今、周りを見渡せば、日本人の生活を取り巻く商品の大半が「メイド・イン
チャイナ」です。
雑貨にとどまらず、野菜や冷凍食品などの食材、医療品、家電製品など生活
に欠かせない、ありとあらゆるものが中国からの輸入品となっています。
しかし、今回のコロナ禍では、ひとたび非常事態に陥れば、中国からの供給
はすべて途絶えてしまうリスクを伴っていることを目の当たりにしたのです。
そこで、2020年度補正予算において、サプライチェーン強靱化へ向けて生産
拠点が集中する中国などから日本への国内回帰や第三国への移転を支援する
ための緊急経済対策の一環として政府は総額2435億円を2020年度補正予算
案に盛り込みました。
今回の緊急経済対策では、⽇本企業が特定の国に過度に依存しない強靱な
サプライチェーンを構築するため、特定国に依存する製品や部素材の生産
拠点を国内に整備する場合、建物や設備導⼊費用の一部を補助するものです。
しかし、「国民の健康に関わる重要な物資の生産、サプライチェーンは国内
で確保することが重要だ」という意見はたしかにもっともですが、企業の
理屈と国家の理屈は違います。
なぜ国内回帰が難しいのか?
低価格化の流れに乗って日本、韓国、台湾企業が好んで進出した広東省の
深圳では、電子機器製造業に必要な全てが、車で1時間圏内に集まり、設計
部品加工、組立、金型、物流まで全ての機能の集積地となっています。
こうなるとあまりにも利便性が高いため、少々人件費が高騰しても他地域に
移ることは難しくなっているのです。
今回の補助金は、マスクや医療用機器などの緊急性の高い製品の国内生産
に対する機械設備導入などを対象としていますが、それだけで国内サプライ
チェーンの強靭化は図れるとはとても思えません。
そこで、緊急経済対策そのものや、日本企業においても、国内回帰に対する
考え方を見直していく必要があると考えられます。
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