顧客視点の品質および製品の信頼性・安全性を支える3つの仕組みとは?
1.ボトムアップ型設計
2.新規点・変更点に着目
3.過去事例のナレッジ化による水平展開
DRBFMとは、何を目的としているのか、トヨタが提唱する「正しいDRBFM」
の姿を明らかにします。
また基本的に、製品設計、製造工程設計におけるDRBFMは共通の考え方で
実施可能です。
難しい理論よりも設計者が簡単に未然防止に取り組める手法(事例も豊富に紹介)
★ZOOMオンライン・セミナー
・これで完璧:トヨタ式DRBFM/FMEAを事例演習でマスターする
★設計品質改善事例解説書シリーズ
★無料サービス
トヨタ式DRBFMでは、顧客視点の品質および製品の信頼性・安全性を
確保するため以下の考え方に基づいて、設計者に「気づき」を与えます。
1.ボトムアップ型設計
2.新規点・変更点に着目
3.有識者とのレビュー
DRBFMは何を目的としているのか、トヨタが提唱する「正しいDRBFM」
の姿を明らかにします。
また基本的に、製品設計、製造工程設計におけるDRBFMは共通の考え方
で実施可能です。
1.FMEAとは
FMEAは,システムの性能に関する故障モード並びにそれらの原因及び
影響を明確にすることを目的とした、システムの解析のための系統的な
手順です。
原因 → 故障モード → 影響
ここでいうシステムとは,ハードウェア若しくはソフトウェア(それらの
相互作用を含む)又はプロセスを表すものとします。
システムの解析は,故障モードの除去又は軽減が最もコスト有効度の高い
ものになるように開発サイクルの中でなるべく早期に実施します。
2.DRBFMとは
DRBFMとは、設計者が新規点・変更点に着目し、その中で心配点をしっか
り洗い出して、対策を考えた上、有識者、専門家を交え、デザインレビュー
を実施します。
(出典:トヨタ自動車75年史のホームページより)
この表は、トヨタのDRBFMフォーマットです。
青色の項目は、設計者が記入し、黄色の項目はレビュー時、ディスカッシ
ョンを重ね、追加項目があれば記入します。
3.FMEAとの決定的な違いは何か?
FMEAは、設計時点で市場で予想される事故・災害につながるすべての
故障モードをリストアップし、その発生原因を取り除く、または緩和する
対策を講ずることを基本としています。
しかし、部品、コンポーネントの故障モードをリストアップするだけでは
そこに潜む潜在リスクに気付き対策することはできません。
予備知識のない中で、その原因と対策を網羅的にリストアップすることは
設計者にとって大きな負担となります。
しかし、DRBFMでは、新規点・変更点に注目し、新たな問題が起きないか
考え「心配点」を抽出し、更にデザインレビュー実施により漏れを防ぐこ
とに重点を置いています。
つまり、新規点・変更点部分に関わる心配点のリストアップし、そこに潜む
故障モードを含む事故発生のメカニズムを明らかにすることで、重大な事故
を防ごうとする考え方です。
そのためにもう一つ重要になるのが、過去事例のナレッジ化です。
ナレッジ化とは、個人や組織が持つ知識や経験、スキル、ノウハウなどを収
集し体系化した情報で、以下の2つが該当します。
・故障モード一覧表
・故障モード抽出表
4.DRBFMの具体的な実施フロー
当研究所が推奨する実践的FMEAは、トヨタ式DRBFMを、より具体的な手
順に落とし込み実施するためのいくつかのツールを準備しています。
まず設計者によって、心配点の抽出を行う際には、「新規点変更点リスト
作成」と、「セルフFMEA」の実施が必要となります。
そしてデザインレビュー時にレビューアーが実施する「FMEAレビュー」
と「簡易評価法」による評価です。
このフローは、従来からの設計フローに、DRBFMを組み込んだ場合の手順
を示しています。
具体設計プロセスにおいては、新規・アレンジ設計部分に対して、起こして
はならない故障・事故の対策を行います。
設計ノウハウ集、シミュレーション・リスクアセスメント・などの信頼性
設計プロセスと新規点・変更点リスト作成により、心配される故障モード
故障、事故の想定を行います。
次に、セルフFMEAプロセスでは、変更点・新規点でリストアップした故障
モード、故障の原因の対策を行い市場に流出した場合のリスク評価を行い
ます。
故障モード一覧表、故障モード抽出表は、使用シーン、故障モード、故障
発生に気づくためのツールとして非常に有効なツールとなります。
設計者は、セルフFMEAを実施した後、結果をまとめ評価シートを作成し
FMEAレビューのインプット資料として準備します。
FMEAレビュープロセスでは、セルフFMEAの結果を基に、レビュアーによ
る抜け漏れ確認(デザインレビュー)を実施します。
メンバーの選定:技術、営業、工場、保守部門など
レビュー実施:信頼性、安全性設計の妥当性確認、抜け漏れ等発見された
場合は、設計へフィードバックを行う
以上により、DRBFMは終了とし、FMEAシートを完成させます。
最後に、企業としてこの製品の市場投入可否判断を行います。
以上が、DRBFMの実施手順の詳細です。
解説の中で述べた、各種ツールの詳細は、別途解説書をお求め頂き、理解
を深めて頂くようお願いします。
当研究所では、トヨタ式DRBFMをベースとして、小規模設計チームにも
使いこなすことが可能となるよう、各種ツールの提案を行っています。