金型製造・成形不良ゼロを目指す!改善アプローチ(2)では金型設計に
置ける不良ゼロ達成のしくみについて解説しました。今回は金型製作に
ついて解説します。
(1)金型製作工程における不良ゼロ達成のしくみ
金型部品加工の工程は、それぞれ専用の機械を使って加工を行います。
マシニングセンタのほかに、NCフライス盤・ジグ中くぐり盤・旋盤・汎用
フライス盤・ボール盤、放電加工機、ワイヤカット放電加工機などが用い
られ、最後に、削り出した金型を、セラミック砥石・ダイヤモンドペースト
などを使って磨きを行います。
品質を確保するためには、エラープルーフ化の発生防止と波及防止の考え方
から工程ごとの自工程完結のための精度出しとチェック体制を徹底し、工程
ごとの累積誤差を徹底的に排除し、最終精度を確保することが求められます。
また加工中のマシンや刃物の状態監視により異常を早期に発見するしくみを
構築します。最後に加工された金型部品を組み立てて、仕上げや測定を行います。
(2)動作確認(トライ)工程
製作した金型を使って実際に成形し、金型動作に問題がないかを確認します。
トライでの確認が不十分の場合、外観上、寸法上の品質不良が後から発生
するため、納得いく結果が出るまで時間を掛けて行い、成形条件や手順を
漏れなく記録する。
データ測定による寸法精度確認、顧客へのサンプル提出、承認、外観限度見本
の取り交わしを行います。成形条件表の作成を行い、成形機のパラメータ設定
成形サイクルの確認を行います。
出来栄えに関して安易な妥協を行うと、その後にトラブルが頻発することに
なります。トライの段階で成型条件について十分検討することで後日の品質
安定につながります。
(3)成形不良の原因と対策
成形品に現れる不良の主な原因は以下の通りです。
①成形品設計の不備
②金型設計、製作の不備
③成形条件の選択不適当
④成形材料の持つ特性による
⑤射出成形機の能力不足
実際に不良に直面すると、その原因はいくつかの要因が重なって発生している
ことが分かります。原因の究明・対策には、経験の積み重ねや実験による解明
が必要になる事もありますが、まずは標準通りの設定、作業手順を守ることが
大切なポイントです。