あの部署はなかなか動かない、ミスが多いなど他の部署に不満を持たり
また、反面これはうちの仕事じゃないなど、組織の壁ができている企業
は多いと思います。
そこで、日本型のライン組織(ピラミッド組織)の問題点はどこにある
のかを考えてみます。
1.ライン組織のメリット・デメリット
一般のほとんどの企業の組織は、ピラミッド型のライン組織を採用して
います。
ライン組織は、トップから現場従業員の段階まで、単一の指揮命令系統
で貫かれた組織となっているため、トップが有能で、判断するための
情報が十分という条件下ではとても有効な組織形態と言えます。
(命令一元化の原則)
そして、この組織形態は、役割が固定されているため、繰り返しルー
チン型の業務、つまり製造業では、少品種大量生産に向いた組織と言え
ます。
しかし、ライン組織は組織が大きくなればなるほど、組織内部は必然的に
情報伝達ルートが長くなり、意思決定は遅くなります。また十分に必要
な情報が行き渡らないという弊害が出て来ます。
ルーチン業務では、誰が何をすればいいのかが明確ですので、その業務に
おける責任権限ははっきりしていますが、逆にそれ以外に発生した課題
への対応は責任が不明確となってしまい、解決が困難な場合が出てきます。
縦割り組織となっているため、横方向の組織の連携は取られないために
組織間にまたがる問題は臨機応変な対応が難しくなることから放置され
がちとなります。当然、組織全体の作業能率が低下するという問題も
発生します。
以上をまとめるとライン組織を主体とする日本型組織の弊害として以下
の3つを指摘することができます。
①縦割組織の部分最適の考えが優先し、急激な市場変化に対応しにくい
②各部門が連携して取り組む業務に向いていない
③多様な視点のアイデア、意見が反映されず、すぐに実行に移せない
2.組織を動かす管理のしくみ
会社を成長させるには、目的とする業務の目標、内容に合わせた機能を
達成するため、組織構造とそれを動かす管理の仕組みが必要になります。
しかし、組織図はあるが、その見直しや組織を動かす仕組みが不十分な
点が多いと考えられます。環境の変化とともに、組織の考え方も変えて
いかなければなりませんが、従来の組織の考え方を疑問も持たずに、
そのまま維持している企業は非常に多いと感じます。
組織の最大の欠点は縦割り構造になっていることです。
この縦割り構造が、改革の取組が進まない最大の要因と考えられます。
組織の間には壁があり、生産のための情報やモノの流れに停滞が生じ
工場の生産性を著しく阻害しています。作り過ぎのムダ、仕掛在庫の
増大、リードタイムの長期化、そして品質問題の発生は、組織間の
連携が十分にとられていないため、多品種小ロット生産に柔軟に対応
できていないことを示しています。
そして、職場内で実施されている改善活動は、その職場内の部分的な
作業の効率化に留まっているため、全体最適の観点から見ると改善
効果は期待できず、会社の利益に繋がるとは考えられません。
この点は、多くの経営者、改善活動指導者も気づいていない、あるい
は気づいてもそれをしくみとして構築し、運用するマネジメント能力
が不足している場合が多いのです。
3.ライン・アンド・スタッフ/マトリクス組織
組織形態としては、ライン・アンド・スタッフ組織、あるいはマトリ
クス組織を採用し、横の組織をつなぐコミュニケーションのしくみ
全体最適の考え方で、会社の利益に直結する改善活動の組織やしくみ
の不備・欠陥を取り除き、各組織が有機的に連携し、活動することが
求められます。
企業の成長のため、課題達成のためには、日常業務をこなすだけでなく
組織の能力を高め、生産性を向上させるため、PDCAを回す改善活動も
業務として実施しなければなりません。
マトリクス組織は、そのような活動(プロジェクト活動)を行うのに
適しています。課題達成を使命として、達成されれば組織は解散し、
また新たな課題を解決するために別のプロジェクト組織が結成されます。
変化の激しい時代には、ルーチンワークを行う組織から、課題を解決
する部門横断的な組織が必要になっているのです。
組織形態として、ライン組織とライン&スタッフ組織、マトリクス組織
など、会社の課題解決、目標達成のため、どのような組織形態が適して
いるのかを考える必要がります。