金型製造・成形不良ゼロを目指す!改善アプローチ(2. 不良ゼロ達成の攻めの金型設計手法)

金型製造・成形不良ゼロを目指す!改善アプローチ(1)では、金型
設計、製作工程におけるエラープルーフ化設計の重要性について解説
しました。



金型設計、製作工程において不良ゼロを実現するためには、標準化された
金型設計、製作手順に従います。以下にそのフローと内容について解説します。

設計フロー.jpg
(1)顧客仕様の確認
顧客から提供された製品仕様書や3Dデータなどの製品のデータ、金型に対する
要求事項を基に、顧客とすり合わせを重ね、成形品の3Dデータ図面(機能、
構造、外観)、金型の機能・構造の概要、品質、価格、などの要求事項を明確
にした、顧客仕様書を作成する。

最近では、製品の完成形を確認するために3Dプリンタで出力することで、実物
に近いサンプルを用いて、事前評価することが可能になっている。
また、必要に応じてCAE(Computer Aided Engineering)による構造解析、
流動解析、熱解析等を実施し、材質や外形の見直しを行うことが可能である。

(2)金型構想設計
顧客仕様は、品質機能展開(QFD)のツールである品質表を使って漏れなく
金型の設計要件に変換し、その要件を具体的に実現する機能と構造を落とし
込んだ金型仕様書(金型構想図)を作成します。

この機能・構造検討段階においてエラープルーフ化の中の「排除、代替え、
容易化」および「影響緩和策」を講じます。この作業が品質の良し悪しを
決定づける最も重要なポイントとなります。

品質機能展開(QFD)では、顧客の要求事項をすべて金型設計要件に当て
はめ、そこから更に具体的な機能・構造に落とし込むための品質表を用いた
設計手法によって、検討漏れのない完ぺきな設計を目指すものです。
品質表.jpg
金型を設計において検討すべき設計要件は、成形品の機能・構造、意匠対策、
それを実現する金型の機能・構造、強度対策、熱対策、安全対策、メンテナンス
性、寿命、コストなどです。

QFDの品質表は上流設計段階で用いられる設計手法で、顧客要求に対して必要な
技術課題を見える化し、品質特性(機能・構造)を適切に抽出ことで抜けや漏れ
が無くなる効果があり、更にデザインレビューによる抜け漏れ検証ツールとして
も効果を発揮します。

金型仕様書(金型構想図)は、設計要件を基に具体的な金型の機能と構造とを
明らかにした細目がアウトプットされたもので、CAD設計に入る前に必ず
作成されなければなりません。

(3)CAD/CAM設計
金型構想設計の結果を基に、CADにて3D設計を行い、金型3Dモデル・金型組立
図・部品図データを作成します。CAD設計では、金型仕様書、金型構造図の情報
を忠実にコンピュータにインプットし、目的の機能・構造を実現します。

次に、CADにて出力された3Dデータを基に、加工工程設計を行います。
加工設計は、定められた設計基準に基づいて加工手順、工具の種類、加工モード
切削条件、ツーリングなどの決定を行い、条件をCAMに入力して加工に用いら
れるプログラムを作成する。また切削加工や放電加工に用いられる3Dモデルを
CADで作成します。

CAD/CAM設計の各ポイントに於いて、金型設計チェックリストを基に有識者に
よるデザインレビューを実施し、顧客仕様通りの金型が設計されているかどうか
確認を行います。

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 合同会社高崎ものづくり技術研究所代表の濱田です。
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 設計、製造、品質管理、海外工場管理などの実務経験45年
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