
ことが理解できると思います。
日本人は新しい技術に接すると必ずそれを自らのものにしてしまうだけ
でなく、それに独自の工夫を加えてさらに新しい一段上の技術に磨き上げ
ていく能力を持った世界でもまれな民族と言えます。