熟練技能を習得させるには、暗黙知の部分を見える化し、マニュアルに落とし込む
作業が必要になります。
一般的に、現場では、マニュアルを見ながら作業を行うことはありません。
しかし、事前の教育訓練によって頭の中に入っていなければならず、そのためには
作業の手順、ノウハウをマニュアル化しておく必要があります。
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1.熟練技能のマニュアル化
マニュアル化が可能な作業でも、熟練技能者の作業をマニュアル化することは難しい
作業です。そこで、熟練者がマニュアルを作成するのではなく、むしろ作業を熟知して
いないが、物事を科学的に分析できる能力を持った第三者によって、熟練者の意図を
くみ取りながら作成し、その内容で実際に作業し検証を行います。また、熟練者の作業
をビデオ撮影し、熟練者と一緒にそれを見ながら共同でマニュアルを作成、実際に作業
を実施し、突合せを行う方法も有効と思われます。
2.OJTのルール
マニュアルで表すことが難しい熟練作業は以下のものがあります。
①長年の経験で、体の感覚で会得した微妙な判断「勘」を伴う作業
②訓練された芸術的な感覚や運動能力「コツ」を必要とする作業
「勘」を伴う作業としては、手で持った感触で物の重さの違いをグラム単位で判定し
たり、炉の適正温度を炎の色で見分けたりする作業が該当します。これらは、長年に
わたって体験・経験を繰り返すことによって微妙な違いを瞬時に判断できる能力です。
この場合、微妙に異なる重さのサンプル品を準備してその違いが判るまで訓練する、
またセンサーで温度を測定し、その時の色を写真に残し、温度と色の関係を覚える
など、いくつかの条件を分類、整理してラベリングを行います。
また「コツ」を伴う作業は、どのように作業すれば失敗せずに、しかも早く良い結果
が得られるのか」を極めたもので、微妙な力の入れ具合、手の動きの変化などの体で
覚えている条件をいくつかのパターンに分類し、映像などで表現できればある程度
「コツ」を伝えることができます。あとは繰り返し訓練することが必要で、習得でき
るかどうかは本人の努力次第ということになります。
このように、複雑に見える勘コツ作業を一つ一つ分解することと、「見える化」する
ことによって「勘コツ訓練ツール」を作成することが可能になります。勘コツ作業は
複雑に見える作業をいくつかのパターンに整理し、単純化することで伝承が容易になる
と考えられます。
しかしながら先人は、長年にわたって失敗を繰り返しながら今に至ったのであって、
一通りの技能の教育が完了したからと言って、すぐに先人と同じようにできるように
なるとは限りません。この場合、段階的なOJT実施計画に基づいて、作業を教え、実際
に作業をさせて、結果を評価することを繰り返しながら、自立して作業ができるかどう
かを見極める必要があります。
特にどの作業で、どんなミスを犯しやすいのかを良く観察し、正しい作業ができるまで
集中的に繰り返し教える必要があります。その場合重要なことは「こうせよ(HOW TO)」
よりも「なぜそうするのか(KNOW WHY)」を理解させることです。
特に熟練技能者がその仕事に対して、今までどう向き合って来たのか、そしてその結果
得られたものは何かを含めて伝え、更に熟練技能を磨き上げていくことの重要性を理解
させます。
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